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果てなき空の精霊歌⑫

それでも渦中のアリスは済ました顔で、それを受け止める。

こほんと咳払いすると、肝心の本題に入った。


『それでは、世界中の皆さん、お待たせしました! ジルハルト殿下たちには、しかるべき処罰を受けていただきます!』

『なんだと!?』


凍りつくような冷たい声に、ジルハルト殿下は愕然とする。


『異世界TVのレポーター様!』

『星を司る大精霊様襲撃を狙う者たちを連行しに参りました!』

『なっ……!』


ルージュ王国の精鋭部隊が、次々と会場に雪崩れ込んできたからだ。

絶体絶命の危機。

それでも逃げ出そうとするジルハルト殿下だったが、彼の目の前に聖剣が突き刺さる。


『どこに逃げようとしているんだ?』

『逃げる前に、我らの相手をしてもらおうか?』

『ひいっ……!』


一息に、懐まで潜り込まれる。

屈強な勇者リスアと魔王ウリを前にして、ジルハルト殿下は無様な姿をさらした。

勇者と魔王。

これ以上ない最強の布陣を前にして、ジルハルト殿下たちに取れる手段はもはやなかった。


『さあ、この因縁に決着をつけようではないか!』

『即刻、消し炭にしてやろう!』


勇者と魔王による、ぐうの音も出ないほどの制裁が始まろうとした。

その圧倒的な恐怖に絶えきれなかったのだろう。

完全に心が折れたジルハルト殿下たちは残らず、泡を食って気絶した。

そこで画面が切り替わり、アナウンサーの私がいる広場が再び、映し出される。


『まさかの決着。この後、ジルハルト殿下たちは、ルージュ王国の王城に連行される手筈になっております。暴挙を繰り返したジルハルト殿下たちは、厳しい罰を免れないでしょう』


私がそう発した瞬間、画面端には『ついに迎えた、ジルハルト殿下の最後の瞬間』というテロップが表示された。


『ルージュ王国の闇が明らかになったところで、ここでお知らせです。精霊さんたちと人間が共生する、新たな国、アウリ聖王国、ついにお披露目です!』

「待っていました!!」


建国セレモニーの開幕に、ラトレ村の広場からは大歓声が響き渡る。

画面端に『アウリ聖王国、建国セレモニー』というテロップが表示されると、その瞳はますますもって輝きを増す。

広場に集まった人たちは、もはや待ち切れないとばかりに表情を輝かせた。


——ドンッ。


広場の奥にいた花火の精霊さんが手をかざすと、花火の音が辺りに轟いた。

同時に、空に大輪の花が咲く。

さらに花火の精霊さんによる、生中継ならではの光の演出で、世界中の視聴者さんたちの視線を一瞬で釘付けにする。


『ようこそ、我々の国へ!!』


精霊さんたちが魔法でキラキラと祝福の光を放ち、セレモニーを盛り上げた。


アウリ聖王国——。


妖精さんたちが舞う、晴れやかな空を背景に、そびえ立つのは威風堂々たる古城。

色鮮やかなお菓子で作られたような造りの建物と、青水晶で彩られた中央通り。

木々が生い茂る噴水広場の周りを、精霊さんたちがくるりとダンスを披露している。

そして、風光明媚な景色の中でも一際目を惹くのは、大きな虹の門。

それはラトレ村とアウリ聖王国をつなぐ門だ。

まるで前世で読んだ、おとぎ話の物語を形にしたような王国だった。


『この放送を見ている、すべての人たちへ星の大精霊の祝福を!』


両手を広げて紡がれる言葉に沿って、淡い光の雨が舞い降りる。

飛び散っていく粒子は、まるで星のようだった。

大きな虹の門を中心にして、弾けた星の光はキラキラと輝きながら宙に溶けていく。


「すげえ!!」

「美しい国だ!!」


歓声は鳴り止まない。

誰もが、その幻想的な光景に魅せられていた。


『これほど、美味しい料理があったとは……!』


さらに広場の屋台の紹介もしていき、王様たちが料理を試食する場面もあった。

たこ焼き、焼きそば、ホットドッグ。

屋台の定番も変わり種も、余すことなく楽しんだ。


楽しみも美味しさも次に繋がる。

次回の番組が放送される折にはきっと、ラトレ村とアウリ聖王国は、さらに交友を深めているだろう。

私の胸は春風に刺激され、リズミカルに弾んだ。

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