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いつも愛読ありがとうございます。主人公が南の町で市場で買い物をする話です。のんびり楽しんで読んでください。
十二日目の朝は犬の鳴き声でヒメジは目が覚めた。
「ワン ワン ワン」
「ワン ワン ワン」
「ブワン ブワン」
「ワン ワン ワン」
「ワン ワン ワン
「ブワン ブワン」
「うるさいな。猫の次は犬かよ。野良犬どもめ、ホットドッグにして食べてやるぞ」
ヒメジは目が覚めた。
(ん? ホットドッグのドッグは犬という意味じゃなかったような? たしかソーセージの俗語だったような? まあ、どっちでもいいや。お腹空いてきた)
ヒメジは食堂へ行くと、朝食を注文した。女性の店員がすぐに持ってきた。ホットドッグではなかったが、フランスパンとソーセージが出たのでヒメジはホットドッグのようにパンにソーセージを挟んで一口食べた。
(うまい! ソーセージのうま味とパンの甘みがマッチしてこれはたまらない味だ。ケチャップとマスタードがあれば最高なのだが・・・)
そう思いながらもヒメジは、ガツガツと一気に食べてしまった。
「とってもおいしかった。お腹いっぱいになったぞ。ごちそうさまでした」
ヒメジは食事をとても満足すると、亭主に部屋の鍵を返却して宿屋を出た。
宿屋を出たヒメジは一目散に薬屋へ向かった。ネットで場所を調べていたので、
「あった、あったここだ」
すぐに見つけた。
「おはようございます」
ヒメジは店の中に入った。すると、すぐに店主が
「やあ、ヒメジさんだね」
声をかけてきた。ヒメジは、まだ自己紹介をしていないのに名前を呼ばれたので驚いた顔をした。そして、
「どうして私のことをご存じなのですか」
店主に尋ねた。店主は笑いながら、
「王都の兄貴から手紙をもらってね。『中年の気弱そうなヒメジという人が尋ねてきたらよろしく』と書かれていたのでお前さんかと思ってね」
答えた。
(あの糞店主、誰が中年の気弱そうなハンサムボーイだ。ひと言余計だ)
「そうです。私がヒメジです。今日は万能薬を売りに来ました」
「おう、早速そうきたか。まさか上等のハイナチュラルポーションじゃないだろうな」
「そうです。これを見てください」
ヒメジは、ポケットから二十ミリリットルの薬瓶に入っている、透き通った濃い茶色の液体を見せた。
「おい、これは本当に上等のハイナチュラルポーションじゃないか。俺は生まれて初めて見た」
店主は驚いて薬を眺めていた。
「いくらで買ってくれますか? 二十ミリリットルの薬瓶に入っている上等のハイポーションが大銅貨五枚なので、できればその倍で」
「いいぜ、二十ミリリットルの薬瓶に入っている上等のハイナチュラルポーションを銀貨一枚で引き取る。それで、いくら持っているのだ?」
「十八リットル」
「ずいぶんあるな。出してくれ」
アイテムボックスが底に通じているカバンから十八リットル容器を取り出した。
「はい、どうぞ」
「ほう、こりゃすごい。本当に十八リットル入っている上等のハイナチュラルポーションだ」
「そうでしょう」
「じゃ、約束通り金貨九枚だな」
ヒメジは十八リットルの上等のハイナチュラルポーションを店主に渡すと、金貨九枚受け取った。店主は大量の上等のハイナチュラルポーションを手にできたので顔が緩んでいた。ヒメジから見ても店主の顔が大変喜んでいることが分かる。店主が大切に薬をかたづけて、ヒメジの方を向くと、再び笑顔で店主がヒメジに話しかけた。
「万能薬以外にも上等の薬を持っているか? もし持っているなら喜んで購入するぜ」
「もちろんありますよ」
「何を持っている?」
「上等のハイポーションと、上等のハイポイズンポーションを持っています」
「見せて貰えるか?」
「いいですよ」
ヒメジはカバンから二十ミリリットルの薬瓶に入っている上等のハイポーションと上等のハイポイズンを取りだして店主に見せた。
「この濃い紺色は上等のハイポーションです。そして、濃い紫色が上等のハイポイズンポーションです」
店主は、ヒメジから薬を受け取るとじっくりと眺めた。
