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しばらく行くと一つ目の広い場所に着いた。
「まずは一カ所目、いくよヒメジ」
「はい」
二人は飛び出すと目の前にアースドラゴンが立っていた。オニヨンはショートソードと盾を、ヒメジは昨晩作ったクロスボウを手に持ってアースドラゴンに突っ込んでいった
「やあ」
ヒメジはクロスボウ撃った。石化の薬がついた矢は直線を描きながらアースドラゴンの右肩に当たった。鱗で跳ね返されるかと思っていたが、見事に鱗を突き破りアースドラゴンに突き刺さった。すると、アースドラゴンはすぐに石化し、
「ぽん」
音とともに消えてドラゴンの鱗を三枚ドロップした。
「すごいじゃないか、ヒメジ」
「昨晩作ったのです。こんなにも威力があるとは思いませんでした」
「これさえあれば怖いものなしだな」
「そうでもないです」
「少しは自信を持てよ、ダーリン」
(ダーリンって、まだ友達の段階だろう。オニヨン、気が早いよ。とりあえず、ここは軽くスルーしておこう)
「気を緩めないでくださいね、オニヨンさん」
「ああわかっている」
「それでいきます」
ヒメジは頂上まである五つの広場のアースドラゴンを二頭目は右足、三頭目は左腹、四頭目は右胸、五頭目は左腕にクロスボウの矢を当てて石化させて倒した。
「さあ、次が最後の戦いです」
「ヒメジのクロスボウがあれば楽勝だぜ」
「それでは」
「いこうじゃないか」
二人は頂上まで来ると、最後のドラゴンに戦いを挑んだ。しかし、二人の目の前にいるアースドラゴンは今までの二倍もある大きさだった。
「さすが、キングオブアースドラゴンだね。ヒメジ頼むよ」
「はい」
ヒメジはクロスボウを放った。石化の薬がついた矢はキングオブアースドラゴンの腹部に当たったが、分厚い鱗に跳ね返されて傷を付けることが出来なかった。
「よし今度は私が切り込むわ」
オニヨンがキングオブアースドラゴンの足に力一杯ショートソードをたたきつけるが、鱗にはじかれてショートソードが折れてしまった。その間にキングオブアースドラゴンは竜の咆哮を上げて二人を怯ませた。怯んだ隙にキングオブアースドラゴンは左足でオニヨンを踏み殺そうとしたが、間一髪オニヨンは転がりながらも回避した。同時にキングオブアースドラゴンは口から火炎をヒメジに向かって放った。ヒメジは両手をクロスボウでふさがれているため身を守ることが出来ない。火炎はヒメジを直撃した。
「ヒメジ~!」
オニヨンの悲痛な声が響いた。
「よくもヒメジを」
新しいショートソードを取り出しキングオブアースドラゴンの左足に何度とたたきつけた。その時、クロスボウの矢がキングオブアースドラゴン胸に当たって下に落ちた。オニヨンがヒメジのいた場所を見ると、ヒメジが間抜け顔で立っていた。
「そうか、ヒメジにはプロテクトリングがあったか」
オニヨンはにこりと笑うと、再び剣でキングオブアースドラゴンの左足にたたきつけた。剣だけでなく持っている盾をぶつけて鱗をたたき割ろうとした。一方ヒメジは何本もの石化の薬がついた矢をキングオブアースドラゴンに放ちすべて当てたが、鱗で跳ね返されて効果が無かった。二人はお互いにアイコンタクトを行い、その場から退避することにした。オニヨンが安全な場へ戻るまで、ヒメジはクロスボウを何発も放った。適当に放ったほとんどはキングオブアースドラゴンの鱗ではじかれたが、その中の一発が偶然キングオブアースドラゴンの目に当たった。
「ごおおおお」
遠吠えをあげるとキングオブアースドラゴンはもだえ苦しんだ。目には鱗がないため傷をつけたとたん、キングオブアースドラゴンは目より石化をして、やがて全身が石にかわると、
「パン」
音とともに宝箱をドロップした。二人はゆっくりと宝箱に近づくと、宝箱が光り輝いて剣に変わり地面に落ちた。ヒメジが手に取り鑑定を行った。
