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読んでいただいている皆様ありがとうございます。文章を読んでいただいているユニーク数が十を超えました。一の日もありましたので十倍です。単純な作者なので大変喜んでおります。さてヒメジをモテない男に設定しました。五十代になると若い女性から声をかけられる機会も少なくなると思うからです。しかし、それでは物語に花がないなあ~。やっぱりヒメジに女性がいた方がいいかなあ~。現在悩んでいます。

 モテない男がヒメジの代名詞になってしまったが、本人は、

「へっくしょん」

くしゃみを張り上げ、依頼を終えて意気揚々と冒険者ギルドに戻ってきた。

「いらっしゃい。あらヒメジさん依頼はもうすんだのですか?」

受付の細身の若い女性が笑顔で出迎えた。

「はい三つとも終わりました」

ヒメジは三枚の依頼書と五本のイチレン草を受付の机上に置いた。受付の女性はそれを確かめて引き出しの金庫から銅貨四枚を取り出しヒメジに差し出した。

「お疲れ様でした。確かに依頼は完了しているわね」

受付の女性がそう言うと、銅貨を受け取ったヒメジが質問した。

「イチレン草は何に使うのですか?」

「回復薬よ。十八リットルの容器に一本のイチレン草を入れて火にかけると薬ができるの。でも火加減や温める時間によって薬の出来具合が変わってくるの。どんな傷や病気でも回復できるハイポーション。中度の傷や状態異常を回復するミドルポーション。僅かしか回復しないロウポーション。の三つに分けられるわ。そしてなぜかほとんど人はロウポーションしか作れないの。ごくたまに上級者が偶然にミドルポーションを作ることがあるけれど年に一度程度。ハイポーションにいたっては十年に一度程度かな。ヒメジさんも作ってみたくなったの?」

「いや~、私は無理ですよ」

「そうでしょうね。さっきも言ったけれどみんなロウポーションしか作れないわ。その中でも上等・中等・下等の品質に分けられて、初心者なら下等しか作れないわ。もし下等を持って行っても薬屋では買い取ってくれないから捨てるのが関の山よ」

「はい、ご忠告承っておきます」

「で、この後どうされます? また依頼受けます?」

「いや、お腹が空いたからご飯を食べようと思って」

「それなら、隣の宿屋の食堂で食べるといいですよ。安くてボリューム満点ですから」

「ありがとう。じゃ、今から食べに行きます」

「いってらっしゃ~い」

受付の女性は笑顔で言った。


 ヒメジは冒険者ギルドを出ると隣の宿屋に入った。

「いらっしゃいませ。宿泊ですか? 食事ですか?」

中から威勢の良い中年男性の声がする。

「食事です」

「それなら、空いているところをお座りください」

ヒメジは亭主のいうとおり空いているところに座った。すると、エプロンを着けた元気の良い若い女性の店員がヒメジの前に現れて注文を聞いた。

「メニューは魚料理、肉料理、野菜料理の三種類です。どれにいたしますか?」

聞かれたヒメジは店員に尋ねた。

「肉料理は何の肉ですか?」

「今日は牛です。脂がのっておいしいですよ」

「それをください」

「肉料理ですね。すぐにお持ちいたします」

店員は元気な声で復唱すると、奥に引き下がった。ヒメジはしばらく時間がかかるだろうと思っていたが、すぐに奥から店員が出てくると、机の上に牛肉のステーキとオニオンスープ、パンをテーブルに置いていった。ステーキは二百グラム以上あり、パンも長さが十五センチ以上のフランスパンであった。

「いただきます」

ヒメジはお腹が空いていることもありガツガツと一心不乱に食べ始めた。空腹がほどよい香辛料となり、料理のうまみを数段引き出している。しかし。年で胃袋が小さくなったのか、ステーキを半分食べた頃から胃袋が重たくなってきた。オニオンスープとパンには手を出していない。ヒメジはスープを飲んでみるとこれもおいしい。

(せめてスープだけでも飲んでしまおう)

牛乳瓶一本分ほど入ったスープを一気に飲み干した。

(お腹がいっぱいだが、肉を残すのはもったいない)

ヒメジは肉を小さく切り、それを少しずつほおばり全部食べ尽くした。

「お腹いっぱいになった~」

独り言を言ったヒメジではあるが、近くの客が『うるさい』と無言の白い目で見てくる気配を感じて、うつむき加減に、残っているパンをちぎりながら口に運び始めた。それでもお腹いっぱいで全部食べきれないヒメジは店員に声をかけた。

「お姉さん、このパン持って帰ってもいいですか?」

「ええ、いいわよ。うちに来るお客さんの半分はパンを全部食べきれないからね。だから、残した分はみんな持って帰っているよ」

「じゃ持って帰らせてもらいます。お代はいくらですか?」

「はい、大鉄貨一枚です」

(大鉄貨ってなんだ? とりあえず銅貨を出してみよう)

