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果てなき空の精霊歌⑦

だが、ミモザ帝国、魔王軍、ギルドという、大きな後ろ盾を得ているとはいえ、さすがに私たちだけでは分が悪い。

住む場所は限られているし、施設もまだ、不十分だ。

歓迎会の準備も相まって、作業が追いつかないのだ。

警護依頼を受けてくれた冒険者さんたちも協力してくれたけれど、なかなかはかどらない。

そんな私たちのもとに、新たな希望の光が舞い降りた。


「皆様。私たちも協力させてください!」


ラトレ村にやってきた元使者さんとその家族が、移住希望者をまとめる役をかって出てくれたのだ。

前回の放送の後、精霊さんたちの力を駆使して、ルージュ王国の追っ手が来る前に、彼の家族を空間転移ばりの速度で救出した。

そのお礼を兼ねての進言みたい。


「改めて、敵であるはずの私たちをお救いくださり、ありがとうございました。このご恩は決して忘れません。これから精一杯、努力して、村の発展に貢献させていただきます!」


元使者さんの辺境伯のもとで培った仕事の有能ぷりは、ラトレ村に来てからも健在だった。

彼は設計図をもとに、区画ごとに的確に分けたり、設備の拡張を行っていく。

新たなセカンドライフを送る彼は、とても生き生きして楽しそうだ。

住居、酒場、ギルド、大浴場など。

元使者さんの手腕で、次々と新たな施設が完成していった。

住む場所が確保するまでは、新たな移住希望者さんたちには、ラトレ村の入口付近にある、大きな宿に滞在してもらうことになっている。

そのおかげもあって、ラトレ村は順調に大きな町へと変貌していった。

忙しい日々は、あっという間に過ぎていきーー。

そして世界中が注目する中、ついに迎えた、『歓迎会当日』。

開催まで時間がかかってしまったけれど、その分、豪華にするつもりだ。

広場には、様々な屋台が立ち並び、その奥では花火の精霊さんが打ち上げ花火を上げることになっている。

元使者さんによる目玉イベント、『ルージュ王国の王家のここが変だよ』という、暴露トークショーも開催されることになっていた。

さらに何故か、私の名前を冠することになってしまった、『アウリ聖王国』の建国セレモニー。

精霊さんたちと人間が共生する、新しい国のお披露目も予定されている。

既にラトレ村の入口には、歓迎会のために朝早くから並んでいる人たちが見受けられた。

ラトレ村に行けない人たちは、既にテレビの前で待機している。

会話を弾ませて、放送直前のドキドキ感や期待感を共有しているみたいだ。

そうこうしているうちに時間は過ぎて、だんだんと歓迎会の時間が迫ってくる。


「前回の放送以上に、注目を浴びそうね……」


レポーターのアリスの表情は、少し緊張をはらんでいた。

食堂を繁盛させることから始まった、私たちの『異世界TV』という番組は、『世界放送』という極大まで広がっている。

テレビという未知の娯楽は、世界中の多くの人たちを虜にしてしまっているのだ。

日本では当たり前のテレビが、異世界『アルトクラン』では、こんなにも重みを持つものになっている。

それを実感しているのだろう。

そういう私も、本番前ということで少し緊張をはらんでいる。


アリスたちとともに、異世界TV放送前の最終確認(ファイナルチェック)をしたら、少し緊張がほぐれるかも……。


そう思っていたのだが、予想外の来客があり、事態は変わった。


『星を司る大精霊、アウリス・クロエ様、大変です!!』


テレビの精霊さんが緊急で割り込んでくる。


『ルージュ王国の国王様たちが、森の入口の前で、アウリス・クロエ様たちとの謁見を求めております!』

「ええっ!?」


予想外の出来事に、肝を冷やした。

思いがけない来訪者たちに、私たちは思わず、面食らってしまう。

ラトレ村へ続く森が、迷いの森と化していること。

そして私たちが、遠方の光景を見ることができる魔法を使えると見据えていたのだろう。

王様たちは敢えて、森の入口で私たちの謁見を求めたのだ。

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