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魔女の討伐・後半

「あー、かったりいな」

「まあまあ、割の良い依頼なんだから文句言わない」


 ぐうたれる相棒の肩を叩く。私達は今、依頼遂行中の最中だ。


 任務の内容は、魔女の討伐――の確認。

 先行した他の冒険者が、しっかり働いているのかを見るだけの仕事だ。


「つってもよお、わざわざ行かねーでもいいだろ。首がありゃあ、成功。なきゃ失敗だ」

「そうだけど「おい、うるさいぞ」あ、すみませーん」


 前方から鋭い言葉が飛んでくる。


「騎士様は真面目だねえ。お嬢様も安泰だ「おい」


 相棒の軽口に再び鋭い言葉が飛んでくる。しかも、さっきより鋭く感じる。


「俺はただの冒険者だ。それを忘れるなよ」

「おっと、こりゃあすみませんね。フリーの騎士の旦那」


 そういうことになっているが、勿論違う。


 全身を銀の甲冑で覆った騎士は、コントルマ家に仕える立派な騎士様である。それがどうして冒険者などに擬態しているかといえば、この依頼が公にできないからに他ならない。


(ま、全然隠せてないけど)


 産まれたころから騎士でしたと言わんばかりのこの男。紋章こそ外しているが、まったく冒険者らしくない。これでは誰もごまかせないだろう。


「そろそろ探知範囲なのではないか」

「え?」


 唐突に話しかけてきた騎士様に、素っ頓狂な声を上げてしまう。これは恥ずかしい。

 にやける男の脇腹に肘を入れながら、騎士様の勘違いを訂正する。


「もう少し近づかないと無理ですよ」

「む、そうなのか? 俺の仲間はこの距離ならいけるはずだが」

「はあ」


 思わずため息をついてしまう。これだから狭い世界しか知らない騎士様は嫌だ。


「あのですね。それはその人が優秀だからです。いくら探知が後衛クラスの領域でも、一般魔法使いには無理ですから」

「そうなのか。それはすまない」


 いや、謝られるとこっちが惨めになるんですけど。


 でも私は無能です、なんて声を大にして言いたくはなかった。

 だから思わずむっとして、出来ないことにも挑戦したりする。人間らしき反応を一つ発見。


「っ! 2時の方向から何か来る!」


 叫んだ。反応は小さい。でも、速い!

 魔力により強化された、明らかに常態ではない速度。


 騎士様と、我が相棒は慌てることなく構える。

 だが、反応は突如として消えた。


「き、消えた? まさか」


 こっちが気づいたことに気づいた?


