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いつも愛読いただきありがとうございます。主人公は活躍しない回ですが楽しんで読んでください。
翌朝、次の村へ向かう定期便が出発した。この日も、ヒメジ一人が乗って護衛がついている。昨日、野盗が襲ってきたので、護衛の冒険者達は厳重に定期便を守っていたが、次の村に着くまで何事もなかった。
「着いた、着いた」
ヒメジが定期便の幌馬車から降りて両手を上にあげて背伸びをしていると、
「お疲れ様」
背中からショコラが声をかけてきた。
「やあ、ショコラさんお元気でしたか?」
「ええ、この通りぴんぴんしています」
「例の、女性殴打事件はどうなりましたか?」
「ゴブリン退治も合わせて解決しました」
「それは、それは、素晴らしい。宿屋で詳しい話を聞かせてください」
「もちろん喜んで」
二人は宿屋の食堂に行くとビールで祝杯した。
「再会したことにカンパーイ」
ショコラが言うと、ヒメジも続けて
「カンパーイ」
言った。
「ところで、聞きましたよ。ヒメジさんは野盗に襲われて大変でしたね」
「そうなのです。いろいろあって疲れ果ててしまいました」
ヒメジは今までのことを話した。
「大変だったね。それに比べたら、こっちは楽でしたよ」
「聞かせてくださいよ」
「分かりました。あの日、ヒメジさんが旅立ってから、しばらくしてニワトリが騒ぎ始めたので・・・」
「コッケコッコ」
「ケケケ、コッコ、コッコ」
バタバタ、バタバタ
「鶏小屋が騒がしい。ショコラさん見てきてもらえますか」
若い女性は言った。
「任せてください」
ショコラが鶏小屋に行くと、一匹のゴブリンがニワトリを捕まえて小屋の外に出たところであった。ショコラはすぐに剣を抜くとゴブリンに向かって斬りかかった。そのとき、一本の矢がショコラに飛んできた。別のゴブリンが矢を放ったのだ。すぐにその矢を剣でたたき落として再び鶏小屋の方に目を向けたが、ゴブリンは逃げ去った後だった。矢が飛んできた方も見たが、そちらのゴブリンも立ち去った後だった。
「間違いなく、この周辺にゴブリンが潜んでいる。村長さんと一緒に何か対策を立てなくては」
ショコラは宿屋に戻ると若い女性に、
「村長さんの家はどこにありますか」
尋ねると、
「小高い場所にある家です」
教えてもらった。そこでショコラは急いで村長の家に急いだ。
「村長さん、村長さん」
そこらは村長の家のドアをたたいた。中から白いひげを生やした村長が顔を出した。
「どうされましたか」
「私はショコラと言います。冒険者をしています。先ほど宿屋のニワトリがゴブリンに襲われました。どうやら、ゴブリンはこの村の食料をねらっているようです。これ以上、村民に危害が加えられなするためにきました」
「それでしたら、中にお入りください」
村長はショコラを家の中に入れると、食卓のいすに座らせた。
「ショコラさんは何か良い考えがありますか?」
「うまくいくかはわかりませんが、ニワトリを使って森の中に潜んでいるゴブリンをおびき出します」
「なるほど、ニワトリをえさにするのですね」
「そうです。そして落とし穴と網を使って捕まえるだけ捕まえます」
「そんな初歩的な罠で、簡単に捕まるでしょうかね」
「捕まえられなくても、逃げているゴブリンの後を追いかけます。もし、村長さんが野原でモンスターに追いかけられたらどこに逃げ込みますか?」
「自分の家か教会など安全な場所にするでしょう」
「そうでしょう。ゴブリンもおそらく自分たちがねぐらとしているところに逃げ込むでしょう。そこを襲撃してゴブリンを捕まえるのです」
「そのためには、どうすればいいのですか?」
「村民の皆さんには、今から村外れの広場に落とし穴や上から網が落ちる仕掛けなど罠作りをお願いします。それから私に馬を一頭お借りできますか」
「それでいいのですか? ゴブリンを襲撃するときに人手が必要でしょう」
「いいえ、おそらくゴブリンの数は多くないはずです。多ければもうすでにこの村を大群で襲撃していますから、せいぜい十匹が限度でしょう」
「そうですか、わかりました今から村の衆に声をかけて罠の支度をさせます」
「よろしくお願いします。私も罠の準備を一緒にします。実行は今晩にしましょう」
村長は村人に話をして昼前から準備を始めた。ショコラも村人に罠を指導しながら準備をした。そして、それらが終わったのは夕方であった。
