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短編集No.021 テイク・オフ

テイラーは思い出す。100年以上前、人類は遠くへ行くことに多くのカネを必要としたということを。

というと、ただ安くなっただけのように聞こえるが、実のところ時代を遡れば遡るほど移動に係るコストは増える傾向にある。

安価で高速で、遠くまで行くことのできる道具が増えたことが安くなった要因だと、地理の先生に昔聞いたな。

そう思いつつ、テイラーは飛行機に乗り込む。

200年以上愛用されているその輸送手段は、しかし確実に形を変えてきている。

今はもうプロペラはなく、また大きな翼もない。

尾翼と呼ばれる小さな安定翼でバランスをとり、最後部のブースターでエネルギーを放出するその設計は、昔ながらのロケットをも思わせる。

New York発Tokyo行の飛行機の指定席に座り、出発の時間を待ち望む。

今回の引越しではどんな人と巡り会えるのだろうか。

期待と不安を胸に飛行機は飛び立った。

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