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いつも愛読ありがとうございます。商業ギルド証を入手するためのクエストが始まります。のんびり楽しんで読んでください。

 ヒメジは朝に目が覚めると、すぐに商業ギルドへ向かった。

「おはようございます。商業ギルド証の登録の書類をもらいに来ました」

「初めまして。ギルドへ証の登録の書類ですね。ご存じかと思いますがこれに名前と、保証人二名の名前を記入して受付まで提出してください」

受付の男性はヒメジに書類を渡した。

「ありがとうございます」

ヒメジは書類を受け取るとカバンに入れた。

「ところで何を商売されるのですか?」

受付の男性がヒメジに笑顔で話しかけてきた。

「旅商人をしようと思っています」

「旅商人と言いますと、国内を回るのですか?」

「いいえ、出来れば大陸を旅したいと思っています」

「それなら十三の国のどこへでも行けるパッスがいりますね」

「パッス?」

「入出国証のことです。これがないとフォース国以外の国には行くことが出来ませんよ」

「どうすればもらえますか」

「そうですね。フォース国の国王様にお願いして発行してもらいますが、先立つものがいりますよ」

受付の男性はお金を現すために、右手の親指と人差し指を合せて円の形を作った。

「どれくらい必要ですか?」

「一般市民では無理な金額ですよ」

「と、いいますと」

「金貨一枚は必要ですね」

「そんなにも」

(でも、持っているのでなんとかなる金額だ)

ヒメジは買えるぞと言いたいところをぐっとおさえて、残念そうな顔をした。

「無理でしょう」

(ここでは、持っていると言えば、受付の人が大きな声で驚いて騒ぎになるから、持っていないことにしよう)

ヒメジは更に残念そうな顔をして、

「ええ。あきらめます」

言った。しかし心の中では、

(商業ギルド証を手に入れた後にパッスを購入しよう)

と今後のことを算段していた。そうとは、知らない受付の男性は話を続けた。

「前国王の時は安かったのですが、今の国王様になってから高くなりました。富国強兵のために税も少し上がりました。また、異世界からも勇者を召喚しているそうです」

「たくさん召喚しているのですか?」

「聞いた話だと現在百とも二百人いるとも言われています。しかし、大将軍になれる大勇者はまだ現れていないそうです」

(あ、は、は、私は一般兵士にもなれない勇者だから、便所に召喚されて正解だったな)

「フォース国だけですか勇者召喚をしている国は?」

「いいえ、サード国やトゥエルブス国が召喚していますが、まだどの国も大勇者様は召喚されたとは聞いていません。まあ、召喚された人は勇者の特訓とかで戦闘訓練を受けているはずなのでひょっとすれば特訓から大勇者様が出現するかも知れませんが・・・。」

「戦闘訓練って何を行っているのですか?」

「ええ、日々城内での模擬戦闘や、ダンジョンに出かけて実際に魔物を討伐しているそうです。レベルが上がると強くなるそうですが、どの方も大勇者になるまでのステータスがまだまだ足りないそうです」

(それを聞いて、ますます大勇者になれそうもない。いや、なれそうもないじゃなくて、絶対になれない。レベルは上がっていても、ステータスは、何度見返しても戦闘力は最低から上昇していないからなあ。上がっていると言えば、唯一、誕生日で年齢が一つ上がったぐらいだな)

ヒメジは、召喚された人はステータスが上がっているのに自分は年齢しか上がっていないことに気づかされて、がっかりとした顔になった。

「教えてくれてありがとう」

ヒメジは力なく礼を言うと、受付の男性はにこやかに返事をした。

「いいえ、こんなの常識ですよ。知らないのは召喚された人だけでしょうか」

(え! そうなの。私は召喚された人間だから全然知らなかった。図星だ~)

「それでは失礼します」

ヒメジは、がっかりしたまま商業ギルドから出た。ヒメジは背中から、

「またのお越しをお待ちしております」

受付の男性の元気のいい声が聞こえてきた。


 ヒメジは商業ギルドを出た後、再び宿屋に戻り受付にいた亭主に保証人になるように頼んだ

「亭主、お願いがあるのですが」

「なんだい、客人。金の相談なら断るぜ」

「そんなのではありません。実は、商業ギルド証の保証人になってほしいのです。お願いできますか?」

「保証人かあ~。どうしようか」

「お願いです。東の町ではこの宿以外は泊まらないことにしますから」

「そんなことを言っても、客人のことまだよく知らないからなあ。保証人になるのは勘弁してもらいたいぜ」

「それなら、身分証明でこれを見てください」

ヒメジは懐から冒険者ギルド証を取りだして宿屋の亭主に見せた。

「ほう、客人は冒険者かい。で、ランクは今どれくらいだ?」

「E級レベルです」

「少しレベルが低いな。でもまあいいや。サインしてやってもいいぜ」

「いいのですか。助かった」

「ただし、一つ条件がある」

「何ですか?」

「客人が信用できるかどうか試験をさせてもらう」

「試験? 何をすればいいのですか?」

「簡単な話よ。ここから東になる村へ行って、母親の様子を見てきて欲しいのよ。冒険者ならたやすいことだろう」

「お母さんですか?」

「ああ、一人暮らしをしているので気になって心配している。それにシックスス国と戦争になる噂もあるからな。シックスス国との県境の近くに住んでいる母親の様子を知らせてくれたら合格だ」

「わかりました、任せてください」

「東の村は、歩いて一日のところにある。頼んだぜ」

「定期便はないのですか?」

「ない。今から急いでも、着くのは日暮れになるかな」

(え! どうしよう。野盗や野獣に襲われたら嫌だな~。定期便に乗って行けば楽勝だと思って引き受けたのに、これじゃあ命がけの依頼だよ。本当についていないな~)

「おや、浮かない顔をしているね。依頼を断ろうっていうのかい?」

「いいえ、そんなことは絶対にないです。むしろ、歩いて行けるなんて薬草採取が出来て、とてもウキウキしているところです」

(うそで~す。本当は足がぶるぶる震えています)

「それじゃあ、急いで頼むぜ」

「わかりました、今からすぐに出発します」

ヒメジは店主にせかされて町を出た。


 ヒメジは足取りが重たく、野盗の襲撃におびえながら鑑定の能力を使い、まわりに気をつけながら歩いた。比較的人通りがあり、麦畑が広がる道を通っていた午前中は何事もなく進むことができた。ヒメジは、道ばたにある樹木の木陰に入り、カバンの中に入れたパンと干し肉で昼ご飯を食べた。食べ終わると、周りを見渡して誰もいないことを確認すると、ヒメジはネットでマップを開いた。そして、東の村までの道のりを確認して出発した。午後からは山道に入った。空は雲一つ無い天気であったが、山道は樹木や草花が茂っていて、薄暗かった。幸い風は穏やかで、野盗や魔獣の姿もなく、無事に山林を抜け出ることが出来た。ヒメジは、山林を抜けて明るい場所に出たときに、両手を挙げて大きく背伸びをした。

「ええい。気持ちいい」

背伸びをした後両手を下ろして目の前の風景を見たときヒメジは驚いた。

「え? まだ早いだろう」

ヒメジが山林から出てみた景色は麦畑が収穫した後の風景だった。小麦を収穫するためには早すぎる。今収穫しても実は小さいはずだ。ヒメジは何かあったのだと思い、急いで刈り取られた麦畑の中にある道を急いで村に向かった。しばらくすると民家が見えた。ヒメジは一番近くの家のドアをたたいた。


いかがでしたか? 相変わらず気弱な主人公が次回いよいよ活躍できるのか楽しみにしていてください。

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