7/15
怒らないから④
三個目
「何がですか」
「うう…、ああそうさ!寂しかったんだよ!これで満足かい⁉︎」
「最初からそう言えばいいのに。正直に」
「うるさいなぁ!」
と、そこで力尽きたのだろうか、急に弱々しい声で先輩が言った。
「風邪の時くらい優しくしてくれたっていいじゃないかぁ…」
珍しく涙目で見上げてきたので、僕は先輩の頭をそっと撫でる。
「え…?」
「先輩、風邪なんて早く治して下さいよ。僕、先輩がいないとやる事ないんですから」
「………やっぱり私の事嫌いだろう」
「そんな事ないですよ。僕、先輩がいないと駄目なんです」
「…私がいないと寂しい?」
「はい」
「…ふふっ、君はやっぱり優しいんだね。あの時だって……」
「…先輩?」
すぅ、すぅ、と静かな寝息をたて、先輩は眠っていた。
寝てると可愛いんだけどなーと呟いて、僕はドアの方を振り返る。
「そこの覗き魔二人、怒らないから出てきなさい」




