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過去への回帰②

『横から失礼します。星を司る大精霊、アウリス・クロエ様。少しご相談をしたいことがあるのですが、よろしいですか?』

「相談……?」


思わぬ申し出に、私は目を瞬かせた。


『はい。重大なことが発覚したかもしれないんです』

「分かったわ。ちょっと待って」


そのやり取りを見て、サフランくんは少し不安そうな表情になった気がする。

しばらくテレビの精霊さんと話すことを伝えると、アリスたちは快く承諾してくれた。

私は冷蔵庫の精霊さんに厨房を託して、テレビの精霊さんと一緒に自分の部屋に入る。


『忙しい時間に申し訳ございません』


私が向き合うと、テレビの精霊さんは気まずそうにうつむいた。


「ううん、気にしないで」

『ありがとうございます……』


感謝を述べたテレビの精霊さんは、どこか決まり悪そうにしている。

何か、重大な話なんだろうか。

そう思い始めると、疑問はどんどん膨らんでくる。

しばらく待っていると、テレビの精霊さんはようやく重い口を開いた。


『サフラン様は以前、ルージュ王国の魔道具師ギルドで働いていましたよね』

「ええ。でも、ギルドでは身分差が影響にして、肩身の狭い思いをしていたのよね。仕事を押しつけられた結果、無理やり工房を追い出されたって聞いたわ」


私は思い出した記憶をそのままなぞる。

するとテレビの精霊さんは興奮気味に、ここぞとばかりに話を切り出す。


『改めて、お伝えします。アウリス・クロエ様。サフラン様は素晴らしい技量の持ち主です!』

「ええ。サフランくんがいなかったら、テレビ番組の放送の実現は難しかったと思うわ」


テレビの精霊さんの言葉に、私は大いに納得する。

テレビの精霊さんが認めるほどの優れた逸材。

これだけの腕を持ちながら、ルージュ王国の魔道具師ギルドでは不憫な扱いを受けていたのだ。

恐らく、優秀だったから、妬まれていたのだろう。

ルージュ王国の魔道具師ギルドって、本当に見る目なさすぎる。

私が以前、感じたことを思い返し、憤りを覚えていると。


『……このことは、誰にも言わないでほしいのですが、ジルハルト殿下たちの動向を探るため、ルージュ王国のことを調べていたら、とんでもない秘密にたどり着いてしまったのです』


そう前置きして、テレビの精霊さんが切り出したのはルージュ王国の話だった。


『ルージュ王国の王家は、表向きは華やかな王家ですが、裏では代々、王族の血を引く隠し子が「至高の魔道具師」として、王国の国防や宝具を維持する役割を担っているようなのです』

「隠し子?」


青天の霹靂の言葉に、私は目を瞬いた。


ルージュ王国で、王族の血を引くのは第一王子、ジルハルト殿下を筆頭に、第二王子と続く。

ちなみに、現王はかなりの愛妻家で、奥方が一人しかいない。

そんなお妃様が生んだ子どもは、第一王子と第二王子、二人だけだ。

だが、第二王子は最近、流行り病で亡くなったと聞いている。

つまり、ルージュ王国で今、現在、王族の血を引くのは王太子である第一王子、ジルハルト殿下のみである。

だから、ジルハルト殿下はなりふり構わず、我が物顔で振る舞っているのだろう。

そして、そんなジルハルト殿下に寄り添うのは、新たな婚約者になった公爵令嬢リリア。

しかし、彼女を快く思わない者、娘を将来の王の妃にしようと目論む貴族にとっては、リリアは邪魔者であった。


だが、そこに『隠し子』が加われば、話が変わってくる。

もし、隠し子がいたという事実が発覚すれば、恐らく、世継ぎ争いが起きるだろう。

リリアを追い落とそうとする貴族たちが、もし、この『隠し子』の存在に気づき始めたら……。

食堂の……ううん、ラトレ村の平和が脅かされることになる。

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