「ありえない」


 確かに、私の魔力反応は発見時乱れた。だがそれも一瞬だ。距離は私が集中してやっと見つけられる距離。それを高速移動中に、見破るなんてそんな無茶な。


「ありえないこともあるまい」


 騎士様がどっしりとした声で言った。


「相手は魔女と呼ばれるほどの使い手だろう? ならば常識は捨ててかかるべきだ」


 岩のように強固な意志を載せた言葉は、混乱した頭に染みるように吸い込まれた。

 心拍も徐々に収まっていく。


「ジャレッド、お前は左を見ていろ」

「あ、2時の方向だろ? 道には何もいねえんだから、右だけ見てりゃあ、良いだろ」

「油断はしない。何らかの方法で左から来るやもしれぬ」

「そうかい、時には大胆さも必要だと思うがね」


 私も精神を集中させる。隠形状態を見破るのは難しいが、攻撃の瞬間まで維持はできないはずだ。


 …………。



 …………。



 ……


「4!」


 数字だけを叫び振りかえる。


「ガ!」


 構えていた杖が額に勢いよくぶつかる。石だ。投石が杖にぶつかったのだ。勢いで杖が額に当たったのだ。

 ヒヤリとする。もし直撃していたら、今ので脱落していた。


 しかし、石? 魔女ではなかったのか。


「プロテクション!」


 いつの間にか前に居た騎士様が、騎士のスキルを唱える。


 回復系の魔法使い、白魔導士も使えるスキルだ。しかし効果は騎士のスキルが数段強力な上、身体能力の高い騎士は更に踏ん張りが効く。


 下位魔法でありながら、中位魔法すら防ぐと言われるそれを、


「ちゃんと防いでね」


 そんな、軽快な言葉と共に、爆音が響き渡った。


「え?」


 何かが横を掠めた。騎士は忽然と姿を消し、少女が一人佇んでいた。


「騎士さん? ジャレッド?」


 呆然と振り返る。


 果たして二人は同時に見つかった。

 多分、吹き飛ばされた騎士がジャレッドにぶつかって、二人して木にぶつかったのだろう。太い幹が折れて倒れているのだから、その勢いは想像を絶するものだ。


「3人抱えるのはわたしも嫌なんだけど」


 気が付くと、少女は目の前に居た。白い髪に、怪しく光る紅の瞳。その服がその辺に売ってる粗末な服でなければ、この世のものとは思わなかっただろう。


 少女は剣先を私に向けた。


「抵抗する気はある?」

「は、はは、魔女って前衛クラスだったんだ」


 乾いた笑みを浮かべる。勿論、抵抗する気などなかった。




 *********




 流石のセシリア様は3人を無傷で捕えて見せた。


 2人は未だ気絶しているが、1人、明らかに魔法使いらしい女は唇を震わせて縮こまっていた。見覚えのある光景である。


「嘘、このレベルの3人を無傷で。しかもあの感じは瞬殺……」


 そしてそれ以上に震えているのが1人。魔女オリーブである。セシリアは魔法使いに特攻でもあるのだろうか。


「で、だ。あんた、話せるか?」


 女は壊れるぐらいに首を縦に振った。どんだけ怖がらせたんだ。


「あー、まずは名前を教えてくれ。あだ名でもいいぞ」

「マリアンです。仲間からはマリーと呼ばれてます」

「そっか、マリーって呼んでいいか?」

「……はい」

「危害を加えるつもりはないから、嫌なら嫌と言ってくれても構わないよ」


 朗らかに笑って見せる。少しでも落ち着かせられればいいが。


「うわ、何あの手口。自分で命令しといて……、あくど!」

「あくど?」


 後ろで何やら言われているが、無視だ無視。


「マリアン、まずはどうしてここに来たのか、あー、まずこの家を目指したのは合ってるか?」

「はい。私たちは魔女の家を目指してました。理由は――」


 マリアンが言い淀む。彼女はこちらを見ているが、理由は俺にあるのだろうか。助け舟を出すことはできるが、俺の予想が間違っていたら面倒だ。どうしても彼女に言ってもらいたかった。


「貴方は、ゴローさんでしょうか」

「ああ、自己紹介してなかったな。確かに俺はゴローだ」


 俺の名前は順である。なのでそれは嘘。ゴローと名乗ったのは、1人しかいない。


「いや貴方ジュ「黙ってましょうねー」


 セシリアが口を滑らせようとして、そしてオリーブが口を押さえた。さっきまで怯えていたくせに、大した女である。


 マリアンが意を決したように口を開いた。


「私たちは、あなた方が魔女の討伐を行ったか、確認しに来ました」

「ありがとう。俺も信用されてないな」


 予想通りではある。さて、この女はどこまで知っているのだろう。


「でもギルドの人は、そんな感じでもなかったんだけどな。そっちが依頼を受けた時は、どんな感じだった?」

「え、ええと」


 まあ、ギルド経由ではあるまい。


「ん? どうしたんだ?」

「え、あ、はい。確かに焦っていたと思います」


 俺は”焦った”なんて単語は使っていない。そんなとか、どんなとか、どうにでもとれる表現だけだ。にも拘らず彼女が口走ったということは、誰かが焦っていたのだろう。


 さて、彼女から聞くのはこの程度で良いだろう。本命が起きるまでに準備を整えておきたい。

 

