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いつも愛読いただきありがとうございます。前回は散々な目に遭った主人公ですが、今回は・・・。楽しんで読んでください。
市場に戻ったヒメジは、だました若い男に会ったらとっちめてやろうと、ファースト筋に戻りあたりを見渡した。さすがにだました男はどこかへ行方をくらまして、ファースト筋には若い男の姿はなかった。しばらく、ヒメジはきょろきょろ見渡しながらファースト筋を歩いていると、大きな小麦屋を見つけた。
(ここならだまされないだろう)
ヒメジは店の中に入った。
「ごめんください」
「いらっしゃいませ。小麦粉の買い付けですか?」
若い女性の店員が出てきた。
「はい。小麦粉のできはいかがですか?」
「おかげさまで、大豊作で値段が安くなっております。二十キログラムあたり銅貨一枚で販売しております」
「品物を見せてもらえますか?」
「はい、この小麦粉です。パンを焼いたら、ほのかの甘さを感じるおいしさです。本当にできがいいですよ」
店員は小麦粉が入った麻袋を広げてヒメジに中を見せた。ヒメジは小麦粉を見ながら匂いを嗅いだ。
「本当に、ほのかに甘い香りがしますね」
「そうでしょう。ここ数年のうちでも出来が良い小麦ですよ。本当にお買い得ですよ。いかがです」
「買います。千袋欲しいのですが大丈夫ですか?」
「千袋ですか? ・・・大丈夫ですよ。こちらに来てください」
女性の店員はヒメジの購入する数を聞いて少し驚いたが、すぐに気を取り直して、店の裏手にある倉庫にヒメジを連れて行った。
「さあどうぞ、お望みの数はここにあります」
店員が倉庫の中を見せると、小麦粉が入った麻袋がうずたかく積まれていた。
「いくつか袋の中を見てもいいですか?」
ヒメジは先ほどの失敗があるので、中身を確認したいと思い女性の店員に尋ねた。
「購入してくれるのなら構いませんよ」
女性の店員がそう返事をしてくれたので、ヒメジは適当に選んだ麻袋の袋をいくつか開いた。中を確認すると、どれも確かに白い小麦粉だった。
「確かに、どれも素晴らしい小麦粉ですね」
「そうでしょう。倉庫で小麦粉を保管するのにも気を遣っていますから。品質が良い物ばかりを置いていますよ」
それで信用したヒメジは倉庫にある全ての小麦粉を購入することにした。
「今、この倉庫に何袋ありますか?」
「五千袋ですがどうされましたか?」
「全部いただきます」
女性の店員は驚いてヒメジに聞き直した。
「ぜ、全部ですか?」
「はい、全部いただきます。代金はいくらになりますか?」
「全部で大銀貨五枚になりますがよろしいですか?」
そんな大金は持っていないだろうと言いたげに返事してきたので、ヒメジは自信を持って
「大丈夫です」
答えた。すると、女性の店員はヒメジの言葉をまだ信じていないようで、
「それでは代金を先にお願いします」
代金を先に要求してきた。
「はい、それでは手を出してください」
ヒメジはアイテムボックスに通じているカバンに手を突っ込み、巾着袋を取りだした。そして、それからお金を取り出して、女性の店員に大銀貨五枚渡した。女性の店員はヒメジが大金を持っていることに驚き目を丸くしていたが、気を取り直して、
「ありがとうございます。それでは小麦粉はどこへお運びいたしますか?」
「いいえ、私が持ってかえります。少し席を外してもらえますか?」
「わかりました。外に出ていますので、終わりましたら声をかけてください」
そう言うと、女性の店員は扉を開けて外に出た。ヒメジは、
「麻袋よ アイテムボックスに入れ」
唱えると、五千の麻袋がアイテムボックスに吸い込まれた。五秒後には倉庫の中がスッカラカンになった。
「終わりました」
ヒメジは外に出た女性の店員に声をかけると、女性の店員はあまりの短い時間で倉庫の中が空っぽになっているので、
「・・・」
再び目を丸くして声を失っていた。
「それでは失礼しますね」
ヒメジはその店を出た。それからヒメジはいくつかの小麦屋をまわり、全部で金貨五枚分の小麦粉を買った。どの店でも大量に小麦を買い付けたので店員にとても驚かれたが、ヒメジは予定通り大量の小麦粉を購入することが出来て満足した。
十分な量の小麦粉を購入したので、次は西の町で購入した魚を販売しようと、食料品を売っているフォース筋に移動した。魚屋に行くと、やや鮮度の落ちた海水魚が並んでいた。
「店主さん、新鮮な海水魚はいりませんか?」
「新鮮な海水魚だって。ここで売っている以上の新鮮な海水魚なんてないぜ」
「いや、ここの魚以上に新鮮な海水魚ですよ」
「何を言うのだ、これ以上新鮮な海水魚はちょっと手に入らないぜ。何せ、早馬で仕入れているからな」
「これをみてください」
ヒメジはカバンの中から西の町で仕入れたままの新鮮な海水魚を一箱取り出して店主に見せた。
「ほんとうだ。こりゃおったまげた。魚の目が充血しておらず、本当に獲れたてで新鮮だ」
「そうでしょう」
「この海水魚をどうやってここまで運んだ?」
「それは言えません。秘密です」
「ひょっとして、アイテムボックスを持っているのか? アイテムボックスなら時間の経過がないから新鮮に運べると聞いたことがある」
「さあ。どうでしょう。まあ、アイテムボックスは冒険者に多いので、こんな魚を運ぶのには使わないでしょう。どちらかと言えば、ダンジョンに入るための食料を運んだり、魔物のドロップアイテムを入れたりしているのではないですか」
「ふむ。その通りだな。まあ、こっちとしたらどのような方法で運んでくれようが気にしない。海水魚が新鮮だったらありがたい」
「そうです。そうです。ところで、この海水魚をいくらで買います?」
「そうだな、銅貨二枚で、いや三枚で買うぞ」
「それでは銅貨三枚で決まりですね。はいどうぞ」
ヒメジは魚が入った箱を一つ渡して代金をもらった。
「他にも活きのいい魚はないかい?」
魚屋は尋ねた。
「これなんか、いかがです」
ヒメジはマグロのような魚をカバンから取りだした。魚屋は手に取って眺めていたが、満足した顔をして、
「いいね。新鮮で気に入った。これはいくらで売ってくれるのかい?」
尋ねてきた。
「大銅貨四枚でいかがです?」
「安い、買った。二本くれ」
「ありがとうございます。それではこれをどうぞ」
ヒメジはカバンからもう一本マグロのような魚を取りだした。魚屋はそれを受け取ると、ヒメジに銀貨一枚を渡して、新鮮さを保つために手際よくさばき始めた。
「それでは失礼します」
ヒメジが言うと、
「ここに来たときはまたお願いするから、活きのいい魚を頼むぞ」
魚屋は声をかけてきた。
「分かりました」
そう返事をしてヒメジはその場から立ち去った。その後、他の魚屋をいくつか回ってマグロのような魚を三本と小魚の箱を十箱売ることができた。どれも、購入の値段の二倍から四倍の値段で売ることができた。
いかがでしたでしょうか。人生悪いことばかりではありません。そんなところを楽しんで読んでいただけましたでしょうか。これからも「人生楽ありゃ苦もある」のんびりほのぼのした物語を書いていきますのでよろしくお願いします。




