第6話 研究所
「よっこいしょ」
相も変わらず小さい体が振り回されながら大剣を振り下ろすのは平安。その一閃で敵に大きなダメージを与えたかと思えば、空見ら刀剣使いが敵の中枢を断ち切って絶命に至らせるという連携プレイ。
初戦こそ第12課の急行が間に合わなかったものの、2戦目以降は2組連合による機動で既に新生物5体を討伐に成功する。
「さて。これで6体目」
空見が刀を抜き去るのはその次、6体目。もうひとつのグループもあらかた敵を掃討しているようであるし、任務の達成度合いはかなり高いと言ったところか。
「今どのあたりでしょう?」
新谷が携帯端末を手に現在位置を確認。しかしどうも電波が上手く届いていないのか、位置の確認がなかなかできない。
「う~ん……あっ、あれは?」
と、空見がふと何か白い建造物に気付く。この森の中である。こうした建造物が現在の自分たちの位置を特定するに役立つランドマークになるのは言うまでもない。
「これは……研究所?」
古く錆びている看板を指でなぞり文字を読むのは猪原。
「待ってください。ここは……立ち入り禁止の」
「ここが……」
新谷の一言に空見が建物を見回す。
かなり大きな白色の建造物。といってもきれいな白色ではなく、長らく風雨に晒されたようで汚れもついている。加えてツタが建物に絡みつき、さらには壁に大穴が開いているところもある。
「空見さん?」
「大丈夫」
空見は建物の敷地内に足を踏み入れる。
「ですが上層部からの」
「先に帰っててもいいよ」
「空見」
猪原の声掛けに足を止める空見。
「何か気になることでも?」
「うん。なんだか嫌な予感がする」
「そっか」
猪原はそれを聞いて空見の背中を追う。
「猪原さん」
「まぁ、猪武者の背中は守るって言ったからな」
彼は彼女に並ぶとふと問いかける。
「嫌な予感って言うと?」
「このあたりには新生物がいっぱいいた。でも航空偵察をしている本部からも、他のチームからも敵の巣と思われる報告がない。と、すると……」
猪武者の彼女にしては鋭い読みである。だが彼女自身は『勘』がとにかく鋭い人間である。それだけに彼女はそれだけしか言っていないが、その推測に至るに足る他の何かに気付いている可能性もある。
「そういうことなら仕方ありません」
「平安さんも⁉ 籠谷さん」
「仕方ないって。こいつ、言い出したら聞かないから」
「でもここに立ち入るなってのは本部の命令ですよ」
「敵を討伐せよ。というのも本部の命令だし? いっちょやってやりますか」
籠谷も抜刀し、他のメンバーもまるで流れに流されるかのように後に続く。
「さぁ、やるよ。みんな」
「はぁ……分かりました。付き合います。どうせ連帯責任取らされるなら、とことんやります……そのうち何かおごってくださいね」




