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いつも愛読ありがとうございます。今回はのんびりした話ですので、ゆったりと読んでください。
南の町に着くとすぐに冒険者ギルドに向かった。冒険者ギルドでは定期便が襲われたことで大わらわになっていた。討伐隊が編成され、今にも出発しようとしている時であった。ヒメジは受付の年配女性に、
「こんばんは。東の町のギルド長さんに頼まれて手紙を持ってきました。ギルド長さんに直接渡したいので会わせてもらえますか?」
声をかけた。
「え! ひょっとして定期便に乗っていた方ですか?」
「はい、乗っていました」
「じゃ、野盗に襲われたのは」
「本当です。昨日と今日、襲われました」
「それは、それは、お気の毒に。すぐにギルド長に取り次ぎますのでお待ちください」
受付の年配女性は奥にさがったがすぐに戻ってきた。
「ギルド長がすぐにお会いしたいと申しています。ここをまっすぐいって、突き当たりの右がギルド長の部屋です。私が案内しますので、ついてきてください」
「わかりました。ありがとうごぞいます。ところで、ここに来る時に倒した野盗の一部を縄で縛って道に転がしています。ひょっとするとまだ転がっているかも知れません。見てきてもらえますか」
「そうですか。それはありがとうございます」
受付がヒメジの方を向いてお辞儀した後、討伐隊の方を向いて、
「討伐隊の皆さん、野盗の一部が縛られて道に転がっているそうです。どなたか見てきてもらえますか~」
大きな声で叫んだ。すると、
「そうなのか! すぐに出発して様子をみてこよう」
一部の討伐隊が冒険者ギルドから飛び出ていった。それを見送ったあと、
「それでは奥へどうぞ」
ヒメジは受付に言われた通りにギルド館の奥に進んだ。ギルド長と思われる部屋の前で受付が扉を三度ノックすると、
「はい」
声がした。
「ヒメジさんという冒険者が東の町のギルド長さんから手紙を持ってきました」
「どうぞ、中に入れてください」
「かしこまりました」
受付が返事をした後、扉を開けてヒメジの方を向き右手を出して中に入るように促した。
「失礼いたします」
ヒメジは中に入ると、受付の年配の女性は中には入らずに戸を閉めた。ヒメジが部屋の中を見ると優しそうな初老の男性が立っていた。
「こんにちはこの町のギルド長です」
「始めまして、ヒメジです」
「どうぞおかけになってください」
「ありがとうございます」
「ヒメジさん、野盗に襲われて大変な目にお会いになりましたね。そんな中わざわざ手紙を届けてくださってありがとうございます」
「いいえとんでもない。頼まれた約束を守るのは大人として当たり前のことですから。これが東の町のギルド長から手紙です」
ヒメジは南の町のギルド長に手紙を渡した。それを受け取ったギルド長はすぐに封を切って読み始めた。
「確かに東の町のギルド長から手紙です。ありがとうございます」
「一つ伺ってもいいですか?」
「なんでしょう」
「手紙の内容を教えてもらえますか? こちらは命がけで運んだのですから、知る権利があると思います」
「そうですね~」
ギルド長は顔をうつ伏せて少し考え込んだが、顔を上げるとにっこりしてヒメジに話した。
「いいでしょう、詳しいことは教えられませんが、シックスス国からこの国にスパイが侵入している内容です」
「それでですか。襲った野盗は胸に白い羽をつけていましたし、彼らはシックスス国出身の者ばかりでした。そして、その手紙を奪おうとしていたのです」
「なるほど、それで定期便が襲われたのも納得します。定期便は各国共通で襲ってはいけないと大陸条約の一つにあるのにも関わらず・・・」
「あの、冒険者ギルドは国政に関わってはいけないはずではないですか?」
「自発的に関わってはいけませんが、依頼者がいれば別です。情報収集まではギリギリセーフです。それ以上は問題になりますので依頼を受けません。・・・ところでヒメジさんはこの後、どうされますか?」
「南の町を見学した後、東の町を通って王都に戻りたいと思っております。この依頼の報酬を受け取りたいので」
