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第四十二話 「 怪物 」



 突如、突風に煽られ吊り橋が大きく揺れる。


 「うおおっ!か、風がっ!!」


モジャへ伸ばしかけた手を、慌てて引っ込めロープを掴む。


バランスを崩したモジャはちょうど吊り橋を渡り終えようとしていたリンに両脇を抱えられ、引きずられるように橋の向こうへ。


 俺だけ橋の上に置いてきぼり。


「ひいぃぃぃぃーー 」


俺は情けない叫び声をあげてしゃがみ込む。

だって怖いんだもの、仕方がない。

ゴールは目前だというのに。

なんでこんな時に突風が。


ギシッ ギシリッ ギシッ


音を立てながら大きく揺れる吊り橋、板もカタカタ悲鳴をあげているようだ。

どうでもいいから早く揺れがおさまってくれぇ。


「勇者どん、安心なされ。揺れが止まるまで落ち着いて待つのですぞ」


「私たちがいるから大丈夫よ。怖くなーい怖くなーい」


「な、なんだよ。そんな子供をなだめるような、なひひひひひぃぃーーーっ!」


さらなる強風が襲いかかる。

グラリと体が傾き、視界が90度‥ いや180度‥ 空が目に映る。


俺は尻もちをつくように後方へ倒れた。

背中のリュックで、まるでひっくり返った亀さながら。

はずみで両手は解放されてしまった。


追い討ちをかけるように一段と強い風が吹き、思わず目を瞑る。


「ひぃぃぃーっ」


必死で体の下にある板にしがみつく。



 ふと、頭上に黒い大きな影を感じ、恐る恐る目を開ける。

真っ黒な視界。

青空はどこへ行った?


「勇者っ!」

「勇者どんっ!」


 リンとモジャが、ただならぬ声色で俺を呼ぶ。

何が何だかわからないまま戸惑っている俺の上半身と下半身を何かがガシリと掴んだ。


「えっ?? なんだっ?!」


 体を拘束され、そのままフワリと持ち上げられる。

まるでUFOキャッチャーの景品になったように。

身動きとれず、状況が飲み込めない。

恐怖しかないぃぃ。


 すると、頭上から感じた低い声。


何人(なんびと)たりとも、ここから先へは進ませぬ。

我は山樹林神(さんじゅりんしん)の使いである」


「いや、俺は怪しい者ではなくて。と、とにかく話をさせてくれ‥ ください! 穏便に話し合いをぉぉ」


俺は得体の知れない何者かに必死で訴える。


しかし、返答はないままグングン空中へ持ち上げられていく体。

もしも落とされたら‥ 確実に死んでしまうぅぅぅ。



「勇者ーーーーっ!!」


リンとモジャの悲痛な叫びがだんだん遠のいていく。


時折、バサッバサッと羽音のような音とともに、風が皮膚を震わせる。


 俺は黒い大きな怪物に捕らえられ、どこへ連れて行かれるのか‥‥ 。



          ♢ ♢ ♢



「たたたた大変じゃっ!早く勇者どんを助けねばっ!」


「そうねっ! ‥でも、あぁーーどうしよう。あの高さでは私の箒じゃ追いつけないわ」


「あっちの方向はわしらが向かっている魔王城とは真逆ですな?

どこへ連れ去るつもりなのか‥ 。急がないと勇者どんが食われてしまうかもしれんっ!」


「と、とりあえず追いかけましょう!セヨービヨ!!」


ヒュイーーッ

どこからととなく姿を現した箒に、リンが素早く跨る。


「乗って!」


「ほいっ‥ ほ、ほいっ‥‥あ、足が‥ 上がりませぬ‥

リン、すまぬが箒を下げてくれないかの‥?」


「あっ!ごめんなさい! 身長差を考えてなかったわ!」


慌てて膝を曲げ,モジャが跨りやすいようにする。


「ヨッコイセのほいっ!乗れましたぞ」


「じゃ,行くわよ。振り落とされないようにしっかりつかまっていてねっ!」


「わかりましたぞっ!」


  ‥‥‥‥


「 ‥‥ふぬ?」


「あら?上がらない?? ほ、箒ちゃん?」


リンは箒の柄を軽く叩く。すると


『重量オーバー!重量オーバー!』


どこからともなく機械のような声。


「うっそぉ?!モジャは勇者より小柄だしそんなはずは‥ 」


『身がツマッテルツマッテル!重イ!重イイ!』


「そ、そんな‥ わしは乗せてもらえませぬのか‥」


「箒ちゃん!そこをなんとかお願いっっ!緊急事態なのよ!なんとか頑張ってェェェーーーーっ!! 早くしないと勇者が食べられちゃうのよぉ」


『勇者‥ 危ナイ? 勇者‥ スキ‥。勇者‥助ケル。箒チャン飛ブ。

チッコイオジサンモ乗セテ飛ブ。頑張ル』


「すまぬが頼みますぞ」


「あ、ありがとうぅ!箒ちゃんが勇者を好いていたとは驚きだけど、今はそれどころじゃないわ。

あとでたっぷり磨いてあげるから、頑張ってね!

さぁ、行っくわよーーっ!」


 リンは威勢よく地面を蹴った。




















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