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無能と呼ばれ剣聖になった男  作者: 悠渡
第一章 大商帝国と神秘の森
13/22

第七話 ラミア誘拐 

 十二月十三日、内容を少し変更しました。

「ハヤトさん! 大丈夫ですか!?」

「何で、ラミアがここに居るんだ!?」

「それはですね」

 

 時は遡ること三時間、ハヤトが帝国を出て一時間経った時のこと。ヴェルクロムがラミアやシュラと共に朝食を食べ終わった時のことだ。


「なあラミア」

「何でしょうかヴェルクロムさん?」

「ハヤトのところへ行ってれないか」

「何故ですか?」

「嫌な予感がする。俺らが頑張っても、ハヤトがいる場所まで五時間近く掛かってしまう。ラミアなら獣人の特性を活かして二時間半で着くだろ。弁当もついでに持ってってくれ、頼む」

「......わかりました! では行ってきます!」

「頼んだ」


 ラミアは元気よく家を飛び出し、ハヤトの許へとむかった。そこでシュラがヴェルクロムに訪ねる。


「......そんなに危険なのか?」

「わかんねぇな......けど何か危険なんだ。これは理屈じゃない、何と無く」

「そうか......何事もなければ良いがな」


 そして時は今に戻る。


「そうだったのか......でも何で出てった後の会話を知ってるんだよ」

「このウサ耳は飾りじゃないのですよ。帝国の大きさぐらいなら、全ての声を聞き分けることが出来ますよ。私は有能なのです!」


 俺の質問に答えて、自信気に胸を張るラミアを見ていると、何処か心が安らいだ。だけどすぐに気持ちを引き締める。


「でもラミア、ここは一人で逃げた方がいい。アイツには勝てない」

「大丈夫ですよ。私はこれでも獣人の端くれ、身体能力なら負けない自信が在ります」

 

 何がそこまでラミアを自信付かせているのか、ハヤトにはわからなかった。よく獣人の身体能力はとてつもないと聞くが、実際ハヤトは見たことはない。だからこそレベルで勝る方が強いと思っていた。そう、今までは。ハヤトは"真眼"を使って、ラミアのステータスを見る。するとハヤトの顔は驚愕に染まった。ラミアのレベルもそうだが、なんといってもATKに目をむけてしまう。


ラミア・ホワイティア 性別 女(16) レベル45


職業 大戦斧使い


HP4500

MP2170


ATK6750

DEF5450

SPD7080

MIA2380

MID2450

DEX4780


能力

斧闘技術アックスアーツ 《一撃強化》《戦斧投擲》《武器破壊》 危険察知 気力操作 魔力操作 絶気魔力操作 雷獣精霊の加護 獣人身体能力補正 


精霊属性 雷


装備

白鈴の白服

奴隷の首輪


持ち物 弁当


「...............すげぇ」

「? 何がですか?」

「あ、いや何でもない」


 ラミアの驚愕ステータスを目の当たりにしたハヤトは、賛美の言葉しか浮かんでこなかった。そんなことを思っている今も、ラミアは正体不明のリザードと戦闘をしている。基本蹴りで攻撃しているため、リザードは悉くはね除けられる。そこでハヤトは目的を思い出す。


「ラミア! 背中の鉱石は破壊しないでくれ!」

「......わかりました! ......それと武器を貸してください!」

「連接剣だが......許してくれ!」


 ラミアにむかって連接剣を投げる。ラミアは連接剣を受け取るとその剣を鞘から抜き、魔力を通してリザードの目掛けて振り抜く。瞬殺だった、瞬く間にリザードは細切れになり地面に伏した。


「大丈夫ですか、ハヤトさん」

「あ、ああ、もう立てるし大丈夫だ。それより凄いな、瞬殺だよ」

「私たち獣人は身体能力を自由に強化出来るんです。ですから、モンスター程度には負けません」

「そうなんだ」

「そういえば、お弁当を預かっています。洞窟を出て一休みしましょう」

「そうだな、朝ごはん食べてないからお腹が空いた」

「じゃあ行きましょう!」

 

