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馬鹿なエアコン

2010年10月25日の作品です。

 俺の家のエアコンは、頭が良かった。そう、ちょっと……、少し前迄は。今でも頭が良いといえば良いんだが……。


 その日俺の家にやって来たエアコンは、今迄の物とは全く違う物だった。電源という物が無く、コンセントを差し込むと、部屋の中の温度を勝手に計測し夏になれば冷房、冬になると暖房に勝手に切り替わる。春や秋といった気候の良い時期になると勝手にOFFモードに切り替わるという優れ物だ。


 夏のある日、家に帰るとその有能なエアコンが馬鹿に変わっていた。家の中がサウナのように暑くなっているにも関わらず、暖房をガンガンに出していたのだった。ムカついた俺はエアコンの側面をバンバン叩いた。その時だった。『そんなに叩いたら痛いやろ!』と何処からか声が聞こえたが、流れ出る汗のせいで余計にエアコンに腹が立ち、さっきより強くエアコンをバンバン叩いた。『痛い言うてるやろ! 暑いんかいな! こんなに寒いのに!』とまた声が聞こえた。

 暫くしてからその声の主がエアコンだと気が付いたのだが、そうなると訳が分からないのを通り越えて「テメェ! この真夏の真っ盛りに何暖房掛けてやがる!!」とエアコンに向かって怒鳴っていた。エアコンもエアコンで『こんなに寒いのに何言うてんの!』と怒り口調だ。暫くこの文明の力と大声で言い合いをしていたのだが「兎に角冷房つけろよ!」と言うと『寒さで死になや』と一言言うと、冷房に切り替わった。


 それからは暫くの間、この馬鹿エアコンと『暑い』だの『寒い』だのの言い合いを続けたが、結局俺が「暑い」と言えば冷房が入り、「寒い」と言えば暖房が入るという事に納まった。


 そして今、俺の家には馬鹿なエアコンがある得意技はまず話すという事。しかし、きわめつけは、電気を喰わないという事だ。もう長い間コンセントは抜いている。しかしコイツが言うには、電気はスタート時にのみ必要で後は吸い取った埃をエネルギーに変換するという事らしい。だから俺の家は、電気代があまりかからない。


 『でも……、命令しないと温度の分からない全自動って……。馬鹿じゃなきゃ何だてぇんだ』





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