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送り梅雨  作者: 藤泉都理
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一霞




 まごまごしている。という表現が正しいのか。

 いや、やはり挙動不審。という表現が正しいのだろうか。

 二人が姿を消して、三日三晩寝込んでから、彼は私に何かを言いたそうにしているけれど、結局何も言わない。

 今日だって、平屋の居間でソファに並んで座って一緒に片手読みをしているのだが、集中していないのが丸分かりだった。


 私から訊くべきだろうか。

 待った方がいいのだろうか。

 いつだって天秤は後者に傾く。

 焦らなくてもいいだろう。

 だって一緒に居る時間はまだまだあるのだから。 


 と、心の底から思っているはずなのに。

 どうにも焦れてしまって暴力が顔を出し、寝室に入って彼の布団を叩いてしまった。

 こんな些細な事さえ我慢ができないのか。寛容になれないのか。ドンと構えていられないのか。

 それともこれが原因ではないのか。

 分からない事だらけで自己嫌悪に陥る。


 いつもいつも迎えに来てくれる彼にも申し訳がない。

 彼はいつだって優しく緩やかに手を叩いてくれて、ささくれだった心を、強張る身体を宥めてくれる、労わってくれる、休息を与えてくれる。

 私が彼に恐怖心を押し付けてばかりいるのに。

 甘えてばかりだ。


 私も。

 と思うが、どうにもどうすればいいか分からずに肩を落とす。


 お菓子を作る?

 肩を叩く?

 頭のツボを押す?

 何かを買ってあげる?

 本を読み聞かせる?

 散歩に誘う?


 いや。違う、だろう。か。違ってないの、だろうか。

 分からない。

 

 もう直接何かしてほしい事がないかを訊いた方が早いだろうに。


 どうしてできないのだろう。

 










(2022.9.15)



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