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本日も愛読いただきありがとうございます。西の町から王都に戻る道に野盗が潜んでいます。無事に王都へ到着できるのか(もちろんご都合主義なので到着します)。楽しんで読んでください。

 六日目の朝は曇り空だった。朝から猫が、

「にゃ~、にゃ~」

鳴いている。盛りの頃なのかうるさい。あちらこちらから、

「にゃ~、にゃ~」

「にゃ~、にゃ~」

「にゃ~、にゃ~」

「にゃ~、にゃ~」

ヒメジは布団を頭に掛けてもう少し寝ようしたが、相変わらず、

「にゃ~、にゃ~」

「にゃ~、にゃ~」

「にゃ~、にゃ~」

「にゃ~、にゃ~」

聞こえてくる。ついに我慢しきれなくなり、

「にゃ~、にゃ~、にゃ~、にゃ~、言うにゃ~」

ベッドの中で叫んでしまった。ヒメジの大声で猫たちは驚いて逃げてしまったのか、それ以降は鳴き声がなくなった。ヒメジはもう一寝入りしようと目をつぶったが、興奮状態で眠れそうもなかった。仕方なくヒメジはベッドから降りて服を着替えた。

(盛りの時期の猫なんて、大嫌いだ~)

ヒメジはぶつぶつ頭の中で文句を言いながら身支度を整えると部屋を出た。そして、宿屋の亭主に部屋の鍵を返し、革袋いっぱいに井戸水を入れるとすぐに宿屋を立った。王都に戻るために西の町の東門を目指した。ヒメジは西の町へ来る時に野盗に襲われたので、本当は冒険者を雇うつもりであったが、大人の諸事情で雇うことが出来なかった。いや、正直に言うと物語の流れでヒメジを冒険者ギルドに寄らせることが出来なかったのだ。仕方がないのでちょっとご都合主義で物語を進めることにする。

東門では男女五、六名ほどの冒険者が待ち合わせをしていた。ヒメジが冒険者達の横を通り過ぎる時に話し声の断片で、

「今日はどこにいく?」

「王都にもどるよ」

「あそこの冒険者ギルドの依頼はここより多いからな」

聞こえて来た。

(え! 冒険者達は王都に向かうのか。ラッキ~。ついている。この冒険者達の傍にいれば野盗に襲われてもなんとかなるだろう。神様が昨日、村人を助けたご褒美に与えてくださった幸運だ)

こうしてヒメジは彼らの前後を歩くことにした。はじめにヒメジは冒険者達が待ち合わせをしていたので先に東門を出て彼らより前を歩いた。

「鑑定、ゴレン草」

ヒメジは東門を出るとすぐに薬草採取を始めた。道ばたに生えている薬草を採取しているときでも後ろにいる冒険者達の様子をチラチラと振り向いて、

(まだ後ろにいるな)

と確認していた。三本ほどゴレン草を採取して、道を歩き始めるときも、牛が歩くようにゆっくりと歩きながら、チラチラと後ろを何度も振り向いた。やがて東の門がコインの大きさに見えるまでヒメジが西の町から離れた時に冒険者達は王都に向かって歩き始めた。

「やっと動き出したぞ。よしもう少しここで薬草を採取して、時間をつぶそう」

こうしてヒメジは、再びゴレン草を採取し始めた。五本目のゴレン草を採取している時に、

「おい、王都では武器屋に寄ってくれよ」

声が小さく聞こえてきた。

「お前この間大剣を買い換えたばかりだろう」

次第に大きく聞こえてくる。

「そうよ、大剣がすぐに消耗するなんてことないわよ」

ヒメジが採取しているそばから聞こえてくる。

「違うよ、投擲用の呼びの武器を買いたいのだよ」

次第に離れて聞こえてくる。

「なんだ、それなそうと言えよ。びっくりするじゃないか」

声が小さくなって聞こえにくくなる。

ヒメジは採取したゴレン草をアイテムボックスに入れると、追い抜いていった冒険者達の後をあわててついていった。若い冒険者達はすたすたと速く歩くので、ヒメジはそれにあわせて歩くのが大変だった。早足で歩いて、なんとか同じ歩く速さなので十分も歩くと大きな汗が頭からしたたり流れてきた。

(はあ、はあ。若い冒険者達は歩くのが速い。年寄りに合せてもう少しゆっくり歩けないかなあ)

