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送り梅雨  作者: 藤泉都理
30/32

暮靄




 キモイ、気色悪い、キモイ、気色悪い。よ、なあ。

 いい年したおっさんが、さあ。

 三十九歳のおっさんが、さあ。

 さあ。

 抱きしめてほしい、とかさあ。

 言えるか。

 いやいやいや。

 言えない言えない無理無理無理。

 どうしてさあ。

 一緒に片手読みできるだけでもうさあ超幸福じゃん。

 結婚してさあ、たくさん会えてさあ。

 幸福度が天元突破してるじゃん。

 なのにさあ。

 梅田さんへの恐怖が抑えきれなくなったら(梅田さんにはこの理由は言わないけど)、抱きしめてほしいってさあ。


 俺の身体、震えるわけじゃん。

 スマホのバイブレーション並みに、いやそれ以上に大きく超小刻みに震えるわけじゃん。

 もしかしたら、冷や汗も大量に出てるかもしれないし。鼻息荒いかもしれないし呼気が臭いかもしれないし体臭も耐えがたい悪臭を放っているかもしれないし臭いは自分じゃ気づかないって言うし。


 うわもう最悪。

 誰が抱きしめたいよこんな気色悪いおっさんの身体を。

 言えない。

 言えるわけがない。

 言いたい。

 抱きしめてほしい。


 ううう。


 言ってもし無理だって言われたら?

 私では君の願いは叶えられない離婚しようって言われたら?

 さようならってまた言われたら?


 ううううう。


 言ってみただけだよーんって誤魔化すか。

 誤魔化せるか?

 無理、だあ。


 やっぱり離婚か。

 まあ、最初からさ。最初はその予定だったじゃん。両親を安心させる為に結婚して即離婚って考えてたじゃん。

 やっぱりさ。俺には無理だったんだよ結婚なんてさ。

 無理。

 うう。無理。


 ならスマートに自然に呼吸をするが如く梅田さんを抱きしめ。

 無理です。

 そんな人間なら恐怖も抱いておりません。











(2022.9.15)



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