「ぶっちゃけ聞くが、ヴァーラは何をそんなに焦ってるんだ?」

「え、え?」


 マリアンはあからさまに狼狽えた。しかし、話す気はないようである。


「オリーブ、地下室借りるぞ。セシリア、この鎧の男を地下室に運んでくれ」

「はーい」

「いいけど、汚さないでよ?」


 はてさて、最悪の場合血を見ることになるが、今のうちに腹の中を空っぽにするべきだろうか。




 *********




 鈍痛が意識へと働きかける。目覚めは最悪に近かった。


(昔を思い出す。先輩へ挑んだ翌日のあの痛みは、なかなか忘れられない)


 あの時はコテンパンにされ、それでも勝てるまで挑んだものだ。確か勝つのに20日は掛かったと思う。


(そうか、俺は負けたのか)


 あの時と同じということは、自分はコテンパンにされたのだ。


(あの少女か)


 あの少女、片手剣を両手に抱えるほどの少女。


(俺は確かに攻撃を予測し、プロテクションまで貼った。にも拘らず)


 一撃だ。一撃でやられた。


(魔力量は覚えている。あの程度では脅威とならない。だからスキルを使ったのは間違いない)


 基礎能力は魔力量でおおよそ測ることができるが、俺よりも劣る量でしかない。普通に斬りかかられていても、傷一つ負うことはないだろう。


 だが、スキルを使ったのならばなおさら解せない。


(何時使った? この俺が”起こり”を見誤るなど)


 どんなスキルであろうと、何らかの予備動作があるはずなのだ。それが見えなかった。

 確かに熟練した術者ならば、予備動作を完全に隠しきるというが「なあ、そろそろ良いか?」


 飛び出そうになった心臓を気合で抑え込む。当然、顔にも出さない。最初から気づいてましたよという素振りで相対する。


「お前は何者だ?」


 目の前に居たのは、茶色がかった黒髪の男。座っているが、背は標準的で、体はやや細い。件の男は知性の宿る青みがかった黒の瞳が特徴だと言っていたが、確かにこいつの目も青みがかった黒だ。


「俺はゴローだ。知ってただろう?」


 と、確認するように男は言った。勘だが、ブラフではなさそうだ。あの二人が口を滑らしたのだろう。


「他の2人はどうした」

「さあ? 鍋の中じゃないか」


 特に関心がないような言いかただ。煽るような口調はわざとだと感じた。


「そうか」

「冷たいな。仲間じゃないのか?」

「さあな、同じ依頼を受けただけの同業者だ。知ったことではない」

「じゃあ何で聞いたんだ?」


 あざけるように男は言った。


「まあ冗談はこの辺にしておこう。ヴァーラと魔女の関係について教えてくれよ」


 瞼が僅かに痙攣する。不覚にも動揺と、怒りを抑えられなかった。

 あの馬鹿どもはヴァーラ様のことすら口走ったのかと。


(いや、落ち着け)


 そうだ。この男はヴァーラ様から直接依頼を受けたのだ。結び付けられても可笑しくない。ヴァーラ様の気まぐれにも困ったものだが、これでとうとうこの男を逃すことは出来なくなった。


「知らんな」


 冷静だったと思う。下手に言葉を重ねれば、致命的なことまで口走ってしまうのは知っていた。


 果たしてそれは男の思い通りにならなかったのだろう。男はつまらなさそうに「そうか」と答えた。


「でも何としても答えてもらうからな」


 お前が知っているのは知っていると、男は言外に伝えた。


(何をするつもりだ)


 男の一挙一動を見逃さない。男は机にあるフラスコを手に取った。


「なんだ、それは?」

「知らないけど?」


 そのフラスコの中身は濃い緑色だった。


「どうするつもりだ?」

「とりあえず、足の指なら死にはしないと思う」


 不安そうに、――――本当に不安そうに男は言った。


「待て、もう一度確認するが、その薬はなんだ?」

「だから知らないって。俺に薬の知識があると思うなよ」


 男は怒っている、いや緊張しているようだった。


「待て待て待て。それをどうするつもりだ」

「だから足の指に、って。これさっきも言ったよね?」


 それはまさに未知へと挑むような。


「待て待て待て待て待て! だからその薬は何なんだ!」

「だから知らないっつてんだろ!」


 いや、まさか。そんなまさか――!


