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【聖獣機神ガオガオン】特A級AIエンジニア、手作りスイーツで美少女聖獣たちをテイムして最強機神のマスターになる件  作者: 月神世一


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EP 5

クズ女神の受難と、出汁に飢えた邪神の八つ当たり

新宿で特A級社畜と神々による壮絶な防衛戦が繰り広げられていた頃。

そこから数駅離れた、とある商業ビルの裏路地では、情けない悲鳴が響き渡っていた。

「ひぃぃぃぃぃぃッ!! な、なんなのよアンタたち! わたしはただの時給1,100円の清掃員よぉぉ!!」

ヨレヨレのエンジ色のジャージに健康サンダル姿の女――女神ルチアナが、清掃カートをガラガラと引きずりながら猛ダッシュで逃げ惑っていた。

その後ろを、眼球を赤く濁らせたスーツ姿のサラリーマンたち(死蟻型に寄生された人間)が、両手から酸性のヨダレを垂らしながら猛烈な勢いで追いかけてくる。

「残業……タスクの消化……有給、許サナイ……」

「いやぁぁぁ! 労働の強要、反対ぃぃ! わたしは定時で帰って、ホッピー飲みながらソシャゲのガチャ回したいだけなのぉぉ!」

ルチアナは全知全能の女神(神魔鬼大戦の勝者)でありながら、人間社会のルールと「賠償金」を恐れるあまり、神の力を一切使わずに全力で物理的な逃走を図っていた。

「玲王くーん! 助けてぇぇ! もしわたしが死んだら、今日のログインボーナスが途切れちゃうわぁぁぁ!!」

クズすぎる叫び声を上げながら、ルチアナはゴミ箱をなぎ倒して路地裏を爆走していく。

***

一方、その頃。

アナスタシア世界の最終ダンジョン最深部『天魔窟』。

「……おお、おお……! これじゃ、これじゃあ!」

最高級のアルマーニのスーツを着こなすインテリヤクザ――邪神デュアダロスは、マホガニーのデスクに前のめりになり、魔法で生成した薄型テレビの画面に釘付けになっていた。

画面に映っているのは、日本のお茶の間で大人気のグルメ番組『突撃! 下町の人情食堂』。

ちょうど、湯気を立てるカツオと昆布の『黄金の出汁』に、うどんが投入される最高のシーンだった。

「見ぃや、この透き通ったスープ! 画面越しでもカツオのええ匂いが香ってくるようじゃのゥ……。ワシも、この出汁をズズッとすすって、熱燗でキューッとやりたいんじゃァ……!」

デュアダロスがヨダレを拭い、身悶えしたまさにその瞬間。

ザガァァァァッ!!

突如として、テレビの画面が禍々しい赤黒いノイズに覆われた。

黄金の出汁の映像が掻き消え、代わりに現れたのは、白塗りの仮面を被った道化師ピエロ――魔人ギアンの顔だった。

『……お茶の間の皆様。労働に休息テレビなど不要です。魂が燃え尽きるまで、我が社のために……』

「……あ?」

デュアダロスの顔面から、スッと表情が消えた。

彼は手に持っていた高級葉巻を灰皿に置き、画面の中のピエロを冷たい目で見つめた。

「……おどれ、サルバロスのトコの『ギアン』じゃのゥ。何さらしとるんなら」

『……? はて、どこかの電波に混線しましたか? 私は死鬼王サルバロス様の人事部長として、今、日本を制圧マネジメントしている最中でしてね。貴方もすぐに、絶望の糸で――』

「ワシの『黄金の出汁』を返せやァァァァァァァッッ!!!」

ドガンッ!!!

デュアダロスの怒号と共に、凄まじい邪気が爆発。

マホガニーのデスクが木っ端微塵に吹き飛び、背中の『登り龍』の刺青が、怒りのあまりマグマのように赤く発光し始めた。

「ワレらぁ! 毎日毎日、このカビ臭い洞窟でカロリーメイト齧りながら、唯一の楽しみにしとった『グルメ番組』を……よりにもよって出汁ダシが絡む一番ええシーンでブツ切りにしやがってからにィィ!!」

画面の向こうのギアンが、予想外のヤクザのガチギレに『……え?』と固まる。

「絶望の糸じゃと!? 絶望しとるのはワシの胃袋じゃボケェ! おどれらのような三流のチンピラが、ワシの『癒やしの時間ゴールデンタイム』を邪魔するたぁ……ぶち舐め腐りやがって!!」

デュアダロスはスーツの胸元から魔力のトカレフを二丁引き抜くと、画面のギアンの顔面に向かって容赦なく乱射した。

「ギアン! サルバロス! おどれら、絶対に許さんけえのゥ! 次ワシの前に面ァ出したら、そのピエロの鼻からカツオ出汁ブチ込んで、東京湾に沈めたるわァァァ!!」

テレビの画面が粉々に砕け散る。

出汁に飢えたヤクザ邪神の怒りの咆哮が、天魔窟に空しく響き渡った。

奇しくも、地球と異世界で、全く違う立場の二人の強者(特A級社畜とヤクザ邪神)が、**「テメェのせいで俺の至福の時間がぶち壊された」**という全く同じ理由で、魔人ギアンに対する純度100%の殺意(私怨)を燃やしていたのである。

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