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いつも愛読ありがとうございます。今回は事件の解決編です。楽しみに読んでください。

 「とりあえずベッドに寝かせよう」

ショコラ、ヒメジ、店主、ほか数名の客で女性を部屋のベッドまで運んだ。その後、ショコラが店主に話を聞いた。

「おやじさん、誰か侵入した気配は感じませんでしたか?」

「私は厨房の片付けをしていたので気がつきませんでした。娘は、酒場で片付けと清掃をしていたはずです」

「女性が倒れたとき、誰か近くで見ていませんでしたか?」

「それはいないでしょう。最後に席を立ったのは私とショコラさんだったのは間違いないです。話に夢中になって気がついたら誰もいないと確認して二人は飲み会をお開きにしました。それに我々は部屋に上がる時も酒場へ降りてくる人はいませんでしたから」

ヒメジはショコラに言った。

「そうでしたね。そうなると、自分で足を滑らせたのかな?」

ショコラがそう言うと、年配の男性が口を挟んだ。

「俺、さっき外で用を足した時に、酒場から男が出て行くところを見たぜ」

「どんな男ですか?」

ショコラが聞いた。

「背の小さい若い男だったと思う。顔は暗くてよく見えなかったのでわからないがな」

「おやじさん、この人の言う男の人に心当たりはありますか?」

ショコラは店主に尋ねた。

「う~ん、背の小さい男なら、使用人の男がいるが、その男なら娘が倒れる前にゴミ出しや台所の片付けをさせていたからな。店の出入り口には行かせなかった」

「おやじさん、他に背の低い人はいませんか?」

「そういえば、お二人さんが退席する寸前に、この村にいる飲み助の老人が帰って行ったが、若くはないぞ」

ショコラは再び年配の男に尋ねた。

「もう一度確認しますが、酒場から出た男は、女性が声を上げた後ですか?」

「どっちだったかな? 酔っ払って記憶があいまいだ」

ショコラが年配の男性に話しかけようとしたときに、ヒメジはショコラに話しかけた。

「なあ、ショコラさん、とりあえず今日はみんな酔っ払っているし、時間も遅いからもうお開きにしないか? 酔いが覚めたり女性の意識が戻ったりすれば何かわかるかも知れないし」

「そうだな、そうしよう。皆さんご協力ありがとございました。今日はお開きにします」

ショコラが言うと、客はそれぞれの部屋に戻っていった。

「ショコラさん、お疲れ様。部屋に戻ろう」

「うん、そうだね。ヒメジさんも疲れたでしょう。それから薬ありがとう」

「いいえ、どういたしまして」

「おやじさん、女性のことは頼みましたよ」

「おう、娘のことは任せておくれ」

それを聞いて、二人は安心したので自分の部屋に戻ってベッドに横になった。

     

 翌朝、ショコラは昨晩のことが気になり、早く起きて店の中や出入り口を調べることにした。ショコラが店から出ると、店の出入り口をすぐ出た所に素足の足跡を見つけた。ショコラはしゃがみ込んで足跡を観察した。

(小さな足跡だ。店に入る足跡と店から出てそのまま立ち去った足跡があるが、足跡の数からしておそらく単独だろう。立ち去った後の足跡を追ってみよう)

ショコラが立ち上がり、足跡を辿りながら歩いていると店の裏手にあるゴミ置き場に着いた。

(ゴミ置き場の前は随分ゴミが散らかっているな。おそらく、ゴミ置き場の中をあさりに来たのだろう)

ショコラは、ゴミ置き場の前のゴミを見渡していると、ゴミ置き場の周りに複数の足跡を見つけた。

(おや、一つは店に入った足跡だが、もう一つはそれとは違う足跡だ)

ヒメジは別の足跡をたどっていくと、ゴミ置き場の近くにある鶏小屋に続いていた。鶏小屋の中には数匹のニワトリがいた。しかし、よく見ると鍵が壊されて、中はニワトリの羽が散乱していた。

(おそらくニワトリを誰かが盗みに入ったのであろう。複数の足跡や、ゴミ置き場と鶏小屋が荒らされていることから犯人は・・・)

ショコラが推理を巡らせている時に、

「おはよう、ショコラさん」

ヒメジが二階の自分の部屋の窓からショコラに声をかけた。

「おはよう、ヒメジさん」

「昨日はお疲れ様でした」

「ヒメジさんこそお疲れ様でした」

「早いですね、何をしているのですか?」

「昨日の事件の検証をしていました」

「何かわかりましたか?」

「推理したことがありますが、おそらく間違いないでしょう」

「すごいですね。わかったのですか。さすがショコラさん。教えてもらえますか?」

「いいですよ。今からヒメジさんの部屋へ行きます」

「お待ちしています」

しばらくすると、ショコラがヒメジの部屋にやってきて自分の推理を話した。

「なるほど、それなら、背が低い男やゴミ置き場や鶏小屋が荒らされていることが納得できる。さすがですねショコラさん」

「しかし、女性からの証言を聞かなくては確定できません。自分でゴキブリを見て転んで頭を打ったと言えば、この事件とゴミ置き場や鶏小屋が荒らされたことは別々の事件になってしまいます」

「そうですね。女性が無事か食堂へ見に行きませんか?」

「行きましょう」

二人が降りていくと、女性は机を拭いていた。

「おはようございます。昨日はありがとうございました」

「お体はもう大丈夫ですか?」

ショコラが尋ねた。

「ええ、すっかり元気になりました。お二人が適切な処置をしていただいたおかげです」

「ところで、怪我の原因は何だったのですか?」

「それが、後ろから棍棒のようなもので殴られたのは間違いないのです。誰かが私のすぐ後ろの机に登る気配を感じたと同時に頭に衝撃が来たので顔は見ていません」

「ショコラさん」

ショコラとヒメジは顔を見つめあって笑顔になった。

「ヒメジさん私の推理は間違いないです」

「そうですね」

「犯人がわかったのですか?」

女性が尋ねると、ショコラは、

「はい、わかりました」

答えた。そして女性におやじさんを呼んで来るように言った。女性とおやじさんがくるとショコラが犯人を言った。

「おそらく犯人はゴブリンでしょう。彼らの身長は子ども程度ですから女性を叩こうとすれば机の上に登る必要があります。おそらくは机の上にあった料理の残り物を取ろうして、机に登った時に、人がいたので、見つかって騒がれないようにするために、後頭部を叩いたのでしょう。また、この家のゴミ置き場が荒らされていることや、ニワトリが盗まれていることからゴブリンが食料を調達するためにやってきたのでしょう」

「なるほど、最近ゴブリンが村の周りで見かけられているから、間違いないな・・・。でも困ったぞ。ゴブリン退治をどうしたら良いのか見当がつかない」

「おやじさん、心配しないでください。わたしは、冒険者でこの村でゴブリンを討伐する依頼を受けています」

「本当か。お前さんが対処してくれるのならとても助かるよ」

三人は笑顔になったが、ヒメジは少しさみしくなった。彼は今から定期便に乗って南の町へ移動するからだ。ヒメジはもうしばらくショコラと一緒にいたかったが、定期便が出発する時間が迫ってきたためショコラに声をかけた。

「じゃあショコラさん、ここで頑張ってください」

「もうそんな時間になったのか。ヒメジさんもな。帰りの定期便も一緒に乗ろうな」

「そうしたいです。それじゃお元気で」

「ヒメジさんもお元気で」

二人は別れて、ヒメジは停車場に向かった。


いかがでしたか。解決編と言ってもまだ完全には解決していません。これからこの物語がどのようになるのか楽しみにしてください。

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