第4話 次の任務はどこの班?
新谷の言うように昼間については何事もなく時間が過ぎていく。
時折、携帯端末に緊急通信が飛び込んでくるものの、そのすべてが他の班へ任務が回される。第一線において多くの仲間たちが戦っている中で、自分たちはのんびりできているというのだからどうもすっきりしない部分もある。
そうして迎えた夜……
第9課の4人は1つの部屋に集まり向き合い、どこからともなく現れたボードゲームで遊んでいるところ。4人全員の表向きの立場は軍人であるのだが、実際の所は高校生~大学生相当なのである。夜の暇な時間にゲームくらいはする。
「でさぁ、新谷」
「はい」
猪原はゲームを進めながら新谷へと問う。
「昼間に言ってた意味深な発言、何?」
そう彼が口にすると、話を聞いていなかったのであろう稲嶺や空見は何の話か疑問そうな表情を浮かべる。
「別に大した話じゃありませんよ?」
「黙ってゲームやるのも面白くないし」
「仕事の話をしながらゲームはいいんですか?」
確かに仕事と言えば仕事である。
「……端的に」
「ただの護衛で戦力が多すぎやしませんか?」
そう主張する新谷であったが猪原はため息。
「そうは言うけど、単なる護衛が大事になった例もあるし。いつぞやの政治家護衛の時だってそうだし」
あの時は2つの班が護衛に回っていたわけだが、その双方が新生物対策に出動、それによってがら空きになった政治家が謎の男によって殺害されたという経緯だった。それを考えると、対新生物戦については強力な戦力となりうる2つの班に加え、2つの班に一歩劣るも一般人を越える戦闘能力を誇る第3課が直接の護衛に回っている。そうした構えをとることについては何ら疑問が生じない。特に自国の政治家の暗殺は身内の問題だが、外国使節の暗殺などされようものならば国際問題ものである。そうなるとむしろ今回の警備は軽すぎるくらいではなかろうか。
少し以前にあったそんな事件を思い出しながら空見は足を放り出し天井を見上げる。
「あの時はほんとうに大変だったよねぇ。ただでさえ新生物対策で大変だったのに、テロリストだっけ? 外からも中からも攻められるなんて、内憂外患って言うの?」
「細かいことを言えば空見さんの用い方として『内憂外患』は不適切ですけど、まぁ間違ってないのかもしれません」
「えぇぇ。じゃあ素直に合ってるでいいじゃん。新谷先生、回りくどい」
空見は堅苦しい新谷をいじるように言う。
なお正しい『内憂外患』とは国内・国外に不安や懸念事項があること。国外とはつまり外国との国際問題のようなものであり、新生物のような自然の脅威に対しては不適切であると新谷先生は言いたいらしい。それでも「間違っていない」とさりげなく付け加えているのは、単純に新生物を外敵として考えているからか。それを知るのは彼女のみである。
と、そこで4人の携帯端末に通信が飛び込んでくる。
「ほんと、今日は多いよね~」
「次はどこだろ」
空見と稲嶺は既に通信が他の班に対しての指示であろうと考えてゲームに向き合い、猪原も音がした方に視線を向けただけで無言。そんななかで新谷だけが端末を手に取りその画面の表示に目をやる。
「緊急対応みたいですね」
「へぇ。どこの班?」
空見が問うと新谷は短く答える。
「第9課です」
「第9……へ?」