「そうですね。とびっきり報酬を出してもらうように手紙に書いておきます。そのかわり、ヒメジさんには再び東の町と王都のギルド長に手紙を配達する依頼を受けてもらいます。よろしいですか?」
「襲われないのなら受けますが・・・」
「大丈夫です。しばらくの間は定期便に護衛をつけておきます」
「それなら引き受けます」
「よろしく頼みます。手紙は明日渡しますので、ギルドまで来てください」
「はい、それでは失礼いたします」
ヒメジはギルト長の部屋の外に出ると、受付に行った。
「さっきはありがとうございます」
「あら、ギルド長との話は終わったの?」
「ええ、終わりました。有意義な話でしたよ」
「それはよかったわね。ところで、今日はどこの宿屋で泊まる予定なの?」
「まだ決めていません」
「それでは、ここを出て西に少し歩いたところに宿屋があるからそこに泊まったらいいですよ。料理やお酒がとてもおいしいの」
「それは楽しみですね。是非そこに泊まります。教えてくれてありがとう」
「どういたしまして」
ヒメジは受けの年配女性と挨拶をして、冒険者ギルドを出ると宿屋に向かった。
ヒメジは冒険者ギルドで教えてもらった宿屋に着くとすぐに食堂で、
「腹減ったぁ~。お姉さん、ビールと鳥料理ください」
注文した。
「ごめんよ。いまビールを切らしている。代わりにウイスキーあるよ」
「じゃ、鳥料理だけください」
「いいのかい? ウチのお酒は、二十年ほど樽で寝かした最高級の一品物だよ。そんじょそこらで売っていない、滅多に飲めない貴重品だよ」
「へえ~、南の町は酒の町なのかい?」
「そうだよ。水が良くて酒造りに適していてね、樽になる材料も豊富で、大麦もたくさん栽培されているから名物さ」
「へえ~、じゃ一杯いただこうかな」
「そうこなくっちゃ」
お姉さんは茶色で透き通った液体を小さなコップに入れて持ってきた。
「これだけ?」
「ショットグラスにワン・ショット入れて飲むのが一般的さ。さあ。一口飲んでみな。のどが焼けるほどおいしいよ」
「じゃ、いただきまあ~す。ゴックン」
「どうだ。うまいだろう」
「つ、強い酒でのどが焼けるが、う、うまい」
「だから言っただろう、ウチのは最高だと。もうワン・ショットどうだい」
「いいね、いただくと言いたいが、こんなに強い酒をこれ以上飲んだら、倒れてしまうから遠慮しておきます」
「そうかい。そりゃ残念だね」
「明日もいるからまた飲ませてください」
「ああ、いつでも飲んでくれよ」
ヒメジは出された鳥料理を平らげると、宿屋の井戸へ言った。上半身を裸になり、旅の途中で買った布と作った石けんを使って体を洗い始めた。
「ふう、気持ちいい。今日は頭も洗っておこう」
やや薄くなり始めている頭に水をかけてから石けんを頭皮につけて両手で洗った。最後に頭を下げて水を後頭部からかけて洗い流すと、
「終了! さっぱりした」
ヒメジは布で頭を拭き始めた。きれいに拭き終わると、服を着て、布を洗って部屋に戻った。ヒメジは布を椅子にかけてベッドに倒れ込むとネットを開いた。シックスス国のことが気になったので、ネットで調べた。
【シックスス国 王国制 国王・・・中略・・・フォース国の穀倉地帯を手に入れるために、スパイを送りフォース国の戦力情報の入手、貴族・領主の離反の呼びかけを行っている。また、国境近くの草原で五万人の兵士を軍事訓練している。国王の号令でいつでも侵攻する可能性がある。フォース国も国境近くに秘密裏で四万の兵を移動させて、侵略に備えている】
ヒメジは最後まで読むとこれからのことを考えた。東の町はシックスス国に接している。戦争が起きれば多くの人が被害を受ける。できるだけそうならないようにするにはどうすれば良いのか考えたが、いいアイデアが出てこない。
「う~ん。う~ん。どうすればいいのだろう。う~ん」
考えあぐねていると瞼が重たくなり、いつの間にか、いびきをかいて眠ってしまった。
いかがでしたか? 主人公は弱虫なので戦闘には向いていない設定です。だから、戦争には登場させようかやみようか悩んでいます。これからの物語がどうなるのか楽しみにしてください。