「ふざけるな! じゃあ何を根拠に指なんだ!」

「何となくに決まってんだろ!」

「はあ!? ふざけるな!」

「本気に決まってんだろ! 見てろ今ぶっかけてやるからな!」

「やめ、バッ、このヤロー!!!」


 男は勢いよくフラスコを振りかぶった。断じて足の指とかそういうレベルではない……!


「分かった! 分かった言う! 言うから今すぐ馬鹿な真似を辞めろ!」


 あまりの恐ろしさのあまり、つい心にもないことを言ってしまう。だが俺はまだ死ぬわけにはいかないのだ。

 男は思い通りにいったというのに、未だフラスコを掲げたまま小刻みに震え


「クソが!」


 暴言と共にフラスコを壁に叩きつけた。


 じゅ、という音とともに、壁が泡立った。

 あれを喰らえば足がなくなるのは確実だし、足だけで済むのかも疑問視された。


 下手人は青い顔で服を引っ張ったり、背中を見ようと首を限界まで曲げていた。自身に掛かってないか調べているのだろう。

 本当に、本当に中身を知らなかったのではないかと不安になる。


「話すのは良いが、場所を変えないか?」

「は、なんでだよ。逃げるつもりか」

「いや」


 縛られているので、顔を向けて今なお煙を吐く壁を指す。


「あれが怖い。特にあの煙が」

「……確かに。じゃあ、俺は行くからなるべく大声で話してくれ」

「は?」


 男は扉を開けて言った。


「ここは開けとくから」

「は?」


 そしてそのまま階段を登って行った。




 *********




「何をしているんだ?」


 凡その事情を騎士から聞き終えたのでセシリアを呼びに行ったら、なんか、二人が妙なことをしていた。


「尋問してるのなら、猿轡はいらないだろ。それにその麺棒をどうするつもりだ」


 男の方も目覚めていたのか、顔を赤くして猿轡越しに唸っている。女、エリーは逆に真っ青で再び涙目に戻っている。

 彼女は喋れないまでも、懇願するように喉を震わせ、こちらに救いを求めていた。


「なあ、オリーブ。地下室にあった緑色の液体が入ったフラスコ。割っちまった。そしたら白い煙が出たんだけど、有害な感じかな?」

「汚すなって言わなかった?」

「ごめん。で、吸っても大丈夫かな」

「は? 弁償しろ。ていうか、白い煙?」


 オリーブは曖昧な表情をした。これはまずい。


「よし、現地調査と行こう。ついでにでかい荷物の荷ほどきをしてくれ」

「は、嫌だけど。何その手は。ちょ、押すなよ」


 かくしてひと騒動は解決し、大きな問題の全容も見えてきた。さて、ここでひとつ整理しておこう。




 正確な年数は分からないが、おおよそ20年前。2人の恋人が居た。


 2人がどのようにして出逢ったかは分からない。両者は学園に通っていたそうだから、そこだろうと思う。とは騎士の話。しかしそれは重要ではないので、これ以上考える必要はあるまい。

