前へ目次 次へ 3/92 事故の最中に【200文字】 「おい!! 人が落ちたぞ!」 悲鳴と怒声の入り混じる中、声とほぼ同時に、プラットフォームに入ってきていた電車は、急ブレーキをかけて止まる。 「おいおい、これで最近通算何回目だよ」 そう見知らぬ男が隣で呟くのを聞きながら、僕は心の中で深く頷いた。 そうなのだ。最近、この路線では人身事故が多発している。にもかかわらず、その件数は減少しない。 『どうにか手を打たなくていいのかよ』 そう思うだけの自分が不甲斐なかった。