表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と呼ばれ剣聖になった男  作者: 悠渡
第一章 大商帝国と神秘の森
18/22

第十二話 森人族の少女

 ......最近、五千文字を超えなくて一話一話がとても短いです。

 ......なるべく長く書かなければ......

「凄い大きさだな」

「ああ、とても大きい」

「スゲェな」

「凄いです......」

「皆さん、こっちです」


 ミーティアを降り、周りを見渡してハヤトたちが森の大きさに驚いていると、エルフィンドがハヤトたちに声を掛ける。


 こんなに緑の葉が生い茂っているこの森で、本当に"邪霊樹"とやらの影響を受けているんだろうか?


 詳しく判らないので、考えることを止め、エルフィンドに付いていく。


「それにしても、本当にでかい森だな」

「そうですよね、まあそれも当然ですよ。この森は、五千年以上前からここにあるんです」

「五千年!?」

「はい。まあ、それも定かじゃないんですけど」

「そうなのか?」

「はい。元々、この森に森人族エルフの人々は住んでなかったんです。千五百年位前、僕たちの祖先はこの容姿故に、人々から迫害を受けたんです。でも、それを一人の人間が助けてくれたんです。そして、その人と共にこの森を見つけ、この森に住むようになったんです」

「へぇ~。そんな過去が在るのか、この森には」

「はい。で、本題に戻ります。この森に住むようなった頃の森人族エルフたちは、とある大樹を見つけました。その木の樹齢を図ったところ、五千年近くだったんです」

「なるほど、だから五千年以上前から在るかもしれないのか。......そういえば、森人族エルフの初代族長って誰なんだ?」


 何故、唐突に森人族エルフの初代族長の名をエルフィンドに聞いたのかというと、単純に知りたかったからである。そんなどうでもいい質問にも、エルフィンドは快く答えてくれた。


「初代族長ですか......初めて森人族エルフをまとめた人なら、判ります。確か、アナスタシア・フォン・ハイアールヴだったと思います」

「へぇ、......っ!」


 その名前を聞いたとき、ふと頭に巨大な大樹と二人の人が浮かび上がる。会ったことも無い二人と、行ったことも無い場所に居る。まるで、別の誰かの記憶のような。ただ判るのは、時々夢に出てくるあの男のものでは無いことだけ。

 

「どうした、ハヤト」

「ん? ......ああ、別に何でもない。大丈夫だ、シュラ」

「そうか」

「ハヤトさん、体調が悪かったら言ってください!」

「いや、大丈夫だって」


 少し頭痛がして歩くのを止めたら、二人から心配された。大丈夫なのだが......


「ところでエルフィンド、集落に向かっているんだろ?」

「はい、そうです」

「どこら辺にも、それらしきものが見えないんだけど......」

「集落には、結界が張ってあるんですよ。そのせいで見えなくなっているんです。それに、あと一時間ぐらい歩かないと、集落には着きませんよ」

「そうなのか......」

「そ、そんなにがっかりしないでくださいよ」


 一時間と聞いて、肩を落としたハヤトを気に掛ける。


「しっかりしろよ、ハヤト。情けないぞ」

「たかが野宿で、ぶーすか言ってた奴に言われたくない」

「なんだとぉ!」

「なんだよ!」

「二人ともやめてください、本当に情けないですよ!」

「「ラミアは黙ってろ!」」

「落ち着いてください!」

「「グハッ!」」


 喧嘩を始めたハヤトとヴェルクロムを、ラミアが殴って仲裁する。そのやり取りを見ていたシュラは、それでいいのか? とも思ったが、面倒なことになりそうだったので口にすることはなかった。


