壊れた鳥籠 1
「……はぁ」
暗い空間で僕の溜息だけが一際大きく響いた。
暗い。ただひたすらに暗いのだ。
もう何時間ここにいるんだろうか。段々目が慣れてきてはいるものの、ほとんど何も見えない。
と、その時だった。
ガチャリ、と扉を開く音。一筋の光が向こうに見える。
「あ……」
そして、続く人の足音。少しずつ僕の方に近づいてくる。
「おはようございます。隆哉君」
ニッコリと暗闇の中で微笑む笑顔。
その顔は相変らずあらゆるものを抱擁してくれるような優しさ。
見ているだけで心が落ち着くような感じ。
しかし、既にその時の僕にとってはそうではなかったのだけど。
「……あ、ああ。澪。おはよう」
「どうしたんです? 元気がないようですが……」
「あ、ああ……ま、まぁ、もう……え、えっと……今日で、何日?」
「一週間です」
ニッコリと笑う澪。
そうか。一週間。
一週間、この倉庫に僕は監禁されているのか……
ふと目を落とす。足には頑丈な手錠、その手錠に繋がっている鎖が大きな柱につなげられている。
「あ、ああ。そう……一週間……ま、まだ、ダメ?」
するとキョトンとした顔で澪は僕を見る。そして、なぜか可笑しくて仕方ないという風に笑う。
「ふふふ。隆哉君。ダメも何も……もう隆哉さんはどこにもいけないんですよ。ずっと、この倉庫で暮らすんです。大丈夫ですよ。何も心配しなくて。私がぜーんぶ、隆哉君の面倒見ますから」
そういって澪は僕に背を向ける。
「じゃあ、学校に行ってきます。皆心配していましたよ? うふふ」
そのまま、澪は僕に手を振って外に出て行ってしまった。
再び訪れる暗闇。
そう。ここは倉庫。正確には神林神社の土蔵だ。
僕は天井を見上げる。微かに光が漏れている。そこから、今が朝だということだけがわかった。
「……なんで、こうなっちゃったんだろう……」
「そりゃ、お主がワシの忠告を聞かなかったからじゃろ」
そういって実体化する神様。
確かに、そうかもな……
でも、あの時は思わなかったのだ。
まさか、こんなことになるなんて……




