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 「ところで、モンスターの対策はどうする?」

「そうでした。私から提案してもいいですか?」

「承認した。ヒメジの言う通りで良いぞ」

「まだ何も言っていませんが」

「きっとヒメジなら大丈夫だろう」

「信用されていますね」

「ヒメジのことだから、間違いないと思うが、まあ、聞いてやる。言ってみろ」

「それなら言わせてもらいますね。オニヨンさんは盾を持ってもらいます。それも鏡のようによく磨いた盾です。メデューサには自分の姿を見せて石化させるのです。コカトリスの時には盾で息を防いでください」

「でも、そんな盾はないだろう」

「今までに手に入れたいくつかのドロップアイテムを使って今晩作ります」

「ヒメジ、作れるのか?」

「任せてください。これでも物作りは得意ですから」

(嘘です。オール クリエーションで作ります)

「じゃあ、任せるよ」

「他に、厄介なモンスターはいないはずです。出てきてもオニヨンさんなら何とかできます」

「最近、頼りになる男になったね。この私に意見するようになったからね。よし、決めた!ヒメジ、私の夫になれ」

「嫌です」

「なぜだ? 腕は立つし、顔もまあまあ良い。体はスレンダーで胸は……。まあ気にするな。こんな女は滅多にいないぞ」

「昨日、言いましたが私は優しい女性が好きです」

「ますます私にぴったりじゃないか。私は優しいぞ」

(嫌、怖いです)

「夫に尽くすタイプだからな」

(絶対に尻に敷くタイプだと思います)

「さあ、どうだ、私を妻にしろ」

「パートナーには手を出しません。却下します」

「つれない男だな。お前は。あ、は、は、は」


 夕食後、ヒメジが先に見張り番をした。オニヨンは横になっていびきをかいている。

「オニヨンさん、オニヨンさん」

ヒメジはオニヨンに声をかけた。しかし、オニヨンは眠ったままだった。

(それでは、始めますか)

ヒメジはアイテムボックスに繫がっているカバンからデュラハンがドロップした鎧を二つとクロム鉱石を取り出した。

(いい材料だ。これなら表面がなめらかなので鏡のような盾が作れるぞ)

ヒメジは鎧とクロム鉱石に向けて両手を広げた。

(盾になれ)

祈りながら、

「オール クリエーション」

唱えた。一瞬鎧が光った後、ヒメジの前には表面が鏡のようになった盾が二つ出来上がっていた。その盾は人の全身を全て覆い隠すことが出来る大きさであった。またステンレス製であるので軽い。ヒメジは盾の一つを手に取ると簡単に持ちあげることが出来た。

(我ながら上出来だ。この盾なら鏡の代わりが出来る)

ヒメジは満足して盾を地面に置いた。次に聖水をつけていた武器を毒に付け替え始めた。ボウガンの矢、ブーメランナイフ、ダガーの順で毒をつけ終わると全ての武器をカバンの中に入れた。そしてネットでマップを開いて十一階層、十二階層の地図を覚え始めた。ヒメジが二つの階層の地図を覚えていると、いつの間にか交代の時刻になっていた。

「オニヨンさん、交代の時間ですよ」

「もうそんな時間か。分かった交代しよう」

今度はオニヨンが見張りをする番だ。オニヨンは地面に置いているヒメジが作った盾を見つけると手に取った。

「本当に鏡のように顔が写っている。また、持ってみると軽い。鍛冶屋の道具もなしでヒメジは短時間でどうやってこれを作ったのだ?」

オニヨンは不思議がりながらも盾を布で拭き始めた。

(せっかくヒメジが作った盾だ。丁寧に拭いて、くもり一つない鏡のようにしてやるぞ)

オニヨンは一心不乱に一晩中、盾を布で拭いた。朝、ヒメジが起きる頃には盾を鏡代わりにして化粧や髭剃りが出来るようになっていた。

「オニヨンさん、すごいですね。随分頑張って磨いてくれたのですね」

「当たり前よ。ヒメジがこれだけ立派な盾を作ってくれたのだから、私に出来ることをやったまでよ」

「本当の鏡と変わらないほど綺麗に私が映っています。見れば見るほどハンサムボーイですね」

「何馬鹿なことを言っているのだよ、腹減ったから、朝飯頼むわ」

「はいはい、オニヨンさん。今日もサンドイッチでいいですか」

「おう、そうこなくっちゃ」

二人は朝食が終わると、盾を持ってすぐに出発した


二人の連携で出来た盾はその力を十二分に発揮した。十一階層では安全地帯をでるための扉を開けると早速メデューサに出会った。二人はすぐに盾に隠れた。

「顔を見るなよ」

オニヨンが言うと、ヒメジも、

「蛇は嫌いですから見ないですよ」

悪態をつきながら返事をした。二人が盾を持ってメデューサに近づくと、

「キャー」

言う声が聞こえた。メデューサは盾に映った自分の顔を見て石化したようだ。ヒメジが足元を見るとメデューサのドロップアイテムである二十ミリリットルの薬瓶が落ちていた。ヒメジはそれを拾うと、

「鑑定」

唱えた。

【鑑定 石化の薬 メデューサのドロップアイテム。効力は中程度であるが、この薬をかけられた生き物は全て石化する】

「やっぱりメデューサのドロップアイテムは石化の薬か。でも効力が中程度じゃ私が作っている石化の薬の方がましですね。持っていても仕方ないから。これは売ってしまったほうがいいですね」

そうヒメジはぼやくと薬をカバンの中に入れた。次のドアを開けると、そこにもメデューサがいた。同じように盾に隠れて近づくと、叫び声を上げてアイテムをドロップした。ヒメジがそれを拾っていると、オニヨンがヒメジに話しかけてきた。

「ヒメジのおかげで今日は随分戦闘が楽だな」

「そうですね。何せ自分の顔を見て石化してくれるのですから、これ以上、楽なことはないですよ」

「でもなあ、ヒメジは面食いだから、美しいメデューサの顔を見たいのじゃないか?」

「いくら、私が面食いだとしても、自分が石化してしまう怖いお姉さんの顔は拝みたくありませんよ」

「本当か? まあ、顔を見て石化する下手だけはこくなよ」

「それはわかっています」

二人は軽口が言い合えるほど、楽に十一階層を進むことが出来た。やがて、扉を開くと一つ目の宝物の部屋に着いた。

「うひょ~。宝箱だ~。ヒメジ開けるぞ」

オニヨンは賢者の剣が出るかとウキウキしながら宝箱のふたを開いた。

「よし、賢者の剣出てこい」

宝箱を開けると中には金の延べ棒と宝石があったが、それ以外のアイテムはなかった。

「え~、また財宝だけかよ。これで何回目だよ。ヒメジ一人だけ儲けているじゃないか。面白くないな」

オニヨンはふてくされた。

「オニヨンさん、次がありますから、気を落とさないでください。さあ、次に行きましょう」

「そう言うけどな、ヒメジ……」

「まあ、まあ、はい盾をしっかり持って次の扉を開けましょう」

ヒメジは無理矢理オニヨンに盾を持たせると、次の扉まで背中を押した。


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