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過去への回帰①

「アウリ様、アリス、サフラン、おかえりなさい」

「ただいま、みんな」


ラトレ村に戻ると、村の人たちが温かく出迎えてくれた。

私たちの帰りを心から喜んだり、さりげなく肩を叩く姿も見受けられた。

血のつながりを超えた『居場所』。

そんな村の人たちに囲まれて、照れくさそうに笑うサフランくん。

そんな彼の姿を見て、私は幸せを噛みしめる。


「過去がどうであれ、サフランくんがラトレ村の住民には変わりないわね……」


今も、こうして間違いなく、サフランくんは『ラトレ村の住民の一人』として、この世界に存在している。

その事実は途方もなく、私の心を温めた。

いつか、彼の過去が牙を剥(む)いたとしても、自分も、その『家族』の一員として守り抜こうと決意を固める。


「あ……、お母さん!」


アリスとサフランくんと一緒に話しながら食堂に向かうと、そこにはアリスのお母さんがいた。

どうやら、私たちの帰りを待っていたようだ。


「お母さん、ただいま」

「アリス、サフランくん、アウリ様、おかえりなさい」


私たちの姿を見つけると、アリスのお母さんは少し目尻を下げて、優しく出迎えてくれた。


「サフランくん、今日の夕食はどうするの?」

「もしよろしければ、こちらで食べようと思っています」


アリスのお母さんの問いかけに、サフランくんはぺこりと頭を下げる。


「そうなのね。じゃあ……!」

「うん! サフランくん、いらっしゃいませ!」


アリスの言葉に相まって、私は両手を広げて言い放った。

料理の香りが漂う食堂は、今日も明るく、私たちを招き入れる。

サフランくんは席につくと、メニューを眺めた。


「今日は『親子丼』を頼むな」

「はい。かしこまりました。いつもありがとうございます」


私は水が入ったコップをテーブルに置くと、厨房へ向かう。

この世界に存在しない丼物は、食堂の人気メニューの一つだ。


「アウリ様、おかえりなさいませ」

「ただいま」


そう言って快く出迎えてくれたアリスのお父さんに挨拶する。

近寄ると、ふわりと厨房の出汁の香りが漂ってきた。


「しばらく留守にしていてごめんなさい。私たちがいない間に、困ったこととかなかった?」

「食堂も、村も大丈夫です。冷蔵庫の精霊様のおかげで、食材も滞りなく足りていますし、村の人たちも元気ですよ」

「良かったわ。私たちの方も、収穫があったから期待していてね」


アリスのお父さんから、私たちの不在中の報告を受けた。


「冷蔵庫の精霊さん。今、大丈夫?」

『はい、お呼びですか? 星を司る大精霊、アウリス・クロエ様』


私の呼びかけに、小型の冷蔵庫のような精霊さんがとことこと歩いてきた。


「親子丼を作りたいの。卵とたまねぎと鶏肉、それに伴う調味料を出してもらえる?」

『かしこまりました』


私は冷蔵庫の精霊さんにお願いして、必要な材料を出してもらう。

精霊の力を借りれば、材料や調理機器などを調達しなくてもいいので、コスト削減につながる。

さらにアリスの聖女の力を使えば、その料理を食べただけで傷が癒えたり、病気予防にもなる。

テレビ番組の放送も相まって、食堂はいつも大繁盛だった。


「ここの料理を食べれば、疲労が回復するな。まさに癒しの場だ!」

「すっかり、行きつけの場所になっているわね!」


お客さんたちの喜びの声に、アリスのお父さんは嬉しそうだ。

ここまで好いてもらえば、店主冥利に尽きるというものなのだろう。


ひとまず、食堂を繁盛させるという目的は果たせたのかな……?


そう思えば、私も肩の荷が下りた気がした。


「ご注文の親子丼です」

「ありがとうございます。この甘辛いタレが、ごはんに染みていていいよな」


私が注文の品である親子丼をテーブルに置くと、サフランくんは穏やかに表情をゆるませた。

そこで、テレビの精霊さんが会話に入ってくる。

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