 ラミアは、元気良く洞窟を進む。そして洞窟を出ると、地面に座って六段弁当を開けていく。豪華おせち並みに豪華だった。


「いや~旨いな、旨いし盛り付けも完璧だ。ラミアは将来良いお嫁さんになるんじゃないか」

「そ、そうでしょうか」

「うん、きっとなると思う」

「えへへ~、そうですか~じゃあもっと頑張ります。頑張って頑張って、もっと料理上手になります!」

「おう! 頑張れ!」


 ラミアは頬を赤らめながら、自らの決意をハヤトに宣言する。二人が会話をしていると、森の方から木の枝が折れる音がした。


「何だ!?」

「ハヤトさんは下がっててください!」

「ちょっと待ってください! 僕らは怪しいものじゃないんです! ちょっと道案内を頼み......たく......て......」

「ちょっとどうしたのよ」


 森から出てきたのは、男女二人ずつの四人組だ。最初に出てきた一人は、ハヤトを見て固まる。その後出てきた者たちも、唖然としていた。何故なら、彼等はハヤトのクラスメイトだった者たちだからだ。


 ハヤト本人は余り、クラスメイトの名前は覚えていないためうろ覚えだが、道案内を頼みたいと言ってきたのは工藤蓮くどうれん、穏和で優しい人物だ。長身でイケメンでもある。その後ろから出てきた女子は御門夏帆みかどかほ、長身で性格は怒るととても怖いが普段は優しい。さらに男女二人が後ろから出てきた。男子の方は篠崎守しのざきまもる、背丈は小さく中性的で、のほほんとした人物だ。女子の方は、加々美凛歌かがみりんか背丈は普通程度、眼鏡をかけた穏和で優しい人物だが、キレると別人の様に変わり怖い。 


 ハヤトがそう思っていると、篠崎が眠たそうに言葉を発する。


「あれ~、ハヤト君て崖から落ちて死んじゃったんじゃないの?」

(ド直球だな!)

「そうなんですよ! おかしいんです! 僕たちは死んでしまったと思っていました。なのに目の前にはハヤト君が居ます」

「崖から落ちても死ななかった......とか」

「でも高さから考えて助かるとは思えません」

「奇跡的に助かったんじゃない。ふわ~あ......眠い」

「そうでしょうか......でも助かっているなら、今すぐにでも戻りましょう」

「......そうよ! アイリちゃんも待っているし!」

(ヤバイな、連れ戻されそうな雰囲気だ......ここは最終手段使おう!)

「どうしたんですかハヤト君?」

「あの......皆さんどちら様ですか?」

「「「「ッ!!」」」」


 ハヤトの意外な返答に四人は驚いた。まさか記憶喪失なのでは! と思ったりもした。そんな四人にむけて、ハヤトは言葉を発した。


「僕が覚えているのは暗い岩場で目覚め、何らかの魔方陣が在ったのでその上に乗り、魔力を注ぐと地上に脱出出来たのです。なのでそれ以前の記憶は在りません。何処で生まれたのかも、何処で育ったのかも、何故あのような場所に居たのかもわからないのです」

「そう......何だ......アイリちゃんのことも忘れちゃったの!?」

「アイリ......さんですか......すみません、全く覚えていません。その方とはどういう関係だったんでしょうか?」

「アイリさんはハヤト君の妹です。ハヤト君が崖から落ちてからは相当落ち込んでいました。なので生きているってことだけでも伝えてあげたいのです。どうか着いてきてくれませんか?」

「......すみません。僕は今、旅をしています。なので着いていく気は在りません」

「そうですか......わかりました。無理を言って申し訳ありませんでした」


 四人はハヤトの説得を諦めたとき、ハヤトは四人が最初に言っていた言葉を思い出す。


「あの......さっき道案内を頼みたいと言っていた気がするんですけど」

「そういえば【ラジア帝国】へ行きたいんですけど迷っちゃって、道案内を頼めますか?」

「僕でよければお受けしますよ」

「本当ですか、良かった」

「じゃあ行きましょう」


 皆を促し帝国への道のりに向かう。ハヤトはローブに付いているフードをかぶり、歩き出す。そこでラミアが四人に質問をする。


「あの、質問をよろしいでしょうか?」

「何?」

「何故、帝国を目指しているのですか?」

「ああ、【アレキウス王国】の王様から《グランアーサー》とか言う大会で優勝した者をスカウトしてこいって言われてね。だからこうして帝国を目指しているの」

「なるほど、そうだったのですか」

「それはそれは......悪い報告だけど......」

「何ですか、ハヤト君?」

「その大会の優勝者って僕なんだよね」

「「「「......ええっ!」」」」

「悪いけどそのスカウトは諦めて」

「そ、そうだったんだ」

「残念だね」


 そこから、皆で走って帝国に向かった。何も起きず、無事に帝国に着いた。二時間弱しか掛からなかった。帝国に着くと、ハヤトとラミアはヴェルクロムの屋敷に行き、蓮たちは帝城に行った。