ヒメジはぼやきながら冒険者達を見失わないように、彼らの五メートル後方を一生懸命歩いた。やがて、昼頃に以前、野盗に出会った場所に着いた。ヒメジは鑑定で辺りを探ると、野盗は木陰や草むらに隠れている。しかし、冒険者達が近くにいるためヒメジには手を出してこない。

「ぐぐぐ! ちくしょう」

「あのやろう、冒険者達を雇ったな」

「襲いましょうよ」

「無理だ。俺たちじゃ勝てない。くそ~」

悔しがっている様子がよくわかった。しかし、ヒメジはそんなことはお構いなしに冒険者達の後をついていった。野盗が隠れているところを通り過ぎると、ヒメジは歩く速さを一段と早めて、冒険者達を追い抜いた。少しでも野盗のいる場所から離れたかったからだ。

(冒険者達より前に歩いていれば、うしろから野盗に襲われることはないだろう)

ヒメジは、冒険者達に追い抜かれないように小走りをするようになった。時々、後ろを振り向きながら冒険者達との距離を確認していた。ヒメジがどれだけ一生懸命小走りをしても、冒険者達との距離は十メートル前後の間隔でしか離れていなかった。そして、それから、一時間ほど歩くとヒメジの全身から大粒の汗があふれだした。

「ハア、ハア。年を感じる」

ヒメジは疲れて体が鉛のように重たくなった。それでも、歯を食いしばって十分ほど小走りで歩いていると、ヒメジはふらふらっと足がもつれて、道ばたの草むらに仰向けで倒れてしまった。

「ハア、ハア、もう歩けない。若い者と同じようには歩けない」

ヒメジは目をつぶってぼやいていると、冒険者達が近づいてきた。剣士風の若い男がヒメジに声をかけた。

「おじさん大丈夫ですか?」

「ハア、ハア、ありがとう。大丈夫だよ」

「顔色が随分悪いよ。本当に大丈夫かい?」

「ハア、ハア、歩き疲れてちょっと疲れてだけだよ」

「年甲斐もなく、無理して歩くからだよ。ほれ、これでも飲んで元気出せよ」

僧侶風の若い男がヒメジに薄いブルー色をした薬をさしだした。

(下等のハイポーションだ)

そう思いながらヒメジは上半身を起こしてそれを受け取ると、一息に飲み干した。

「ありがとう。お礼に・・・」

ヒメジは懐からお金の入った巾着を出そうとすると、僧侶風の若い男が、

「困ったときはお互い様。おじさん、もし私たちに何か困ったときがあったら、助けてくださいね」

「ああ、もちろんです」

「じゃあ、それまで今回のお礼は取っておきます」

僧侶風の若い男はそう言うと、他の冒険者達の方を向いて、

「この人は薬を飲んだので、あと五分ほどここで休憩したら大丈夫です」

話をした。剣士風の若い男が頷いて、ヒメジに声をかけた。

「おじさん。ここで休憩したら元気になるから。これからは無理しないで歩いた方がいいよ。それじゃあ、先を急いでいるから、私たちはこれで失礼するよ」

「皆さん、ありがとう」

ヒメジがお礼を言うと、冒険者達は王都に向かって歩き始めた。ヒメジはしばらく青い空に白い雲が流れる様子を眺めていたが、呼吸が整ってきたのでその場に立ち上がると、大きく深呼吸をした。

「スウ~、ハ~。スウ~、ハ~。よし、元気になったぞ。王都へ向けた出発だ」

ヒメジは再び歩き始めた。王都までは残り八分の一になり野盗から襲われる心配が無くなったヒメジは再び薬草採取を始めた。鑑定の能力を使いながら野原を調べていると、

「ここにイチレン草がある」

「あそこにサンレン草の群集がある」

薬草を見つけて、喜々として採取していた。次第に王都に向けて薬草採取をしていると、ヒメジは幌馬車が遠くに見えるようになった。はじめは、気にもしていなかったが、ヒメジが薬草採取をしている間も幌馬車は、じっとしたまま動いていなかった。ヒメジは少し気になり薬草採取をしながらチラチラと幌馬車を見ていたが、全く動く気配がない。ヒメジは幌馬車で何かあったのかとダガーを右手に持って慎重に近づいていった。


いかがでしたでしょうか。予想通りの展開だったお思います。でもまだ、王都には着いていません。もう一波乱? あってもいいかな~と第二十六話を書いています。楽しみにしてください。

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