プロローグ
「ふ~ん。外国も大変だね」
事務室のソファに腰かけて新聞を広げるのは稲嶺。四方八方を海に囲まれた日本においては、資源の運び込みに苦労をしている。新生物によって船の撃沈が日常的な今、海上自衛隊・海上保安庁の艦船で護送船団を編成してはいるものの、元々の戦力規模からしてそれには明らかに限界がある。空輸については船よりも一度の輸送量に限界があるし、結局は新生物対策が難しい。なんなら陸路として九州~韓国間の海底トンネル計画も浮上したくらいである。
しかし情報とはいいものである。
相手が妨害電波を放っているならまだしもそんな相手でないだけに、『電波』を用いて各国から日本に絶え間なく送られているのである。もっとも送受信設備が破壊される分についてはどうしようもないが……
さて、稲嶺の手にしている新聞には、そんなこんなで外国の情報が載っている。
「へぇ。どんな感じなの?」
空見が身を乗り出しながら新聞を覗き込む。稲嶺にしてみればとっても可愛い美少女(自称)が、彼にくっつくような体勢になっているのだが、意外と彼は気にせず新聞の記事を指さす。
「どこぞの国は新生物を一か所に集めて、一網打尽とばかりに核を起爆したみたい」
「ふぇ~」
「……国内で」
「ふええぇぇぇぇぇぇ⁉」
彼女の驚愕の声が室内に響き渡る。
そんな彼女の目の前では、得物の狙撃銃を整備中の新谷。
「対策は難しいですからね。別に通常兵器が効かないということはないですが……」
「中枢を破壊するには銃ではどうも難しい。あとは爆発で吹き飛ばすのがベストみたいだけど周りへの影響が大きい。ダメージを与えることはできても決定打に欠けるんだよな」
そして横では血で汚れた鉄棒を掃除する猪原。
だからこそ『新世代』を保有する日本は他国に比べると安定的な対策ができていると言える。圧倒的な身体能力を持って白兵戦をメインとする彼らは、新生物撃破に必要な『中枢の切断・破壊』を比較的簡単に行える。それでいて通常兵器に比べると周りへの影響が少ないのである。
「そのうち、私たちが海外派遣とかされることもあるのかな?」
「ははは。そんなことないって……ないよね? 2人とも」
「いえ、私に聞かれても困ります」
「聞くな。知らんから」