 ハヤトたちはヴェルクロムの屋敷に着くと、リザードから採取した鉱石をヴェルクロムに渡す。そのあとハヤトはソファで寛いでいた。


「疲れた」

「どうしたんだ、ハヤトは?」

「それが、旧友と鉢合わせしたらしくて、ずっと記憶喪失のふりをしていたんです」

「何故、そんな面倒なことを?」

「記憶が在ると気付かれたら、連れ戻されてしまう。妹のことは心配だけど、まだ戻る気がないんだよ」

「そうか。気の毒にな」

 

 シュラはハヤトの答えに対して適当に返し、自らが使用している部屋に戻った。その受け答えのあと、ハヤトはアイリについて考えていたが、頭がボーッとしてきたので少し仮眠を取ることにした。


 仮眠を取ったあと、正確にはまだ目覚めていないのに、何処と無く意識が回復していった。目を開けると、そこには真っ白な空間が広がっていた。


「う~ん、前にもこんなことが在ったな......いい加減教えて欲しいな。まあいいか、それより出口出口」


 あまり驚いた様子も無くは、ハヤトは冷静に出口を探す。すると、何処からか声が聞こえる。聞いたことの在る声だ。


「次は何だ?」

「ごほっごほっ。ああ~......お久しぶりだね、ハヤト君」

「またあんたか。何のようだ?」

「久しぶりに会えたのに酷い!」

「まあ、そんなことは置いといてだな」

「置いておくの!?」

「あんたに聞きたいことが山ほど在る」

「まあ、今ならある程度の質問には答えらるけど。何が聞きたいんだい?」

「まずは、あんたの名前だ。俺の本名は知ってるんだろ?」

「うん、まあ......ね」

「じゃあ早く自己紹介しろよ。時間が無いんだろ?」

「じゃあさっそく、僕の名前はす......」


 そこから黒ローブの男は、自身の名前を話したらしいがよく聞こえなかった。


「は? 何て言ったの?」

「......もしかして聞こえなかった?」

「聞こえなかった」

「......そうか、まだ完全に意識が繋がっていないのか。じゃあ、しょうがないね」

「いや、何もしょうがなくないんだけど!?」

「時間切れだ。じゃあ、また会える日まで」

「おい、待て! おい! おい! ......また勝手に消えやがった。結局何も教える気無いんじゃないか。まあ戻るか......どうしよう」


 また変な空間に取り残され、戻ろうとしても戻る方法がわからない。戻る方法を探していると、突如として空間が光った。


 目を開けると、ソファから転げ落ちている自分が居た。


「いやぁ、痛い。地味に痛い。何なんだよ本当、勝手に現れたと思ったら勝手に消えるし、教えてあげるとか言いながら何も教えてくれないし......何なんだよ本当! まあいいか、取り合えず......」


 ハヤトは徐に服のポケットに手を入れ、銀時計風の時針盤を取りだし、時刻を確かめる。今はジャスト陽刻の十一時、朝ヴェルクロムの屋敷を出たのが月刻の五時、洞窟から帰ってきたのが陽刻の九時。二時間ちょっと眠っていたらしい。リビングに行ってみるが、誰も居ない。


「ん~どうしたものか......やることが無いんだよな......市場にでも行ってみるか」


 そう思い屋敷を出て、市場に行ってみた。


 市場では、色々な物が売っている。例えば食材なら、リームやミルトなどの果物類やカノムなどの野菜類、魚の干物らしきものからケーキみたいな物まで売っている。流石は【ラジア帝国】、何でも売っている。因みに食材以外では、紐やら剣やら盾やらがいっぱい在った。


 ぶらぶらと歩き回り一通り見たところで、ハヤトはある事に気がつく。


(何か、大通りの方が騒がしいな。見に行ってみるか)

 

