第22話 敵の減少
デイバーに逃げられてしまったので、天の国へ帰る事にした。これ以上、悪さはさせない。仲間を傷つけられた事にショックな思いで、天空神は先ほど拾った水晶玉を使って天の国に戻った。いつもなら笑い合い、賑やかで楽しい空気がガラッと変わり、今では静けさが漂っている。天空神は今にも泣き出しそうな悲しみの表情をしながら、他の神の部屋に行き様子を見に行った。天川神の部屋に入ると、スウスウと寝息を立てながら眠る、天川神寝顔をじっと見つめる。数時間後、天川神は目を覚ました。
「天空神ちゃん」
「天川神様」
天空神は天川神に抱きつく。天川神も天空神を優しく抱きしめた。
「敵、倒したんだね?」
「はい」
「強かったね」
「はい」
天空神の肩が震えていた。余程ショックだったのだろう。
「天空神ちゃんは何も悪くないよ」
天川神は再び天空神を抱きしめた。
「そう言えば、デイバーと戦った際に逃げられました」
「えっ、逃げられたの?デイバーは自分の事、”人類最強だ“って言ってたのに」
「私が強かった、とかですかね」
2人は笑う。先程の敵の事を忘れてしまったかの様に、天空神はやっと笑う事が出来た。
♯一方、デイバーの屋敷では。デイバーは溜息をつきながら水晶玉に映る神、天空神を見る。
「お気に入りの子まで、天空神に倒されてしまった。私は本当に、人類最強になれるのか?」
デイバーの不安が、ますます押し寄せて来た。だが、此処で諦めてしまう訳にはいかない。デイバーは計画を練り始めた。
「次は絶対に天空神を倒す」
その声が屋敷に響いたのだった。
天空神がデイバーの屋敷に行ってから、数日が経った。あれから、天の国に敵は来ていない。
「最近、敵が来ていませんね」
「確かに。諦めたのかな?」
「まだ諦めていないと思います」
「諦めてくれると良いね」
「そうですね」
いつ何処で、デイバーがやって来るかは分からない。いつかは、デイバーと戦わなければいけない日が必ず来る。それまで出来る事は全ての敵を倒す事だ。あれから数日が経ったある日の事。久しぶりに天の国に敵が現れた。
「やっと来てくれましたね」
天空神は敵を期待している様だった。敵は一瞬、驚いた行動を見せるが、直ぐに攻撃体制に戻る。
「貴様1人だけで、俺を倒そうとするとはな。やっと貴様ら神を倒せる絶好のチャンスだぜ」
敵はとてつもなく嬉しそうに笑う。この場に立っているのは、敵と天空神のたった2人だけ。敵はデイバーから天空神はとても強いと聞いていたが、1人だけなら簡単だと言い張っていた。
「そう甘く見ないで下さい。私は人類最強と言われた神ですよ」
「人類最強はデイバー様だ」
「正直、私から見ると貴方達は弱いと感じます」
「俺らが弱いと言うのか?そんなはずはない」
敵は少し俯き、震えながら首を左右に振る。敵は自分達が弱いと、全く確信していなかった。
「減っていくのはおかしいと思いませんか?貴方達敵は、私達神に倒されて行くんですよ?」
「そうだったのか・・・」
「それをまだ、デイバーが知らないだけです」
「俺は倒せないのか」
敵はそれぞれ実力があっても、天空神や他の神を倒せない事を知り、かなり絶望していた。
「デイバー様が俺達の力の強さを知らない何て、絶対に有り得ない」
「そう思うでしょうね」
天空神は敵の前を近付く様に歩く。近付いて来る天空神をじっと見て、敵は体に痛みを覚えた。
「何が起こったんだ?」
瞬きする間に、天空神の姿が消えていた。天空神が攻撃したのだ。
「デイバー様に、俺の実力を見せてあげたかった・・・」
敵は灰となり、静かに消えて行った。もしもデイバーが"敵の強さ”に気付いてしまったら、また仲間が傷付いてしまうかもしれない。それだけは、どうしても避けたかった。自分だけがデイバーと戦えれば、それで良いと思う。天空神は敵やデイバーに仲間を傷付けられた事に強い怒りを抱きながらも、戦い続けていた。その時は絶対に自分が守り、仲間だれを傷付けさせない。天空神は自分の意志を硬く決意した。デイバーと敵は、必ず最後の1人まで私が倒すから。天空神はそう、心に呟いたのだった。
続く




