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Bloody Code  作者: 大森六
第二章 東京都区別対抗学戦祭編

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第34話 色祭り開幕!

『え〜皆様〜。大変長らくお待たせしました! 第三回東京都区別対抗学戦祭、選手入場です!』



 実況アナウンスが会場全体に響き渡りディスプレイが一斉にメインゲートを映し出す。


 丘の上から拍手と共に各チームが順番に登場する。そしてフィールド中央広場へと行進する。



『最初に登場したチームは前回、前々回の王者、黒川区代表チームです!』


 キャ〜キャ〜と黄色い声援が会場を埋め尽くす。


「天月さま〜!」


「永井君!!」



『やはりすごい人気ですね! 特に天月千早あまつきちはや永井ながいみなとのダブルエースの人気っぷり! ダントツですね〜。リーダーの新田政次にったまさつぐは……あまり声援がありませんね……さて、黒川区チームOBでもある解説の河村さん、いきなり後輩チームが登場しましたが、いかがでしょうか?』



『そうですね〜。みんな精悍せいかんな顔立ちで期待できそうだなという第一印象を受けました。贔屓目ひいきめなコメントになってしまい恐縮ですが頑張って欲しいですね〜。

 あと、新田君は単純に性格悪くて人気ないので仕方ないですね。実力はそれなりにあるんですけれど、残念ですよね。もう少しイケメンだったらまた少し違ったかもしれません』


『なんと!まさかのOBからいきなり厳しいコメントきた〜』



 会場からドッと笑いが起こる。


 恥ずかしそうにする新田。同時に怒りが込み上げる。


(クッソ……河村先輩まで……許さね〜ぞ。今回の大会で俺がMVPになって周りを必ず見返してやるからな……)



『さぁ、そして今大会がホームとなる青川チームの登場です! 圧倒的な人気を誇る青一高エースの権田成美ごんだなるみの登場です!』


 ライトが一斉に消えて権田成美にスポットライトが当たる。BGMが突然切り替わる。


『なんと〜こんな露骨ろこつな演出があっていいのでしょうか! さすがスポンサー権田財閥の令嬢! 両手を上げて歓声に答えているぞ〜』


『いいですね〜団体スポーツなのにプロレスの入場シーンみたいでワクワクしますね! 私はこういうエンタメ感は大賛成ですよ。周りのチームメートが大爆笑とドン引きとで別れているのがまた最高ですね!』


『確かに! 葛城聖司かつらぎせいじ東雲しののめあかりはもはや行進できていません。ツボにハマったんでしょうか。一方、鏡慎二かがみしんじ六条太地ろくじょうたいちは恥ずかしそうに距離をあけて歩いています! ここで他人の振りは難しいぞ〜』


『そして今回の大会の注目ポイントの一つ、青川区には青三高の二年生が競技に参加しているのです! 河村さん、いかがでしょうか』



『いや〜驚きましたね。能力があって抜擢ばってきされたということなんでしょうが、第一高からではなく、他校から選ぶというのは前代未聞です! まぁ、まだ三回しか行われていませんが……注目しておきたいですね!』



『その名は六条太地! 果たして本大会の台風の目となる存在なのか〜!』



「太地〜!頑張れ〜! 全員ブッ飛ばせ〜!!」


(母さんやめてくれ〜)



『続いて、入場したのは……来ました! 黄山区代表チームです』


『リーダーの羽生(はにゅう)さやかとエースの羽生瑞穂は、なんと双子の姉妹なんです! チームの絶対的存在!! 私滝沢実花(たきざわみか)の一押しチームです!』



『実況が一押しチームを持てるこの大会の自由度がいいですね』


 エンドサーフェイスから月人が太地につぶやく。


『あの双子の姉妹はどちらもローダーだ』


「マジで? GSD(ジスド)の仕込み?」


『そこまではわかんねーけど、注意はしておけよ』



 そして赤川あかがわ区、橙川とうせん区、紫川しせん区、茶山ちゃやま区の順に各区代表チームが続々と入場する。月人が言うには特に問題は無いようだ。


『続きまして、桃山区の入場です!』



『出て来ましたね〜桃山区。彼らの川区に対するライバル意識はすごいですからね。昨年は惜しくも2位! 山区の最高順位記録を更新しました』


『そんな猛者をまとめるリーダー、獅子王大輔ししおうだいすけ! まさに本大会の注目選手の一人ですね』



『続きまして緑野区代表チームの入場です! 毎年感じることですが緑野区は……なんと言いますか、山区と川区をつなぐ役割をになってくれている存在ですよね!』



『ちょうど位置的にも開発地域の山区と旧23区の川区の間に位置していますからね。リーダーの平山清敬(きよたか)をはじめとするチーム全体のキャラクターもまさに調和を望むスタンスといいますか……私はこういう形の参加は色祭りでは非常に重要だと思いますね』



『そして予選から勝ち上がって来た2チームの入場です!』


『ホワイトチーム、グレーチームですね〜。都内の学生連合による臨時チームなんですが、チーム力がありますね。予選の勝ち上がり方が圧倒的でした。

 特にグレーチームが』




 両チームが入場し、中央広場へと向かってくる。


『太地、グレーチームのメンバー三人がローダーだ。 あいつらは……テロリストの可能性が高いな』


「サラッと言うね。どうするべきかな? その三人がただの手下ってこともあり得るしね」



『おそらくな。今はまだ様子見だ。俺が見ておくから安心しろ』



「わかった……」


 自然と拳を握る太地。




『続きまして、審査員の皆様の紹介……と言いたいところですが、今回のテーマは【防衛】。審査にはこのテーマに合った専門の方々をお招きしているとだけ説明させていただきます! 機密事項もあるようで詳細はあかせないとのことでした!』



「結構あっさり説明したね。そりゃ審査員なんて紹介して出てこようものならテロの標的になるからね」




 アナウンスはさらに続く。


『そして今回はVIPゲストとして「アズマミヤコ」東京都知事にお越しいただきました!』



 会場がざわめく。就任以来、初めてと言っていいほどで、公の場にほとんど姿を現さなかったアンドロイド都知事がこの色祭りイベントに顔を出したのだ。


 メインスタンドのVIPルームから手をふって声援に答えるアズマミヤコ都知事。


 そして都知事が色祭りの開催の挨拶を終えて、観客が沸きあがる。大会は無事に開幕したのだった。



『なるほどな。これで主催側の真の意図が大体わかった。後はテロリストがどう動くかだな』



「そうだね。月人、もし可能ならマークしているローダー以外に怪しい動きがあったら教えてね。僕もテロ防止の方、手伝うから」


『あぁ、わかってる。お前はとりあえず、競技に集中しろ』





『大変長らくお待たせしました! 団体課題A 、避難シュミレーションのスタートです!』



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