 ハヤトが大通りの十字路に着くと、そこには、見覚えの在るウサ耳が生やしている純白の髪を持つ少女が、黒服の男たちを倒していた。


「! ラミア!」

「ハヤトさん! どうして此処に......!?」


 ラミアは、何故此処に居るのか? と聞きたかったのだと思い、ついさっきまでの事(夢の事を除く)を話した。その後、ラミアが何故こんな状況下に居るのか教えてもらった。


「なるほど、黒服の男にぶつかって蹴飛ばされた少年を守ったら、その男はこの前の男だった、というわけか」

「そうなんですよ。ハヤトさんも、こんな場面に遭遇するなんて災難ですね」

「全くだ。取り合えず協力して此処を切り抜けるぞ」

「はい!」


 二人は協力して、黒服の男たちを薙ぎ倒していく。そして残り数人となったところで、二メートル近く在る巨体の男が降ってきた。その男が降ってきた場所には大きなクレーターが出来ている。


「次は何だよ?」

「あ、あの人は」

「知り合いか、ラミア?」

「あの人は......私を捕まえた人です」

「マジかよ、ってことはラスボスか?」

「お前か、我々の邪魔をする奴とは」

「いやいや、俺は悪くないだろ」

「反省をする気は無いと」

「ああ」

「ならば排除するまでだ!」

「ヤバッ!」


 男は、ハヤトに狙いを定め飛んできた。そして男が拳を振り抜き、それをハヤトがかわす。その拳は、辺りを陥没させんばかりの威力で地面にめり込み、クレーターを作る。この威力の一撃を食らえば、ハヤトでも即KOだろう。そこでハヤトは男のレベルが気になったので"真眼"を使ってみた。


ジャンク・レード 性別 男(42) レベル75


職業 拳闘士


HP13500

MP7890


ATK13900

DEF11580

SPD12300

MIA6010

MID8970

DEX8970


能力 

拳闘技術ボクサーアーツ 《一撃強化》《一撃破砕》《絶対破砕》《一拳五撃》 身体能力強化 魔力操作 絶気魔力操作


装備

黒服


「っ! マジかよ」

「どうしましたか、ハヤトさん?」

「逃げるぞ、ラミア」

「ど、どうしたんですか?」

「あいつのステータスは異常だ、今の俺たちじゃ勝てない」

「わかりました」

「逃がすとでも思っているのか」

「いや~ここは見逃してくれないかな~」

「無理だとわかっているだろう!」

「くっ!」


 ジャンクは右拳を振りかぶり、ハヤトに殴り掛かる。それをハヤトが躱すと、こんどは左拳を振り上げ殴り掛かる。ハヤトは、剣を持ってきていないので掌打で応戦するも、大したダメージを与えているとは思えない。


 ジャンクは拳を繰り出し、ハヤトは掌打で応戦する。そんな戦いがずっと続いた。だが、そんな戦いは唐突に終わりを告げる。


「がはっ!」

「言っただろう、逃げられないと」

(くっ、何だ今のは。一発しか殴っていない筈なのに、五発当たった。......そうか、"一拳五撃"っていうのは一撃で五発放つことなのか......)

「今の技は、一撃で五発放つ......」

「"一拳五撃"......だろ」

「なるほど、奇妙な能力だな。さながら能力看破......いや、先ほどの言葉からすると......わかったぞ、お前の能力は他者のステータスを盗み見ることだろう」

「勘が鋭すぎるだろ」


 ハヤトは辛うじて喋れるが、先ほど食らった一発が聞いているのか、動く気配が無い。そして、ジャンクはラミアの首筋に手刀を落とし、気絶させる。その後、ジャンクはハヤトに近寄り、注射器のような物を首筋に刺す。注射器の中に入っている液体をハヤトに注入した後、ハヤトに語りかける。


「少年、今後我等に関わるな。今回命だけは見逃してやる。次、我等に関わったのなら、容赦はせんぞ」

「く......そ......」


 ハヤトは薄れ行く意識の中で、気絶したラミアが黒服の男たちに担がれ連れ去られていくのを見ていた。そんな中でハヤトは、自分自身の弱さが恨めしかった。


 ハヤトが目覚めたのは、ヴェルクロムの屋敷で使用している部屋だった。うっすらと目を開け、自分の置かれている状況を確認する。その後ジャンクとの戦闘を思い出す。


「負けた......んだよな......本当に弱いな、俺は。もっと強くなりたいな......」


"俺ももっと強く在りたいよ、シーナ、カナタ、フウカ、シグルド、ジン、アメ"


「っ! 何だ、今のは! 誰かの記憶? ......あの男のか、でも何でだ? まあ、いいか」


 何かが頭に流れ込んできたような感覚の後、変な映像が見えて誰かの記憶だと思う。記憶が誰のかを考えていると、ヴェルクロムとシュラが部屋に入ってきた。そして徐にシュラがハヤトに語りかける。


