↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/49

自重ができない私たち④

「気づかなくてごめん……じゃなくて、大変申し訳ございません。このたびは、わざわざご足労いただきありがとうございます。こちらがテレビ用の魔道具になります。ご確認ください」

「うわあっ! サフランくんが造った魔道具、すごいわね! 期待以上よ!」


率直に言った感想だったが、サフランくんからは少し意外な反応が返ってきた。


「ありがとうございます。テレビの精霊様がサポートしてくれたおかげです」


サフランくんは少し照れくさそうに、テレビの精霊さんを見つめる。

するとテレビの精霊さんは興奮気味に、ここぞとばかりに話を切り出す。


『アウリス・クロエ様。サフラン様は素晴らしい技量の持ち主です! わたくしの説明だけで、テレビの構造を理解して、それに伴う魔道具を忠実に造り上げてしまいました!』

「すごいわよね!」


テレビの精霊さんの言葉に、私は大いに納得する。


テレビの精霊さんが認めるほどの優れた逸材。

これだけの腕を持ちながら、ルージュ王国の魔道具師ギルドでは不憫な扱いを受けていた。

恐らく、優秀だったから、妬まれていたのだろう。

ルージュ王国の魔道具師ギルドって、本当に見る目なさすぎる。


悶々としつつも、テレビ番組制作に話は戻る。


「これで、魔道テレビの試作機の準備は万端。よし、量産したら、いよいよ、テレビ番組の収録の準備に入るわよ!」

「さあ、ここから他の作業も仕上げね。放送するって言った手前、最後まで気を抜けないわ!」


私とアリスはぐっと握りこぶしを作って、気合いを入れる。


テレビ番組の放送が終わるまでは気を抜けない。

とはいえ、みんながそろえば百人力だ。

勇者リスアたちの協力を得て、量産した魔道テレビを各地に配置した後。

私たちは満を持って、異世界『アルトクラン』、初のテレビ番組を放送することになったのだ。


*


テレビ番組の名前は『異世界TV』。

テレビ番組の受信場所は、ラトレ村とミモザ帝国と魔王城付近、あとは転生の間のみ。

そして、ライブ中継型プロモーション。

つまり、生中継を流すことにしたのだ。

面白さを追求しつつも、私たちは万全を期すために慎重に打ち合わせを行っていった。


これは魔道テレビを配置してから、二週間後に放送された、実際のテレビ番組の内容である。


『こんにちは。皆様、いかがお過ごしでしょうか』


画面中央にはマイクを持った、異世界TVのアナウンサーの私が映し出された。

番組収録現場は、ラトレ村付近の森。

場所が特定できないように、森の中にしている。


『お昼の合間に、とっておきな情報をお届けする、異世界TVのお時間です。あなたの今、知りたい情報を楽しくお届けしますよ。では皆様、最後までごゆっくりとお楽しみください!』


その響き渡った声に、各地の人たちが手を止め、テレビ画面に目を釘付けにした。

魔道テレビが配置されている場所は、広場などの人目に引くところにしているからか、多くの人たちが足を止めた。


「な、なんだ、あれは? 魔道具か?」

「もしかして、勇者リスア様がおっしゃっていたテレビというものでは?」

「おい! 魔王様が薦めていたテレビ番組が始まったぞ!」


待ちわびた人たちが、続々とテレビ画面に視線を向ける。

勇者リスアのお墨付きだと言われたら、誰だって注目せずにはいられない。

それに魔王軍における、魔王ウリの宣言効果は抜群だった。


『放送第一回目の特集は、『新たな観光地、ラトレ村』。村に暮らす村人たちに突撃インタビューしてきました。では、ここで現場にいるレポーターさんを呼んでみたいと思います。レポーターさん? レポーターさん!?』


私がそう言うと、画面がラトレ村の畑道に切り替わる。

画面端には、『ラトレ村の名産品といえば?』というテロップが表示された。


『はい。こちら、ラトレ村です。本日は、ラトレ村の名産品について、突撃インタビューしたいと思います』


マイクを手にしたアリスは、村人たちへと目を向けた。

聖女だとバレないように、顔をフードで隠して変装をしている。

正体を隠し通して、このままレポーターとして徹するつもりらしい。


『すみません。ラトレ村の名産品について、お伺いしてもよろしいでしょうか?』

『ラトレ村の名産品かい? そうだね。やっぱり、麦やトマトじゃないかな』

『僕、食堂で、麦とトマトを使ったナポリタンをよく食べるよ!』


アリスがマイクを向けると、村の人たちが次々と名産品について話していった。


『ラトレ村の名産品といえば、麦とトマト。それを使った「ナポリタン」という未知の料理を知るため、私は食堂に潜入し、その人気の秘密を深掘りしてきました。ラトレ村にまつわる、美味しい伝説を検証します!』


アリスの弾んだ声と同時に、画面が食堂に切り替わる。


『今回、ご紹介するのは、ラトレ村の「愛され食堂」の定番メニュー、ナポリタン。麦とトマトを使った、甘くコクのある一品ですよ!』

「ナポリタン? なんだ、その料理は?」

「あの、魔王様が話していた料理か?」


アリスの説明を聞いた人たちが、興味深そうに目を見開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。