プロローグ
どうもここのところ空見の上層部への不信感が募っているところではあるが、一方で与えられている任務は着実にこなしているところ。なんだかんだ言っても自分たちが仕事をしなければ一般人に被害が出るのは間違いない事実なのである。
「で、次は何よ」
空見は不機嫌そうに次なる依頼の報告に耳を傾ける。
「次は敵の討伐です。どうも少し遠くに新生物が住み着いている場所があるとのこと。そちらへ出向くことになります」
「住み着いてるってことはウチだけじゃ対応しきれないんじゃない? 繁殖してるかもしれないじゃん」
「えぇ。ですので複数班での連合を組むことになります」
稲嶺の問いに新谷が淡々と答える。
一応は個別で活動できるように班は組まれているが、相手も群れを成しているとなればこちらも隊の規模を大きくせざるを得ないのである。もっとも現場の状況次第で臨機応変に組み替えることもあるが、原則として新生物1体に1班で当たるというのは変わらないのだが。
「一応ですがその討伐地点の近辺には危険な施設があるとのこと。それだけに上部からの指示は厳命とのことです」
「ふ~ん。上部のねぇ……なんか訳あり?」
「空見も疑いすぎだろ。さしずめ発電所とか、化学工場とかじゃない?」
不信感むき出しの空見に呆れながらに猪原は返してみるが、
「後者だとは聞いています」
「ほんとに化学工場だったのか……」
「新生物が薬品を倒して化学反応が起きていた。とか有毒薬品が流れ出ていた。なんてことなら大変です。私たちもそこまで化学耐性はありませんので」
新世代と言われる彼ら彼女らは一般人離れした身体能力を持つ。だが一方で人間としての域は出ることはないのである。毒物を飲めば死んでしまうし、強酸化学薬品をかければ体が溶けてしまうだろう。それだけに注意しなければならなず、さらには上層部の指示を守るというのは自らの身を守るという点では理解できる話である。
「というわけで空見さん。厳命です」
「はい……」