「何があったのか聞きたいが......まぁ大体予想がつく。大方余計なことに首を突っ込んで、ラミアが拐かされたんだろう。しかもお前は負けた......哀れだな」

「......ああ、そうだよな。俺は弱い。......でも、弱くてもラミアとの約束は守らないといけないと思う。だから、助けに行く」

「まぁ、そう言うと思ったからな。裏競売会が、行われる会場を突き止めておいたぞ。開始まであと一時間ちょいだな。ここからだと速くても一時間弱掛かるから、直ぐ出発するぞ。じゃないと間に合わない」

「わかった、今すぐ行こう」


 ハヤトは準備をして会場に向かう。そこでふと気付く、辺りが真っ暗になっているのだ。そこで、ローブのポケットに入ってる時針盤を取りだし、時刻を確認する。


(げっ、月刻七時。六時間ぐらい寝てたのか。......そういや、会場には多分あのジャンクって奴が居るよな。......勝てるかはわからない。でも、ラミアを助けるためには戦わないとな。絶対に勝ってやる)


 ハヤトは、ジャンクに勝つと心に誓う。そのまま走ること一時間弱、大きな会場に着いた。そして中に入ろうとすると、中から声が聞こえた。


「だから入れないんです、招待状を持っていなければお通しすることは出来ません。なのでお引き取りを」

「だから、何で招待状なんて物が必要なのよ!?」

「そういう決まりなんですって」

「なら、ここのトップを呼んで頂戴!」


 会場のロビーで、声を荒げて喋っている者には心当たりが在った。つい八時間ぐらい前、洞窟近くの森で会ったクラスメイトの御門夏帆みかどかほ。そしてその一行だ。


 夏帆の怒号にも似た声を聞いて、そのやり取りを見ていたハヤトは何処か、気が削がれていた。それは、シュラやヴェルクロムも同じだった。


 そしてハヤトは、一閃を使用してを、彼等一行をホテルから連れ出し、近くの物陰に隠れた。


「はぁ、色々と聞きたいけど取り合えず......馬鹿なのか!? あんなにごり押ししたって、意味無いだろ!」

「ハ、ハヤト君?」

「ハ、ハヤト君? じゃないだろっ! つか、お前ら何しに此処に来たんだよ! 俺らの邪魔をするな!」

「............」


 ハヤトの早口に、一行は固まっていた。何故なら、いきなり何者かに引っ張られたと思ったら、ハヤトがいきなり目の前に現れ怒られたのだ。蓮と夏帆は唖然としていて、守は我関せずと目を閉じている。凛歌は目を回している。


「で、何しにこんな所まで来たんですかね!」


 不機嫌そうに、ハヤトは蓮たちに用を尋ねる。


「え~と、女王陛下に此処で行われている競売会を止めて欲しい、と言われて......」

「なるほどな、お前らレベルは」

「え~と、僕は30」

「私は......30」

「僕は~......40」

「わ、私は25です」

「ふーん、あっそ」


 上から蓮、夏帆、守、凛歌の順だ。一応、嘘か本当かを"真眼"で確かめた。


レン・クドウ 性別 男(16) レベル30


職業 暗殺者


HP1790

MP2790


ATK2890(3990)

DEF1790

SPD3490

MIA1700

MID1390

DEX4940


能力

暗殺技術 《正体隠蔽》《気配遮断》《気配感知》 武器投擲 心読


装備

近接戦闘用兼投擲用ナイフ 《フラガ・ラック》

黒装束


持ち物

70000シリン



カホ・ミカド 性別 女(16) レベル30


職業 剣術士


HP2590

MP2790


ATK4590

DEF2790

SPD3980

MIA1590

MID2890

DEX3890


能力

剣士技術 《縮地》 


装備

名刀 空裂 

名刀 白鋼

白き服一式



マモル・シノザキ 性別 男(16) レベル40


職業 槍術士


HP4790

MP3890


ATK6970

DEF2360

SPD7870

MIA3490

MID2890

DEX5980


能力

槍士技術 《一点突き》《高速突き》 心眼 


装備

呪槍 ゲイ・ボルガ

霊槍 ゲイ・ジャルグ

霊装一式



リンカ・カガミ 性別 女(16) レベル25


職業 結界術士


HP3080

MP6970


ATK580

DEF1780

SPD1490

MIA890

MID7870

DEX4890


能力

結界生成技術 《結界生成》《絶対防御》《大結界生成》 魔力制御


魔力属性 結界


装備

神杖 ソロモニア

魔法使い装備一式


(結構強いな、驚いた。これもレンジさんや柊の采配あってのことか......)