 重要なのは、結果として2人の間に子供ができたということだ。


 身分というものの違いで、その子供は歓迎されず、しかして2人は周囲の反対を押し切った。


 駆け落ちという奴だ。ドラマチックな話だ。


 だが駆け落ちというのはどうにも上手くいかないようだ。


 今から10年前、遂に男はかえって来た。その手段を騎士は終ぞ語らなかったが、これも重要でない。問題は男が1人で帰ってきたことだ。

 妻と子は取り残されたが、彼らにしてみれば元々男が戻れば良かったのだから、些細な問題だ。


 ここらで男の名を話そう。男の名はヴィクター・ドレア・コントルマ。ヴァーラの父であり、現領主である。

 だが、ヴァーラとヴィクターは実の親子ではない。彼が失踪していた間に、念のため領主の予備を用意する必要があるなと、彼の祖父が取り寄せた養子である。

 ヴィクターが戻った後は、年もちょうど良かったことから、彼の養子へと変えられたらしい。


 だがヴィクターと新たな妻との間に男子が産まれたことから、彼女の役割は完全に失われた。


 残ったのは両親から勝手な都合で引き離されながら、その都合すら奪われた哀れな少女だけだ(最も、哀れな少女で片付けるには少々強かすぎたようだが)。


 そして彼女の恨みの手は、ヴァクターや彼の祖父には伸ばせないために、孤独で立場の弱いオリーブに伸びたのだ。


 だがそれだって正当な理由は必要だ。

 そこで”偶然”問題となっていた、麻薬問題を魔女に押し付ける運びとなった。




「そこでだ、シンプルな解決策は領主に直接会うことだと思う」


 返事はない。冒険者2人と騎士は元々敵なのでしょうがないが、オリーブからアクションがないのが気になった。


「……」


 彼女は放心していたが、それも仕方がないか。逆恨みで命を狙われたのだから。


「マリーと、ジャレッドだったか。この話を聞いた以上、あんたらもただじゃ済まない。騎士さんもゲロっちまったんだから、協力すべきじゃないか?」

「ちっ、こんな依頼受けるんじゃなかった」

「仕方、ないかな」

「マリー、お前なんか嬉しそうだが、まさか――」

「それで、騎士様はどうなんだ?」

「……」


 騎士は目をつむり、思案に暮れているようだった。こちらは返事が来るまで声をかけるべきではないか。


「ま、とは言っても2人にしてもらうことはあまりないかな」

「……だろうな。俺たちに出来るのは虚偽報告くらいだ。それも騎士様を何とかしねー限り意味はない」

「そうかな、何かあると思うけど」

「いやいや、下手な真似しても疑われるだけだって。冷静になれよ、な?」


 会話はすぐに終わってしまった。後は騎士の返事を待つだけだが、突如としてオリーブが立ち上がった。


「会わなきゃ」


 焦点の定まらない瞳で彼女は出口へと向かう。慌てて手をつかんだ。


「会ってどうする。気持ちはわかるが、落ち着けって」


 オリーブは振り返ることもせず言った。


「お父さん」

「お父さん?」


 ヴァーラのことではないのか?


「オリーブ、待ってくれ。少し話そう」


 彼女は耳を貸さない。しかも力負けしているせいで、徐々に外へと引きずられる。

 だが次の手を打つ前に、突如としてオリーブの力が抜ける。


「ナイスだセシリア」


 オリーブはぐらりと倒れ、前に居たセシリアへと倒れ込む。彼女が気絶させたに違いない。


「はあ」


 オリーブの協力を得るのは難しいかもしれない。これで騎士もごねたらどうしてくれようか。


 再びイスへと腰かけ、目を閉じる。今は待つだけだ。


「……俺は、お嬢様を哀れに思う」


 少しして、騎士が静かに語りだす。


「今回の任務が正義に反することは理解している。だが、それで彼女の気が晴れるのなら、仕方がないと思ったのだ」


 そこでふっ、と小さく笑った。


「ただの言い訳だな。俺は断れなかっただけだ。その証拠に、命の危機が迫れば簡単に口を割る」


 そして今度は俺を睨みつけ言った。


「俺が協力する上での条件は2つ。

 お嬢様の安全を保障すること。

 そして」


 再び笑う。だが今度の笑みは、吹っ切れたような笑みである。


「俺の安全を確保することだ。当然、今後も騎士を続けられるようにな」

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