「ところでエルフィンド。"邪霊樹"とやらはどこら辺にあるんだ?」

「......少し寄り道になりますけど、いいですか?」

「俺は構わないが、あいつらは判らん」

「ん? 俺も構わないぜ」

「俺も」

「私も構わないですよ」

「じゃあ、付いてきてください」


 そう言われ、ハヤトたちはエルフィンドについて行く。ーーーーー




 ーーーーー十分位経っただろう。


 周りには、所々黒い葉を付けた木を見かけるようになった。そして、黒く染まった霊力が周辺を覆うようになっていた。若干、息苦しい気もする。


「何か、暗くなってきましたね」

「何なんだ?」

「......これって魔力か? いや、霊力か......」

「はい。元々、森に流れていた霊力です。森から離れて一週間しか経っていませんけど、もう殆どの霊力が"邪霊樹"に侵食されたようです」

「つまり、殆どの自然がこんな風に、黒く染まっていっているってことだよな」

「はい。この森に入ってきたときの木々は、まだ染まってないと思いますけど、時間の問題ですね」

「そうか......」

「......集落に向かいましょう。さっきよりかは近づきましたし」

「判った。......っ! ラミア、ヴェル、しゃがめ!」

「「え......?」」

「クッ......!」


 突如敵意を感じ、その敵意がラミアとヴェルを狙ったものだと判った。故に、二人にしゃがむよう伝えた。直後、二人に目掛けて短剣が降り下ろされた。瞬間、天羽刃斬(アメノハバキリ)を抜き、斬撃を防ぐ。その一撃は、木から飛び降りたために相手の体重が掛かっており、とても重い一撃だった。そんな攻防が何回か続いた後、相手が口を開いた。


「出ていけ......!」

「それは無理難題だな」

「ならば、強制的に退去させるまで......!」

「やってみろ......!」

「ハアッ......!」


 再度、攻防が始まる。剣の扱い自体は素人だ。なので、楽々躱せる。恐れるに足らない。だが、一度でも受けに回ってしまうと、攻撃出来なくなるだろう。


「ハアッ......!」

「面倒だな......」

「ハヤト、加勢した方が良いか?」

「......いや、いい。大丈夫だ」

「......あ......」

「どうした、エルフィンド?」

「あ、いえ......」


 何かに気付いたエルフィンドに声を掛けるが、素っ気なく返される。一方ハヤトは、決め手が案外容易く躱されてしまうので、勝負を決められずにいた。


「ちっ、面倒だな......」

「っ! 何のつもりだ? 剣に鞘を付けたまま戦うなど」

「......ハンデ、と思ってくれればいいんだけど」

「ふざけるな!」


 剣に鞘を付けたまま戦おうとするハヤトに、相手は怒りを表す。怒りで我を忘れたのか、さっきより剣筋にキレが無いように思える。加えて、長所だった自分の体重を乗せた剣の降り下ろしすらもしないようになり、愚かにも鍔迫り合いを仕掛けてきた。基本鍔迫り合いは、短剣では難しいし、力の強い方が有利だ。なので、こちらが有利だ。何故なら、相手は短剣を使うし、ハヤトと同い年ぐらいの少女だからだ。


「クッ......! 何故当たらない......!」

「教えてやろうか?」

「ハァ......ハァ......」

「無言はイエスと取るぞ。まず一つ、お前は自分の剣の長所を自ら捨てたんだ」

「っ!」

「一撃一撃に自分の体重を乗せて、相手を一瞬怯ませるような攻撃が長所なのに。怒りで我を忘れて」

「......」

「もう一つ、短剣で鍔迫り合いなんか、無謀だって判ってただろ? それに男女の間には、大きな力の差が在る。なあ、森人族エルフの短剣使いの少女」

「っ!」


 ハヤトは、フードを被った相手を少女だと断言した。相手はフードに手をかけ、フードを取り顔を出す。その顔は、全てのパーツが綺麗に整っており、黄金比と呼べるような容姿端麗な顔だ。加えて、森人族エルフの特徴である長い耳、俗に言うエルフ耳と翡翠の髪をポニーテールに纏めた姿が、またその美人さに拍車をかけている。


