決意を胸に 3
思い返せばそれはもう一か月も前の話なのだ。
「痛っ!」
背中の衝撃と共に、僕は再び小石川神社の境内の石畳に叩きつけられた。
「いたた……はっ!?」
慌てて回りを見渡す。
誰もいない。
毎回、僕が時を遡って生き返った時には必ずいたあの白髪の美少女が。
「神様……」
結局、生き返りは成功したのか……
僕はとりあえず一安心してしまう。
しかし、これからどうすればいいのだろうか……
未だに僕が誰かと恋仲になるようしなければならないループは続いているのだろうか。
「……いや、そんなことはどうでもいいんだ」
約一ヶ月にも及ぶ神林神社での監禁。
そこで辿り着いた、僕がもし、もう一度生き返ることができたらどうすればよいかという最善の策。
僕は立ち上がる。もう一度オンボロ小石川神社の境内を見る。
「……神様。もう、次はないよ」
境内に向かってそう呟くと、僕は小石川神社の石階段を下りていった。
そのまま家の方へと向かう。
確か、このまま行けば買い物帰りの夢と会うはずだ。
ということならば、もう伝えてしまった方がいいのではないだろうか。
夢に僕の気持ちを。
僕がどうしたいのか、という気持ちを夢に伝えてしまった方が。
「あれ? タカ君?」
と、そんなことを考えていると向こうから夢がやってきた。
僕が知っている森崎夢のいつもの嬉しそうな笑顔で僕に手を振っている。
「あ……夢」
「どうしたの? こんなところで。しかも、まだ制服だし……」
僕は夢を見る。
しかし、果たしてうまくいくのだろうか。
今までだってうまくいかなかったのに、そんな僕が導き出した結論が果たして通用するのか――
いや、ここでそんな風に考え込んでいても仕方ない。僕は夢を真正面から見つめた。
「え……ど、どうしたの? タカ君」
顔を赤くして戸惑う夢。
「ゆ、夢……ちょっと、時間いいかな?」
「え? う、うん。だ、だって、この後タカ君の家にお料理しに行こうかな、って思ってから」
「あ、ああ。ありがとう」
夢は嬉しそうに微笑む。この笑顔が曇らないことを祈るばかりだ。
僕と夢はそのまま少し歩く。
「ふふふ。なんだろう。タカ君からこんな風に言われるなんて、ドキドキしちゃうなぁ~」
嬉しそうな様子の夢。
きっと、夢は、これから僕が夢にとって「幸せなこと」を言うのだろうと思っているのだろう。
これから僕が夢に言うことは決して夢にとって「幸せなこと」じゃない。
でも、これが僕の考え出した結論なのだ。
結果的には夢含む、僕ら幼馴染皆が一番「幸せになれること」なのだ。
だからこそ、言わなきゃいけないことなのだから。




