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新たな国造り⑥

*


「では、また、後日に」

「ありがとうございます」


アウベルさんに見送られて、私たちは冒険者ギルドを後にした。

アウベルさんのおかげで、冒険者さんたちの人手を得ることができそうだ。


「依頼も無事に出して、ギルドマスターに冒険者さんたちを斡旋してもらえることになったし、後回しになっていたテレビ番組の制作の方も頑張らなくちゃ!」


建物の隙間から、陽の光が差し込んでくる。

さながら、天使のはしごみたいだ。

美しい夕焼け空。

そんな夕焼けを見て、つい『画角(カメラ映え)』を気にしてしまうのは、異世界TVのアナウンサー兼レポーターとしての職業病なのかもしれない。

それでも、私の心は別の方向に向いていた。


「そういえば、サフランくんはいつも、私たちの事情を深く聞いてこないわね」


私はふと感じた疑問を、サフランくんに問いかけた。


「何か、事情があるんだろう……じゃなくて、あるんですよね。なら、無理に聞かないようにしようと思ったんです」

「どうして?」


サフランくんの瞳が、私を真剣に見つめる。


「俺も話したくないことがあるので、その気持ちは分かるんです。それだけのことです」


あっけらかんと言われて、私も返す言葉がすぐには見つからない。

そういう考えもあるんだと、どこか納得させられてしまう。

それにサフランくんの言葉には、どこか重みを感じたからかもしれない。

転生の間で、女神様のために、異世界TVのアナウンサーをしていた頃のことを思い出す。

異世界TVのアナウンサーとして、世界中を駆け抜けた時のことを。

不意に、懐かしさがこみ上げてくる。


あの頃は女神様のために、情報を収集して、世界中を回ることに必死だった。

テレビの精霊さんと連携して、充実したテレビ番組制作を頑張っていた。

そんな中、噂話を聞き及んで、他のアウリスたちの様子を見に行ったこともある。

もっとも、実際に見たのは勇者、魔王、聖女の三人だけだったけれど。

そのうちの一人、聖女であるアリスの様子を、上空から窺っていた時、必然的にサフランくんのことも知ることになった。


アリスの実家の近くに住んでいる、サフラン・フォーラムくん。

いつも、愛され食堂に通っているお得意様だ。

サフランくんは、優しいラトレ村の人たちに囲まれて幸せそうだった。

だけど、サフランくんは村の人たち、誰とも血がつながっていない。

その理由にーー胸がぎゅっと苦しくなる。


サフランくんは幼い頃に、森の中に捨てられていた子なのだそうだ。


でも、ラトレ村の人たちが見つけて、彼を懸命に育ててくれた。

サフランくんに『魔道具師』としての才能があると分かった時も、村の人たちは必死にお金を貯めて、ルージュ王国の王都へと送り出していた。

サフランくんにとって、ラトレ村の人たちはもはや、『本物の家族』みたいな存在だろう。

ひとりぼっちだったサフランくんの氷のような心を溶かしたのは、まぶしいほど温かいラトレ村の人たちだ。

サフランくんの出生は、詳しいことは分からない。

ただ、魔道具師としての才能があることから、その家系の生まれだと容易に想像できた。


「サフランくんは、自分の出生について、何か知っているのかな……」


私は途方に暮れたようにサフランくんを見つめる。

サフランくんの表情は穏やかだったけれど、笑みの奥にわずかなさびしさが混じっていたような気がした。

もしかしたら、サフランくんの過去はうなだれるしかないものかもしれない。

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