「皆さん、お疲れ様でした。おかげさまで罠は用意できました。今から作戦会議を始めます。女性の方は、今作った罠を仕掛けている傍の小屋にニワトリ数羽入れてください。その時に、自分で作った罠にかからないように気をつけてくださいね。入れ終わったら家に帰って、しっかり戸締まりをしてください。男性の方は、このまま道路の両脇にある林の中に隠れて、ゴブリンが現れるまで待ってください。ゴブリンが現れたら、後ろから太鼓や大声ではやし立ててください。驚かされたゴブリンは罠にかかるでしょう。そうしたら、捕らえてゴブリンの両手両足を縛ってください。罠にかからなかったゴブリンは私が捕まえてきます。よろしいでしょうか?」
村人は全員頷いた。
「それでは作戦を開始します」
ショコラが言った。二時間後、辺りがすっかり暗くなった頃、十匹足らずのゴブリンが村はずれにあるニワトリ小屋に現れた。
「あそこにニワトリの小屋がある」
「うまそうなニワトリだ」
「なんでこんなところにニワトリがあるのかな?」
「いいじゃないか。今夜もごちそうにありつけるぞ」
ゴブリンは道に沿ってニワトリ小屋へ歩いて行った。最後のゴブリンが道に引いてある線を越えたとたん、後ろから、
「ドン、ドン、ドン」
「わーわーわー」
「こら、こら、こら」
人間が大声で近づいてきた。急に驚かされたので、戦う構えをせずにゴブリンたちは全員ニワトリの小屋の方へ走って逃げた。すると四匹が鶏小屋の手前にある落とし穴に落ちた。
「うわー、ぎゃー」
穴に落ちたゴブリンは頭や腰を打って動けなくなった。落とし穴をよけたゴブリンも木の上から落とされた網に絡まり、三匹ほど手足が動かせなくなった。
「しまった。罠に引っかかった」
罠をかいくぐり逃げ延びたのは二匹だけであった。その後をショコラが馬で追いかけた。一匹は剣で頭をたたいて気絶させることができた、もう一匹はまだ逃げている。ショコラはその後を追った。やがて、ゴブリンは小さな洞穴に入っていった。ショコラもその中に入っていくと、一匹のゴブリンが穴の中で身を潜めていた。ショコラは後ろからそっと近づき、剣でゴブリンの後頭部をたたいて気絶させた。洞穴の中はゴブリンの生活場所で、ニワトリや動物の頭蓋骨や骨などが散乱していた。ショコラは、
(後日この洞穴の中を燃やしてしまおう)
考えた。とりあえず気絶した二匹のゴブリンを脇に抱えて村まで帰ってきた。
「ショコラさん無事でしたか」
「はい、村長さん。これから捕まえたゴブリンの手足を縛りますので縄を持ってきてください」
「分かりました。若い衆、縄を持ってきてくだされ」
「村長さん、これでいいですか」
一人の若い男が縄の束を持ってきた。
「ありがとう」
村長が村の男に礼を言った後、ショコラに向かって尋ねた。
「ショコラさん、これでいいですか?」
「十分です。いただきます」
村長から縄の束を受け取ったショコラは捕まえて連れて帰ったゴブリンの手足を縛った。その後、罠に掛かったゴブリンを刀で叩いて気絶させ、順番に手足を縄で縛っていった。全部のゴブリンを縛り終わるとショコラは村長に、
「捕まえたゴブリンはどうします?」
尋ねた。村長は、
「人間に悪さをするゴブリンは処刑することになっています。それでよろしいですね」
言った。
「わかりました。私がゴブリンを処刑しますので預けてもらえますか?」
「ショコラさんお願いいたします。私たちは、普段、処刑などしていないので、殺すことに慣れていないのです」
「任せてください。それでは荷車にゴブリンを乗せてください。私が皆さんの目の届かないところに連れて行ってから処刑をしますので安心してください」
「承知いたしました。よろしくお願いいたします」
「では村長さん、村人に頼んで荷車にゴブリンを乗せてください」
村長は村人に声をかけて、捕まえてきたゴブリンを荷車に全員乗せた。ゴブリン達は手足を縛られているので転がされて乗せられていた。ショコラはそれを馬で村から遠くに離れてところまで運ぶと、ゴブリン達に声をかけた。
「この山を越えればシックスス国だ、お前たちはこのフォース国にいれば処刑されるがシックスス国に逃げ伸びれば助かる。手足の縄を切るから、あの山を越えて逃げるか、私に処刑されるか好きな方を選べ」
ショコラはそう言ってゴブリンたちの手足のひもを切った。ゴブリンたちはショコラの言葉がわかったようで、全員が国境を越えて逃げていった。
「よし、これで終了!」
ショコラは村へ帰って行った。
いかがでしたか? 主人公がショコラほど活躍すれば女性にもてるのでしょうが、残念ながら格好が良くない、貫禄がない、体力がない、のないない尽くしですから女性にはもてないのです。