【賢者の剣 いかなるものを切ることが出来る剣。……】
「オニヨンさん賢者の剣ですよ! これ」
「本当か。やった~、やった~」
オニヨンはその場で飛び跳ねた。
「おめでとうございます。これはオニヨンさんのものですから受け取ってください」
「ありがとう」
オニヨンは刀をヒメジから受け取ると鞘から抜きだして刀を空に向かって上げた。
「素晴らしい刀だ」
「ショートソードタイプですね。オニヨンさん」
「そうだな、私は両手剣だと思っていたが、ショートソードタイプでちょうど良かった」
「オニヨンさん、それでは地上に向かって帰りましょうか」
「ちょっとまて、あれは何だ?」
「どれですか?」
「あの光っているところ」
「魔方陣みたいですね」
「ヒメジこれひょっとすると、地上に出られるかも。一緒に来てくれ」
オニヨンに手を引っ張られたヒメジは、顔を赤らめた。一方、オニヨンは当然のようにヒメジの手を握っている。やがて二人は一緒に魔方陣の中に入った。するとダンジョンの入り口に入ったすぐの所まで戻っていた。
その日の夜は酒場で祝杯を挙げた。
「ふう、やっと戻れた。ヒメジ約束通り財宝はお前にやるよ」
「かなりの量がありますよ。いいのですか?」
「いいよ。私は賢者の剣があれば十分だ。それにリングも二つももらったからな」
「私もブーメランナイフと賢者の杖をもらっていますよ」
「いいってことよ。気にするな」
「それでは少ないですけれど私が半分財宝を買い取ったことにして金貨十枚渡します。当面の資金としてお使いください」
ヒメジはオニヨンに金貨を差し出した。
「ヒメジがそれで気が済むならいただいておくぜ」
「ところで、ヒメジはこれからどうするのさ」
「私は、燃える水を探したいと思います」
「なるほど、それでは一つ参考になるかわからないが、セカンド国の南西部にある砂漠地帯について調べるといいぞ。そこで見かけたという情報が数多くある。まがい物もあるがな」
「そうなのですか。調べてみます。貴重な情報をありがとうございます。ところでオニヨンさんはこれからどうするのですか?」
「わたしか。私はヒメジの嫁さんになる」
「まだ友達なので、それは冗談としておきます」
「お前は面白くないな」
「オニヨンさんに言われたくはありません。それで本当はどうするのですか?」
「ヒメジならいいだろう。お前は信用できるからな。実は、私には幼なじみがいる。女だがな。十七歳まで一緒にセカンド国で仲良く遊んでいた。十八歳になったときに彼女は親の都合でナインス国へ引っ越してしまった。それでも手紙のやりとりをしていたが、二十五歳の時にナインス国で内乱が起きてから音信不通になった。数年前にナインス国へ捜しに行ったが、内乱のためあちこちで戦闘が起きて一人では自分自身の命を守るのが精一杯で探すことが出来なかった。もっと力が欲しいと思ったときに賢者の剣の話を聞いてダンジョン荒しとなったわけさ」
「それでは、これからその人を探しに行くのですね」
「そうだ、ヒメジのおかげで賢者の剣だけでなく思いもよらない素早さと力の指輪のアイテムを手に入れることが出来たので、これで一人でも捜しに行くことが出来るだろう」
「それでは、ここでお別れですね」
「そうだ、今日が最後になるな、ヒメジ」
「最後ではありません。いつか必ず会いましょう」
「そうだな。再開したら、運命の出会いとしてプロポーズしてくれよ。浮気せずに待っているからな」
「しないです」
「また、また。顔が赤くなっているぞ」
「はあ~。でも、オニヨンさんの冗談もしばらくの間はお預けですね。さみしくなるなあ」
「冗談じゃないかもよ……。そんなに嫌そうな顔をするな。まあ、次に会ったときには、もっと冗談に磨きをかけておくからな、ヒメジ」
「それでは私はそれまで男を磨いてジェントルマンになっておきます」
「楽しみにしているぞ」