「じゃこれでお願いします」

ヒメジは銅貨一枚を店員に渡すと、おつりに大鉄貨九枚を手渡された。

(なるほど、銅貨一枚は大鉄貨十枚になるのか。ということは、大鉄貨一枚は鉄貨十枚分ということになるのか)

ヒメジはおつりをポケットに入れ、パンは周りに気がつかれないようにアイテムボックスに入れて店の外に出た。


 午後からも依頼を受けようと思ったが、レンガを手に入れたので礼拝堂の壁の一部を修理しようとヒメジは教会に向かった。礼拝堂に入ると神父さんがいた。

「こんにちは」

「おや、ヒメジさん。どうかされましたか?」

ヒメジは神父の顔を見ると話し始めた。

「冒険者ギルドの依頼を受けたときにレンガを手に入れたので、礼拝堂の壁を修理しようと思ったのです。神父さん、修理をしてもいいですか?」

「いいのですか? 長いすを直すだけでなく、今度は壁まで修理してもらえるなんて」

神父は恐縮した顔になった。

「すぐに終わりますので、少しだけ奥で待っていてください」

「わかりました。それではよろしくお願いします」

神父が奥に入ったことを確認するとアイテムボックスからレンガとモルタルを取り出して、地上から五メートルの高さまでひびが入っている壁の前に置いた。そして両手をかざして、

(壁よ 新しくなれ)

祈りながら、

「オール クリエーション」

唱えるとひび割れた壁が新品同様になった。そしてレンガとモルタルが置いたところにがらくたのレンガが積まれていた。ヒメジはがらくたのレンガを全部アイテムボックスに入れて教会の外に持ち出し、教会のゴミ置き場にそのがらくたをまとめて置いた。そして、ヒメジが礼拝堂に戻ると神父に声をかけた。

「神父様。・・・神父様」

奥から神父が出てきた。

「神父様、修理しました」

ヒメジがそう言うと神父は驚いた顔をした。

「もうできたのですか? なんときれいに修理されている。修理したところだけ新品同様になっていますね」

「修理で出たレンガくずは教会のゴミ置き場に置いています。処分は教会でお願いします」

「もちろんです。これで修理代が浮きました。ヒメジさんありがとうございます」

「とんでもない。昨日お世話になったお礼です」

「ヒメジさん、冒険者ギルドの依頼は受けましたか?」

「ええ、三件ほど」

「そりゃすごい。内容にもよりますが、Gランクの依頼でも半日はかかります。それを午前中で三件も終わらせるとはさすがヒメジさんですね」

「それほどでもないですよ」

神父に褒められてヒメジは嬉しくなった。

「ヒメジさんなら仕事に困らないでしょうね。それでも、この町で何か困ったことがありましたらいつでも相談に来てくださいね」

「ありがとうございます」

ヒメジが返事をすると同時に教会のベルが『カンカン』と鳴った。

「もうこんな時間ですね。神父様、私はこれで失礼いたします」

「ヒメジさん、少しここで待っていてください」

神父は再び奥に入ると、すぐに出てきた。

「古いリングですがこれをお使いください」

「何ですか、このリングは?」

「私の家が代々所有しているプロテクトリングです。といっても効果はほとんどありません。世の中にはこれより効果のあるプロテクトリングは山のようにあります。遠い昔、このリングができたときにはあらゆる攻撃を防御できたと言われていますが、時代とともに効果がうすれ、今ではあまり防御できなくなってしまいました。気休め程度の代物ですが受け取ってください」

「そんな由緒あるリングを受け取れません」

「いえ、いえ。以前古物商に持って行ったのですか、鑑定では鉄貨一枚の価値もない二束三文のものなので、私が持っていても仕方がないものです」

「そうですか。分かりました。ありがとうございます。それでは、遠慮無くいただきます」

ヒメジはリングを受け取ると神父に一礼をして教会を出た。歩きながらヒメジは神父からもらったリングを右の人差し指にはめて、

(プロテクトリング 新品)

祈りながら、

「オール クリエーション」

唱えた。するとくすんでいたプロテクトリングがぴかぴかになった。

(これで、何でも防御できるのかな? 今の私にはまだ関係ないが、とりあえずつけておこう。リングを見て思ったけれど、冒険者になったので武具やいくつかの雑貨も手に入れておきたいな。特に、短剣や剣など攻撃するものは必要だな)

ヒメジは購入するものをいろいろと考えながら市場に向かった。


プロテクトリングはこれからの物語のキーアイテムとなります。ご都合主義ですが、これがなければ主人公は生きて旅が出来ません。このプロテクトリングについての物語を第九話、第十話として書いています。たいした物語ではないですが、ゆったりと読んでください。

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