「見るのは本当に久しぶりだが両方とも間違いなく上等のハイポーションと上等のハイポイズンポーションだ」
「いい薬でしょう」
店主は持っていた薬をヒメジに返すと、
「ああ、本当にいい薬だ。それじゃあ、それぞれ十八リットルずつもらおうか」
注文した。
「わかりました」
ヒメジはアイテムボックスに繫がっているカバンから十八リットルの薬瓶に入った上等のハイポーションと上等のハイポイズンポーションを取りだして店主の前に置いた。
「見れば見るほど確かにこりゃ上物だ。うれしくなるねえ~。ほれ代金だ。受け取ってくれ」
店主はヒメジに代金の金貨九枚を渡した。ヒメジはそれを受け取るとアイテムボックスに繫がっているカバンから巾着袋を取りだして、その中に金貨をしまった。用が済んだヒメジは、
「それではこれで・・・」
そう言って、店を出ようと店主に背を向けた。
「ちょっと待った! お前さんこの後どの町に行くのだ?」
店主に聞かれたので、ヒメジは店主の方を向いてから返事をした。
「東の町です」
「それなら、お前さんに頼みたいことがある」
「何ですか?」
「東の町の薬屋にこの薬を渡してほしい」
店主から黄色い液が入った一リットルの薬瓶を渡された。
「いいですよ。ついでですから持って行きます」
「依頼料はこの本だ。よろしく頼むぜ」
「分かりました」
薬草の本Ⅳをヒメジは受け取った。
「それでは、これで失礼します」
ヒメジは薬屋の外に出た。だんだん、厳つい顔にも慣れてきて、この薬屋の店主には恐怖心を抱かなかった。
次は市場へ行った。この町にも筋が三本ありライト筋が雑貨、センター筋が武具、レフト筋が食料である。始めにレフト筋へ行って、大きな酒屋に入った。
「おはようございます」
「いらっしゃい」
「おいしいウイスキーが欲しいのですが、どれがいいですか?」
「ウチの店ならどれもうまいよ」
「試飲してもいいですか?」
「いいぞ、ほら」
店主はショットグラスに入れてヒメジに渡した。ヒメジはウイスキーの香りを嗅いで一口飲むと、この店のウイスキーをとても気に入ってしまった
「おいしい。何年ほど熟成しているのですか」
「うちは最低でも二十五年熟成しているから、味には自慢あるよ。でもその分値段は張るけどね」
「だからおいしいのですね」
「当たり前だよ。どうだい、一リットル購入しないか」
「こんなにおいしいウイスキーを一リットルだけしか買わないなんて、ごちそうがあるのに待てといわれている犬と同じだよ。店主、この店のお酒を全部ください」
「全部だって! 倉庫の酒も合わせたら二百樽はありますよ、いいのですか?」
店主は驚いた声を上げた。
「はい、いただきます。ところで一樽いくらですか?」
「五百リットル入り、樽代込みで大銀貨一枚」
店主はまだ驚いているようで、声がうわずっている。
「それなら全部で金貨二十枚ですね」
ヒメジはカバンに手を突っ込んで、アイテムボックスから巾着袋を取り出した。そして、そこから必要な金貨を取り出して店主に渡した。
「ではこれでいいですか」
店主は代金を確認して、再び驚いていた。一般人が持つようなお金ではないからだ。それでも、店主の手のひらの上には間違いなく金貨がある。店主は深呼吸をすると、気持ちが落ち着いたようでヒメジに穏やかな声で話しかけた。
「はい、確かにお代はいただきました。ありがとうございます。ところで、こんなにたくさん品物がありますがどうやって運ぶのでしょうか?」
「それは大丈夫です。さあ、倉庫に案内してください」
「分かりました。ついてきてください」
ヒメジは店主の後をついて行った。倉庫に入ると、店主を外に待たせてすべての樽を、
「アイテムボックス 入れ」
のかけ声でアイテムボックスに入れてしまった。
「お待たせしました。それでは引き上げます」
ヒメジが店からでた時、店主は空っぽの倉庫に驚いて腰を抜かした。
いかがでしたか? ウイスキーを随分買い込みましたが、深い意図はないです。商人が商品を仕入れた位に思ってください。これから、ウイスキーはどうなるのか楽しみにしてください。(作者はまだウイスキーがどうなるのか何も考えていません)