「ん、どうしたんですか?」

「クドウは30、ミカドは30、シノザキは40、カガミは25......か。まあまあ強いな」

「そういうハヤト君のレベルは、どれぐらいなの?」

「俺か、俺のレベルは......そういやどれぐらい何だ?」


 ハヤトは今の自分のレベルが気になったので、自分のステータスを確認する。


ハヤト・カンザキ 性別 男(16) レベル53


職業 剣豪


HP5790

MP6490


ATK5460(6260)

DEF4590(4790)

SPD5690(5790)

MIA6580(6780)

MID6290(6490)

DEX5890(5990)


能力

煌式剣術コウシキケンジュツ 《一閃》《瞬閃》《連閃》 能力ストック 魔力操作 絶気魔力操作 霊気魔力操作 真眼 覚醒者 精霊の加護


魔法属性 特殊


装備

絶対剣 天羽刃斬アメノハバキリ

大蛇の連接剣

伝説の黒ローブ(精霊の加護付き)


持ち物 20000シリン 世界の銀時針盤 HPポーション×20 MPポーション×20


(何かまた増えたな......)

「ハヤト君!聞いてる?」

「ああ、俺のレベルは53だ」

「結構強いね~」

「あの~、そう言えばさっきから気になってたんですけど、ハヤト君の口調が森で会ったときと少し違うような......」

「確かにそうね......」

「確か、記憶を失っていたんじゃ......」

「元から記憶喪失って言うのは、嘘なんでしょ~」

「「「え......」」」

「鋭いな、シノザキ。その通り、記憶喪失何て言うのは嘘。全部演技だよ」

「な、何でそんなことをしたんですか......」

「何故......か。一つ理由を言うならば、あの集団は危険だから戻りたくない......からかな」


 ハヤトが言った理由の真意に、一行は気付かなかった。一行が頭の上にハテナを浮かばせているのにも拘わらず、ハヤトは無視して話を進める。


「まぁ、それよりもだ。お前らに聞く、人と戦うことは出来るか?」

「大丈夫ですよ」

「それは勿論、出来るわよ」

「う~ん、大丈夫じゃないかな~」

「私も大丈夫です」

「......いや、質問を間違ったな......もう一度聞く、人を殺せるか」

「「「っ!」」」


 篠崎以外は驚いていた。何故、いきなりそんなことを聞くのか? 自分に出来るのか? そんなことを考えてしまい、黙り込む。お通夜みたいな沈黙が続いていたが、一人がその沈黙を壊す。


「殺したくは無いけど、やらなきゃいけないなら殺すよ。それしか道がないなら......だけど」


 沈黙を壊したのは、篠崎守だ。地球に居たときからのほほんとしていたが、いつも核心を突くし、やるときはやる人間だった。


「篠崎君は、それで良いの!? 人を殺すってことは、命を奪うってことなんですよ!」

「う~ん、だってしょうがないじゃん。魔王だって人な訳でしょ、なら魔王を倒す=魔王を殺すってことじゃん。殺すことに躊躇っていたら、友達失っちゃうよ」

「......」

「僕も友達を失うぐらいなら、人だって殺します」

「そんな......工藤君まで」

「私は......わからない。人を殺せるかなんて、やっぱりわからないわ」

「夏帆ちゃん......そうだよね。やっぱり私は人を殺したくない」

「......」

 

 皆の答えを聞いて、ハヤトは黙っていた。だが時間も無いので、一行に付いて来るのかを質問した。


「ま......意地悪な質問をしたのは謝るけど、人を殺せないなら付いてこない方がいい。敵は俺らを殺す気でくる、下手をすれば死ぬぞ」

「......でも、僕は付いて行きます」

「僕も付いて行くよ~、ハヤト君の戦いかたを見てみたいからね」

「私も付いて行くわ」

「え、ええ~皆付いて行くんですか?」

「凛歌はどうするの?」

「わ、私は......私も付いて行きます。皆さんを、守らないと行けませんから」

「はぁ、了解した。シュラ、ヴェルクロム、お前ら、俺に考えが在る」


 そう言い、ハヤトはとある作戦を提案した。

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