 そんな少女は、ハヤトに何故自分が女なのかを質問した。


「......一体、どこら辺で私が女だと判った?」

「最初の一撃の時」

「なっ! 私が女だと判っていて、勝負に乗ったのか!?」

「ああ、覚悟を決めて勝負を挑んできたんだ。それを無下にするのは、相手の覚悟を踏みにじる行為だからな。ま、地味に強かったけど、元々剣を使うことは少なかったんじゃないか?」

「そこまで判るのか?」

「まあね。だってさ、木の上から奇襲を掛けるなんて剣に自信が在ったら絶対に行わない。どんなに非道な奴でも。それに、元々は剣じゃなくて弓を使ってたんじゃないか?」

「なるほど。その洞察力、私の剣が当たらなくても仕方がないか......それよりもだ。何故私が森人族エルフだと判った?」


 容姿端麗の少女は、何故自分が森人族エルフだと判ったのか、とハヤトに質問した。


「簡単なことだろ。お前は、木の上から俺たちの裏を掛けるよう見ていた。なら、ラミアやヴェルを狙うよりも、殆ど戦闘能力の無いエルフィンドを狙った方がもっと効率良くことが進むだろ。なのにそうしなかった。聞いたところによると、亜人族は同胞を大切にするらしいからな。お前が森人族エルフだと、エルフィンドに手を出さなかったことも頷ける」

「......そうか。だがやはり、この森から出てってもらう。今入れる訳にはいかない。それに、エルフィンドも返してもらう」

「姉さん、この人たちは僕を助けてくれたんです。乱暴はやめてください!」

「......え?」

「え、そうなの?」

(なるほど、このことに気づいていたから、さっきは口ごもったのか)


 衝撃事実、まさかエルフィンドがあの少女の弟だったとは。ラミアオロオロし始めたし、ヴェルクロムはポカンという擬音が付きそうなくらいの表情をしているし、ハヤトは口を開けたまま動かないし、シュラに至っては衝撃を受けていないし。何が何だか......とか何とか


「姉さん、わざとでしょ」

「......」

「はあ、何でそう何時も何時も相手を試すような真似をするかな。姉さんは」

「......すいません」

「ハッ! エルフィンド、そいつってお前の姉だったのか......!?」

「あ、はい、すみません。何時も何時も、相手を試すような真似をするんです」

「......」

「な、なんだ!?」


 弟に謝罪させている姉に、ジト目を向ける。それに気付いた少女は、ハヤトに向けて少し赤くなった顔を向けて睨み返す。


「いや別に、恥ずかしくないのかな、って思っただけだよ」

「何だと......!」

「まあまあ。姉さん、集落に連れていきたいんだけど、付いてきて」

「なっ、正気か!?」

「うん、ハヤトさんたちなら解決してくれそうな気がするんだ」

「なっ!」

「......だがな、エルフィンド。俺たちは元々、お前を森に届けるのが目的だった。次の目的地が此処だったとしても、俺たちがお前たちの事件解決に手を貸す義理など無いだろう? だから、俺は事件解決に手を貸す気は無い。まあ、俺たちのリーダーはハヤトだ。ハヤトが手を貸せと言うのなら、手伝うぐらいはしよう」

「......はあ、お前も何て言うか、お人好しだなシュラ」

「なんのことやら......」

「俺たちは、森人族エルフの森の事件解決に尽力を尽くす。手伝ってくれ、シュラ、ヴェル、ラミア」

「了解した」

「おう、判った」

「了解です」

「それじゃ、案内よろしく頼む」

「はい!」

「......あれ、ちょっと、エルフィンド! まだ話終わってな......」

「さあ、行きましょう」

「ちょっと~!」


 森人族エルフの襲ってきた少女を置いて、エルフィンドに付いていく。エルフィンド曰く、後一時間ほどで集落に到着するらしいので、そこまでは六人旅になりそうだ。一時間限りなのだが。

 次回は、12月19日に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