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夕食を済ませるとヒメジがはじめの見張り番を買って出た。オニヨンが寝た後、ヒメジは一本折れた剣を含めてオニヨンの剣を二本とクロム鉱石、そしてデュラハンの鎧に両手を出して、
(軽くて頑丈で丈夫な剣)
祈りながら、
「オール クリエーション」
唱えた。一瞬光ると、新品の二本の剣が出来上がった。
「鑑定」
【ショートソード 店で売られている一般的な剣であったが、数回の修理が行われ超業物となった。ドラゴンの鱗を切り裂く剣の強度と殺傷力をもつ。また、軽度が向上して、空気を振っているような感覚の剣である】
(よっしゃ~)
ヒメジは両手を挙げてガッツポーズをした。
(我ながら、よく出来た剣だ。これなら、オニヨンさんも満足してくれるだろうね。これでオニヨンさんは最強だ。絶対、明日の戦闘はオニヨンさんに任せよう)
次に、ヒメジはネットで十五階層の地図を見た。
(ふむ。安全地帯からは一本道で頂上まで行けるが、数カ所に広い場所がある。おそらくそこでアースドラゴンと戦闘になるだろうな。そして一番頂上にいるのはこの階層のボスであるキングオブアースドラゴンだな。もちろん彼らを倒すには今の私の武器では役に立たないから、オニヨンに頑張ってもらうしかない。え~っと何回戦うのかな。一、二、三、四、五。アースドラゴンと戦う回数が五回もあるのか。それにボスのキングオブアースドラゴンを含めると六回か。そうなると彼女の負担が大きい。やっぱり私も戦った方がいいだろう。でも、どんな武器で戦えばいいのか……あの堅い鱗では私の投擲用ナイフやクロスボウでは傷をつけることが出来ないだろう。それに、ダガーなんて何の役にも立たない。どうしよう……そうだ、ドロップアイテムで強力なクロスボウと堅い矢を作ればなんとかなるかも)
ヒメジはデュラハンがドロップした鎧とローパーのドロップしたロープそれにクロム鉱石を材料にして、
(強力なクロスボウ)
祈りながら、
「オール クリエーション」
唱えると、材料が一瞬光った後、頑丈なステンレス製のクロスボウが出来た。
「鑑定」
【ステンレスのクロスボウ 軽くて丈夫なクロスボウで、鉄の矢を発射する能力がある。また、既成のクロスボウより数倍速く矢を飛ばすことが出来る。クロスボウの弦は、一万回発射しても切れない耐久力がある】
(よし、いいものが出来た。次は矢だ)
スケルトンがドロップした片手剣を材料に、
(強力な矢)
祈りながら、
「オール クリエーション」
唱えると、材料が一瞬光った後、頑丈な鉄の矢が出来ていた。ヒメジはその矢にメデューサがドロップした石化の薬を付けた。出来上がったクロスボウと矢を見ながらヒメジは、
「これでなんとかなればいいが」
つぶやいた。強力な武器が出来たが、果たしてアースドラゴンの鱗を貫けるかヒメジは心配であった。やがて、ヒメジは作った武器をカバンに入れて、残りの時間は一五階層の地図を頭にたたき込んだ。
「オニヨンさん交代の時間です。これ頼まれていた剣です。前より丈夫で切れ味抜群ですよ」
「ありがとう。見ただけで分かるよ」
「それでは休ませてもらいます」
「ああ、お休み」
見張り番となったオニヨンは剣先に石化の薬を付け始めた。
(ヒメジは役に立つ男だが、明日の戦いではアースドラゴンの鱗を突き破る武器はないだろう。私は力の指輪があるからなんとかなるが、この二本のショートソードでいつまで持つか。とりあえず出来るところまでやって、駄目なら潔く撤退するしかない)
翌朝、ヒメジはアースドラゴンの遠吠えで起きた。安全地地帯にいるので大丈夫なのは分かっているが、遠吠えを効く度に心臓が止まりそうである。
「ヒメジ起きたか」
「あ、オニヨンさん。おはようございます」
「早速だが、飯をお願いする」
「わかりました、今日も、サンドイッチですがいいですか?」
「ああ、いいぞ」
ヒメジはサンドイッチをカバンからとりだしてオニヨンに渡した。オニヨンはそれを受け取るとがむしゃらに食べ始めた。よほどお腹を空かしていたようだ。
「このサンドイッチうまいな」
「オニヨンさん、いつものサンドイッチじゃないですか」
「いや、違うね。今日はヒメジの愛情がこもっているサンドイッチだ。私にはわかる」
「愛情?」
「そうだ、私に対するヒメジの恋心がこのサンドイッチに込められている」
「まさか。そんなこと」
「わかるのだよ。ヒメジが私に恋心を抱いていることを」
「ないない。あればもうオニヨンさんを襲っていますよ」
「私を襲えるかな?」
「襲いません。絶対に襲いません。命が大切ですから」
「私が怖いか?」
「鬼か悪魔か魔女だと思っています」
「何だと。ヒメジ死にたいのか」
(ひゃ~。怒らせちゃったかな)
「し、死にたくありません」
「ならば、言い直せ」
「天使か女神だと思っています」
「それでいい」
(オニヨンの気分が良くなってよかった~)
「それでは、食べたら出発しましょうね。今日は十五階層を攻略しますから」
「わかっているよ」
二人は冗談? 軽口? を言いつつもこれからの戦闘のことを考えるとかなり緊張していた。




