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毎日投稿している強者がいるそうですが、私はマイペースでやらせていただいております。ゆっくり作った文章をゆったりと読んで楽しんでください。
「四人召還したはずじゃが、三人しかいない。もう一人はどこじゃ」
老人の召喚士が叫んだ。
「爺様、少しぼけたのと違いますか。最初から召喚魔方陣には三人しかいませんでしたよ」
若い召喚士が老人の召還士に向かって穏やかに言った。
「いや、確かに四人召還した感覚があったのじゃ。しかし、一人は三人よりは少し離れて召喚したようだからのう」
「じゃあ、どこに居るというのですか?」
「おそらくは城内にいると思われる」
「城内にいればおそらく今頃は騒ぎになっているはずです、しかし、それがないのですから爺様の勘違いではないのですか」
「おそらくどこかに隠れていると思われる」
「本当ですか?」
「ああ、間違いない」
若い召喚士は警備兵に向かって声をかけた。
「ということですので、警備兵さん、城内を探索するよう手配してください」
「分かりました、城内をくまなく探します」
「お願いしますね」
若い召喚士が、警備兵を見送った後、老人の召喚士に向きを変えて話した。
「ところで爺様、四人目が見つからなかったらどうしますか?」
「絶対見つかる。見つからないことはない。わしが嘘をついているというのか」
「爺様は頑固だから、あぁ~言えばこう言う、こう言えばあぁ~言うで決して訂正しないものね」
「うるさい。確かに四人いるはずじゃ」
「わかった、わかった爺様。先に三人を調べてから、私たちも城内を探しましょう」
「ふむ、そうじゃな。それではいつもの水晶玉を持ってこい」
「わかりました。うるさい爺だな」
「何か言ったか?」
「何も言っていませんよ」
若い召喚士が部屋から出て行くと老人の召喚士が三人の若い男女に、しわがれた声を張り上げて言った。
「三人の勇者よ、まずは召喚でこちらに来られて不安じゃろう。しかし、安心しなされ。皆さんはこの異世界に召喚されて勇者の候補となったから、各自、特殊な能力を持っているはずじゃ。それを活かせば、ちょっとやそっとのことでは死ぬことはないであろう。そしてその能力を我が国のために活用してもらいたい。こちらの世界では魔族が我が国を侵略を始めているからのう。もちろん、魔族を倒せば元に世界に戻れるから安心してくれ。魔族の城にはダークダイヤがありそれを召喚士に持たせると元の世界に戻れる扉を開けられるので、皆さんはそれで戻ってもらうつもりじゃ」
ここまで言った後に、若い召喚士が水晶玉を持って部屋に入ってきた。そしておびえている三人の若い男女に笑顔で優しく声をかけた。
「一人ずつ水晶玉を右手で触れてください。そうすれば、各自の能力値やスキルがわかります。それでは、そこの男性から始めてください」
指名された高校生が水晶玉におそるおそる右手をかざすと、水晶玉から文字や数字が浮かび上がった。
「あなたは剣士タイプのようですね。特に両手剣のスキルが高い。勇者の方は『ステータスオープン』と念じると自分の能力値やスキルがわかるようになっているはずです。ほかの方も水晶玉に右手をかざした後に確認したらいいですよ。それでは、次は女性の方どうぞ」
指名されたOLの女性が水晶玉に右手をかざすと、再び水晶玉から文字や数字が浮かび上がった。
「あなたは魔術師タイプのようですね。ほう、攻撃魔法がお得意のようです。これは心強いです。次はあなたの番ですよ」
最後のサラリーマンの男が水晶玉に右手をかざすと、再び水晶玉から文字や数字が浮かび上がった。
「あなたは盗賊タイプのようですね。探索の能力が非常に高い。どの方も素晴らしい能力をお持ちです。これから王様に謁見しますので、あの執事の後について行ってください」
若い召喚士が言ったが、召喚された三人はまだ自分がおかれて状況が飲み込んでおらず頭が混乱していた。そのため誰も動こうとはしなかった。
「さあ、さあどうぞ」
執事に言われて三人とも、
「はい」
我に返って返事をした。
「さあ、さあどうぞ」
そしてもう一度執事に促されて三人は部屋を出て行った。
若い召喚士が、召喚部屋から三人が退出したところを確認したあと、老人の召喚士に声をかけた。
「また、嘘をついたでしょう。魔族と争っていないし、ダークダイヤなんてないし、そもそも元の世界に戻す方法なんて全然わかっていないでしょう」
「まあ、ああでも言わなければ召喚されたものはパニックを起こして、落ち込んで廃人のようになるか、悪ければその場で暴れて警備兵に処刑されるのが関の山じゃからのう」
「そりゃそうだ。爺様の嘘も彼らを安心させられる方便だからね」
「ところで能力値はどうじゃ?」
若い召喚士は両手を横に挙げ、首を横に振って残念そうに返事した。
「三人とも今まで召喚した召喚者より低かった。これから訓練をして能力値が上がるかもしれないが、将軍になる連中じゃないよ」
「そうか、それなら小隊の隊長クラスじゃな」
「そうだね。これで数十回目の召喚だけどほとんどが、中隊長レベルまでだからね。早く本当の勇者が出てこないかな」
「おるかも知れんぞ。幻の四人目がいるではないか」
その時、警備兵が部屋に入ってきて、若い召喚士に耳打ちをした。
「爺様、今報告があって四人目は城内のどこにもいないって。どこかへ雲隠れしたようだよ」
「ふむ、それは残念じゃ。逃がした魚は大きいと言うが、案外大物を逃したかも知れないのう」
「そうかもね。まあ、次の召喚にも期待しようぜ。爺様も驚く勇者が召喚されるかも知れないから」
「それより、腹が空いたのう」
「召喚をしていたので昼食と夕食を食べていないですからね。さあ、爺様。これからごちそうを食べに行こうよ」
「そうじゃのう。では我々もこの部屋から退散するか」
二人の召喚士は部屋を出ると静かにその部屋の扉を閉めた。
いつも読んでいただきありがとうございます。今回は主人公の男を出しておりません。これからどのように冒険させるのか思案中ですが、楽しみにしてください。




