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皇太子殿下の憂鬱

「シオン様、後悔なさっているのなら今すぐにでもルクリア様に謝罪と本心をお伝えすれば良いのではないですか」



秘書のオリファーが、連日のシオンの様子に嫌気が刺した様子でそう告げる。

ちなみに、オリファーはルクリアの従事者であるオリヴィアの兄だ。



「そんな言い訳を並べたところで、自分を刺した男に何を言われても信じられる訳がないだろう。ましてや『利用するため』だなんて言われたら、恋心どころか情の一つすら消え失せるだろうな」



だから謝罪と本心を、行動の意図を伝えたらと助言をしているのにも関わらず、相変わらずの頑固さだ。




「まあ、シオン様がそれで良いなら良いですが。ルクリアさんに嫌われても私は知りませんので。本日は昼食後、騎士団の訓練に顔を出してくださいね。私は一度退室しますので、午後までにはその腑抜けた面をどうにか取り繕っておいてください」



その言葉に顔を顰めたシオンを横目に捉えたが、無視してオリファーは食堂へ向かう。



「あんなにも長い間ルクリア様のことを愛しているのに『殺せ』だなんて、国王は酷なことをなさる」



シオンの恋情も、皇太子としての立場も、全て間近で見てきたオリファーには彼の苦痛と葛藤が痛いほど伝わっている。



「ルクリア様…どうかシオン様の事を変わらず愛し続けていてください」



当人にはまるで打ち明けられない想いを、祈るように呟く。



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