果てなき空の精霊歌⑪
とんでもないことだ。
卑劣で唾棄すべき方法で、アリスに非道な仕打ちを繰り返してきたのだ。
「これよこれ! 悪役が成敗される、この瞬間が見たかったの!」
ちなみにこの時、女神様はポテトチップスを頬張りながら、興奮して画面にかじりついたらしい。
『早速、真相究明のために、元使者さんにインタビューをしてみましょう。これらはすべて真実ですか?』
『はい、真実です』
私の質問に、元使者さんは神妙な面持ちでうなずいた。
『そもそも、国の宝飾品を勝手に売り払うことは重罪です。だから、その罪をすべて、聖女様になすりつけたのだと思います』
その言葉を合図に、元使者さんによる目玉イベント、暴露トークショーが始まった。
ルージュ王国では、精霊さんと妖精さんは『国の財産』として扱われている。
だが、実際のところ、宮廷魔道具師たちからは『道具』としてしか見られていないという事実。
非道な実験を繰り返していたせいで、ルージュ王国の王都から、精霊さんたちが去ってしまったこと。
さらにはジルハルト殿下たちが、アリスを虐げたり、冤罪を被せて追放したこと。
次々と、世界中にジルハルト殿下たちの醜態と、廃嫡された事実がリアルタイムで暴露されていった。
『これが、ルージュ王国が衰退の一途をたどった原因です』
元使者さんはそのことを踏まえて、ルージュ王国が、今の現状になった原因はすべて、ジルハルト殿下と宮廷魔道具師さんたちにあることを訴えた。
『よもや、ここまでのことをしていたというのか……』
当然、今回のビッグゲスト、王様の反応もすこぶる悪い。
「聖女様をおとしめたジルハルト殿下と公爵令嬢は、絶対に許せないな……!」
「精霊様と妖精様がいなくなったのは自業自得だ! 精霊様たちに、なんて非道な仕打ちを……! 宮廷魔道具師たちは身勝手だ!」
視聴者さんたちからのジルハルト殿下たちへの批判が殺到する。
特に、聖女を重んじる、教会関係者さんたちは重い厳罰を求める声が上がった。
広場に漂う、重い空気。
それを変えるように、中にはジルハルト殿下の恥ずかしい性癖や、実はセコい裏話を暴露して、会場が大爆笑することもあった。
「マリモ鑑賞! なにそれ! あの王子、そんな趣味があったの!?」
女神様はその話を聞いて、ポテトチップスをふき出しそうになってしまったようだ。
大層、盛り上がった暴露トークショーが終わると、画面が切り替わり、アリスがいる王立学園の卒業パーティーが行われた会場の前が映し出される。
『こちら、ジルハルト殿下がいる王立学園の卒業パーティーが行われた会場です。こんな醜態をさらしたのに、いまだに再起の暴挙を企んでいるジルハルト殿下を突撃取材しますよ!』
マイクを手にしたアリスは胸をなで下ろしていた。
ついにジルハルト殿下の悪行が、白日の下にさらされたからだろう。
今回も聖女だとバレないように、顔をフードで隠して変装をしている。
正体を隠し通して、このままレポーターをするつもりらしい。
『あら? ジルハルト殿下を手引きした方々は……どうやら、宮廷魔道具師さんたちみたいですね』
アリスがそう口にした途端、ジルハルト殿下側の派閥、宮廷魔道具師さんたちの頭上に『今回の暴挙を手引きした黒幕』といった、キラキラしたエフェクト(字幕)が出た。
『では、ジルハルト殿下。すべてをさらされた、今の心境をどうぞ!』
『おのれ~!! すべては貴様らのせいだ!!』
アリスは逃げ場のないジルハルト殿下にマイクを突きつけ、彼の支離滅裂な言い訳を世界中に生中継する。
「うわ、言い訳ダサすぎ」
「画面から消えてほしいかも~」
女神様や視聴者さんたちからは辛辣な声が上がった。
『無礼な!』
『殿下に対して、その態度。不敬罪に値するぞ!』
レポーターのアリスの突撃インタビューを目の当たりにした、宮廷魔道具師さんたちが次々と騒ぎ始めた。




