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暗黒騎士だけど勇者目指してます!  作者: シドなんとか
シーフ・オア・アサシン編
26/45

依頼は大満足

「はえぇ。これがクリスタルなのね」


 オリーブが感心して言った。


 一見してただの水晶にしか見えないが、よく確かめれば非常に多くの魔素を内包していることが分かる。

 珍しいものだ、貴重な物だ。

 ――欲しい。オリーブは素直にそう思った。


「こ、これがあれば一生遊んで暮らせますよね……?」


 同じことを思っていたエリーが発言した。最も、オリーブとは異なる観点ではあるが。


 クリスタルを依頼主がひょいと持ち上げた。2人の視線がクリスタルを追う。

 彼は笑って言った。


「ははは、上手くやってくれた君たちにご褒美はあげたいけど、流石にこれは無理かな」


 でも、と彼は続けた。


「他の物ならあげよう。ほら、これで好きな物を買っておいで」


 勿論、これは報酬とは別だと彼は告げ、一般的には大金であろう金額を2人に手渡した。

 2人は黄色い歓声をあげ、軽いお礼の後すぐさま街に繰り出した。


 1人残ったセシリアにも、彼はお金を握らせる。そしてこう言った。


「あのお方も喜んでいられるよ。次の試練はカルトークルで行われるから、必ず行くんだよ」




 *********




 ポーラは言った。


「いやあ、見事防衛成功! 良かった良かった」


 全くもって白々しかったが、それを否定するものはいない。

 依頼主にとってクリスタルは痛手だったが、命に比べれば軽いし、魔物との取引など闇に葬るに限る。

 Bランク冒険者にとっても、失敗は報酬が無くなるし評価も下がる。上手くいったことに出来るのなら諸手を挙げて賛成できる。事実はさして重要でもなかった。


(ま、Aランク冒険者が負けたかもってのは驚きだけど)


 Aランクを神格化し過ぎていたのかしらん、とマティルダは呑気に考えた。


「皆様、報酬はこちらになります」


 執事がカートに載っていた布を取り払った。

 流石は貴族な大金だ。


「それと、ライオネル様にはこれを。白魔導士への紹介状となります」

「え? こ、これはご丁寧に」


 ライオネルは恐縮しながらも受け取った。

 この依頼主はかなり当たりだ。アフターケアまでしてくれる人など早々いない。


 彼ライオネルは気絶後程なく目覚めたが、頭を強かに打ち付けていた。

 頭の怪我はまずい。数日後ポックリ亡くなっていることも珍しくない。

 治療ができるならそれに越したことはなかった。


 2人は大満足で帰路に就いた。

 彼らが部屋を出てしばらく経った後、ポーラが口を開いた。


「私はいらないわ。半端な仕事で受け取れないものね」


 しかし、と主人は否定した。

 解決はしており、わざわざご足労していただけたのだからと。


「ああ、それは違うよ?」


 ポーラはそれも否定する。


「私がこれを受けたのは、単に道中にあったからだよ。いわばついでね」


 ポーラはうーんと悩んだ。守秘義務があった気もするが、別にいいかと言葉を続けた。


「魔王軍が動き出したのさ。私はその対策として、これからカルトークルに向かうんだ」


 あ、これは秘密ね、と。申し訳程度にポーラは釘を刺した。




 *********




「ええ、白い髪の女の子と、全身緑の怪しい女です」

「あー、そんな奴が前に来たような気がするなぁ」


 ダブリスに着いた俺はセシリア、オリーブを探した。


「じゃあ、ピンク髪のおっぱいでかいシスターは?」

「知らないなあ。ところで参考までになんだが、おっぱいはどれぐらいでかいんだ?」


 アルバータも居ない、と。


 アルバータはともかく、2人はもう旅立ったのだろう。堪え性のない2人だから容易に想像できる。


「ああ、君」


 と、横から声を掛けられる。

 その男は槍を持ち鎧に身を包んだ――いわゆる警邏の人間だった。


「君が今話した2人組についてなんだが、我々も探していてね」

「はあ、どのようなご用件で?」

「それが貴族邸への放火容疑が」

「――――は?」

「なあ、おっぱいは?」


 ……あの2人は一体何をやらかしたのだろう?

 こういう時はあれだ。他人のふりをしよう。


「いや、俺も詳しくは。道中会った冒険者に探してくれと頼まれただけなんだ」

「そうなのか。ところでもう1人の、とある部位が特徴の女性は?」

「そっちは俺の知り合いだな」

「して、大きさは?」

「どのくらいなんだ?」


 牛のようだ、と俺は答えた。

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