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夜明けの新世代  作者: 日下田 弘谷
第4章 上層部の命令
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第4話 今日は勝ちましたね

「そういえば籠谷さん。指の怪我は?」


「な~に。この程度すぐに治るよ」


 籠谷は2日前に刀で切った指を見せる。そこにあったはずの傷はきれいになっている。つくづく新世代の回復力には救われるものがある。


「ならよかったです。ですが今日はお気をつけて。さすがの私たちでも死んでしまえば生き返りませんので」


「もちろん」


 警察や自衛隊によって封鎖されたエリア。道の途中で警察に止められたが、証明書ひとつで簡単に通してもらえた場所。というのも今日は前々から予定されていた敵地の強襲作戦決行日。圧倒的攻撃力を誇る9課を基幹とし、その補助に第12課その他2チームを編成した4チーム連合の攻略部隊が今回の戦力である。


 それらの車は少し開けた場所でいつでも逃げられるような向きで停車し、彼らの拠点を作っている。


「で、今回の作戦だけど打ち合わせ通り……」


 籠谷が指揮を執り地図を指さしながら再度作戦確認。


 基本的な作戦としては1チームを拠点防衛に当たらせた上で、他3チームが偵察へ。そのうえで交戦・敵視認の知らせを受け次第援護へと向かうという算段である。話では同行している上層部職員がリモコンの飛行機により航空偵察も行うとのことであったが、これによる偵察効果は不明である。


「というわけで、異存はないかな」


「構いません。では後ほど」


 第12課・新谷はこれにて打ち合わせ終了と、最低限の事務連絡だけを交わしてメンバーの元へと戻っている。いくら無口でおとなしい彼女と言えども、普段ならばもう少し社交的であったはず。作戦前で神経を尖らせているのもそうだが、それだけ現在の彼女のチームが不安定であるという点もあるのだろう。


「大丈夫かな?」


「まぁ作戦自体はしっかりとしてくれるのでは? 猪原さんや稲嶺さんもいることですし」


 棒術使いと銃刀両使いの野郎2人である。空見の不安が残る一方でこの2人が健在であるならば防御力については問題ないと言える。倒しきれないのならそこは第9課が急行して支援するのみである。


「ところで」


「はい?」


 籠谷は大剣を手にウォーミングアップを始めようとする平安に問う。


「立ち入り禁止の建物って詳しく聞いた?」


「いえ。あまり聞いていませんが、なんでも化学薬品の工場だとかという噂は」


「それって風向きとかによってはまずくない? なんぼ怪我に強いといっても薬物耐性なんてないよ?」


「新谷さんが作戦通達の際に上層部へ聞いていましたよ。事前情報では気化した薬品の流出はないから気にしなくていい。討伐に集中してもらいたい。と」


「ふ~ん……」


 籠谷は疑うように目を細める。


「どうしました?」


「いいや。なんでもないよ」


 彼はごまかそうとするが平安は一言。


「隠していることを吐かせてさしあげましょう」


「?」


「今日は勝ちましたね」


「死亡フラグやめて?」


「で、言いたいのは本当にそれでしたか?」


「う~ん、まぁ、そんなところ。気化した薬品流出はないから云々ってところが気になってたのは嘘じゃないよ」


 彼はそう答えながらまたごまかす。と言っても半分本当で半分嘘であるといったところであろうか。


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