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地下二階層へ降りる階段を歩いていると、ネットの表示も地下二階層の地図にかわった。一階層以上に赤く塗られた三角形の印が多い。また、隠し部屋もあることが表示されている。そこには一つ緑の点があった。
(まずは隠し部屋へ、レッツゴー)
どんなにモンスターに出会わないようにしても、前後からモンスターがやってきて挟み撃ちになる時がある。そのときは、アイテムボックスに一瞬入る。すると、姿が隠れて戦闘を回避することができる。これで三度ほど回避することができた。やがて、隠し部屋の前に来た。しかし、ドアが見当たらない。どこかに入るためのスイッチがあると思うのだが周りを探してみるが見つけられなかった。そこで、ネットの地図を見ると、隠し部屋へ入る方法が表示されていた。
(なあんだ、壁にある足下の大きな石を前に押すと石が奥に動き、ドアが現れ開く仕掛けなのか。これじゃわからないよ。それでも、これだけ見つけにくい隠し部屋なら宝物は期待できるぞ)
ヒメジは壁にある足下の大きな石を前方に押すと。壁にドアが現れ、それが開いた。中に入ると、目の前に新月草がたくさん咲いていた。
(これこれ、宝箱に気を取られて、大切な物を忘れるところだ)
ヒメジは約束の五本と自分用に百本ほど採取してアイテムボックスに入れた。部屋の奥にはまだ開かれていない大きな宝箱置かれてあった。ヒメジはそのふたを開けると、金の延べ棒やダイヤモンド、サファイア、エメラルド等の宝石が山のようにあった。
「アイテムボックス 金の延べ棒、宝石入れ」
唱えて、宝箱の中の物をアイテムボックスへ入れた。宝箱の中にもう残っていないかとのぞき込むと、黒い箱を見つけた。鑑定をすると、
【ブラックボックス 一千立方センチメートル大きさの黒い箱の中に一立方キロメートルの物を入れることができる。時間の経過はない。新月草のダンジョンにあるブラックボックスの中に千個以上のブラックボックスが入っている】
(やった~。アイテムボックスがごちゃごちゃしていたが、これで整理できるぞ、ラッキー。それから、これで依頼は達成したから、すぐに帰ろう)
ヒメジはお宝を手に入れたので舞い上がり、ネットの地図を見ずにダンジョンを出ようとした。そのため、隠れ部屋から出た時に、ばったりモンスターに出会ってしまった。相手はスライムだった。
「助けて~」
足は遅そうなのでヒメジは逃げだした。しばらく逃げて、後ろを振り向くとスライムは追ってこなかった。
「ハア、ハア、助かった」
その場で立ち止まり息を整えていると、前からゴブリン三匹がこちらに向かって走ってくるのが目に入った。逃げだそうとしたが、息が上がって足がもつれて転んでしまった。ヒメジはもたもたしている間にゴブリンに囲まれてしまった。
「しまった~、挟まれた~。仕方ない。た、戦うぞ」
ヒメジは戦闘することにした。右手でダガーを抜いて、左手には投擲用ナイフを一本持って投げる構えをした。ゴブリンも斧を持って三匹がゆっくりとヒメジとの間をつめてくる。やがて、一匹のゴブリンがヒメジに向かって斧を振り下ろした。斧はヒメジの腹に当たったがプロテクトリングではね返され、ゴブリンは後ろに体勢を崩した。ヒメジはその隙に、
「わああああ~」
叫びながら投擲用ナイフを投げた。その投擲用ナイフはゴブリンのほほをかすっただけだが、すぐにゴブリンは、
「パン」
風船が割れるように爆発すると、斧だけ落として消えてしまった。残りのゴブリンも斧を振りかざして攻撃してきたが、プロテクトリングではね返されて体勢を崩したところに、ヒメジが投擲用ナイフを投げて二匹とも腕にかすり傷を負わせた。そして二匹とも爆発して斧だけ残して消えてしまった。戦闘後、ヒメジは投げた投擲用ナイフを回収した。三本とも毒がたっぷり塗られている。象でもかすり傷で倒れてしまう量だ。これをなくすのは惜しい。回収して再び使用することにした。その後はネットの地図を見ながら戦闘を回避して出口に戻ることができた。
「疲れた。あの糞店主、とんでもない依頼をしやがって。おかげで、肩が凝って仕方が無い。町に帰ったらマッサージ屋あるかな」
再び、ヒメジは愚痴を言いながら東の町まで歩いて戻った。
夕方には薬屋に着くことができた。
「こんにちは」
「おう、お疲れさん。採ってきたか?」
「ええ、確かに五本採ってきましたよ」
カバンから新月草を取り出して店主に渡した。
「確かに五本受け取った。それでは、保証人になるぜ。書類を出しな」
ヒメジは書類を店主に渡すと、店主はすぐに名前を書いた。
「ほい、書いたぞ」
書類を渡されると、確かに書類にサインがされていた。
(よしこれで、商業ギルド証が手に入るぞ。商業ギルドへ行く前に亭主に聞くことがあったのだ)
「ありがとうございます。ところで、新月草は何に使うのですか?」
「超万能薬!」
「え?」
「嘘だよ。健康維持薬で、生活習慣病を抑える効果がある薬さ。お前さんみたいに年配の人にもっぱら人気のある薬だぞ」
「私はまだ若いのでそのような物はいりません」
「まあ、すねるな。からかったお詫びに一ついい話をしてやろう」
「何ですか?」
「燃える火のことだ」
「燃える火ですか?」
「ああ、何でも黒い水で、火をつけると燃えるそうだ。フォース国にはないので、あくまで噂話だがな」
「少し興味があります。燃える水を見てみたいなあ」
(きっと原油のことだ)
「そうかい、それならセカンド国に行ってみな。旅人が砂漠の中で見たことがあるという話が伝わっているぜ。うまくいけば燃える水を手に入れられかもな」
「セカンド国で売ってはいないのですか?」
「それが、見たことがあるというだけで、産出する場所がわからないから売っていないそうだ」
「そうですか。でも他国へ行くのならパッスが必要でしたよね」
「そうだったな。今は高いから無理かも。ってお前さんに渡した金額でパッスを手に入れられるぜ」
「そうですね」
「ああ、王都に行って、お城で申請したらいい。お金を渡すとすぐに発行してくれるから」
「そうですか。それならうれしいです」
(これで原油が手に入るのなら面白くなってくるぞ)
「それから、王都に行ったなら兄の店によって欲しいと伝言があったぞ。何か悪いことしていないか? お前さんヒメジさんだろう」
「私の名前よくご存じですね?」
「さっきの書類に名前を書いていたから、そこから知ったよ」
「なるほど。納得しました。それでは、王都に行きましたら、薬屋さんへ真っ先によります」
「そうしてくれ」
「それでは失礼します」
「おう、兄貴によろしくな」
ヒメジは次に商業ギルドへ行った。受付に行って男性に声をかけた。
「こんにちは。商業ギルド証の書類を持ってきました」
「はい、こんにちは」
ヒメジは受付の男性に書類を渡した。
「確かに二名の保証人のサインがありますね。商業ギルド証を発行しますので少しお待ちください」
そう言って受付の男性は奥に入っていった。十分ほど待たされた後、受付の男性が奥から出てきて、ヒメジに名刺程度の大きさの木で作られた商業ギルド証を渡した。
「これで、誰とでも商売ができますよ。でも不当な値段で取引すると、没収されますから気をつけてくださいね」
「わかりました。気をつけます」
ヒメジはうきうきしながら。商業ギルド証をアイテムボックスに入れた。




