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思い出の欠片




少しだけ埃っぽい書庫の佇む少年は小難しい本を一心に読んでいる。金髪が窓から入るそよ風に揺らされて少し鬱陶しそうに掻き上げた。


「ねぇ、ジェイク今日もいい天気ね?」


いつからだろう、呼びやすいようジェイクの名前をジーグと呼んでいた少女。だが物心つく頃には愛称ではなくジェイクと呼ぶようになっていた。

にっこりと微笑む少女は綺麗な銀髪の髪をなだらかに揺らしながらジェイクに近づいて来た。


「そうだな、お前は散歩でも行ってきたらどうだ?」


「……それなら。あなたも一緒にいきましょうよ、ジェイク。」



少女の言葉に顔を少ししかめた。

どうしてそうなるのだ、と言う気持ちがありありと見える表情である。そんな顔をしてしまったのは読んでいる本がとてもいい所に入ったばかりだったと言う事と、その本を読んで浮かびそうだった考え事が消えてしまったこと。元々煮詰まっていた点などによって苛立っていた。


「たって…ジェイク最近外に余り出てないらしいじゃない」


「…まぁ。最近一日の大半は書庫に籠っているからな」


そう、ジェイクは最近知識を広げる努力に勤しんでいた。だからといってずっと室内にいるような人間と言うわけではない。

ただ、一度これを極めると決めるとものすごく熱中してしまうという極端過ぎるだけなのだ。


少し前までは剣術に熱中していたが、今では様々な知識を拾おうと動いている。ちなみに剣の腕前は並大抵ではなく、今すぐにでも重役を任せられる程だった。



「そうよ、だからたまには外の空気を吸いましょうよ!…ね?」



「悪い…今日は辞めとく。今度また誘ってくれ」


そう言って本に視線を戻すと、小さな溜息が聞こえてきた。

すると少女はゆっくりとした足取りで自分の隣に座る。

隣に座る少女に目を向けると、膝を曲げて座り込み、額に膝を付け俯いていた。


「…ジェイクはいつもそうよ、いつだってそう言うじゃない…ジェイクのばか」


小さくなっている少女の頭に手を伸ばして軽く頭に触れると、少女は少しビクリと震えたが、それは最初だけでそのまま頭を撫でる手を咎めることはなかった。


「…ねぇ、ジェイク?いつになったら…………」


撫でていた手を止めて少女の言葉を考えてみる。少女がなにを思って言ったのかジェイクは理解して居なかった。ほんの少しの悪戯心でジェイクはある条件を口にする。



「ん?…そうだな、もし……………その時な」


「絶対ね?…約束よ」


突然顔をあげて必死な表情を持つ少女に、こみ上げた笑いを微笑に変えると止めていた手をまた動かした。



……ーーー








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