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いつも愛読していただきありがとうございます。今回はどうしても物語を進める上で必要でしたので主人公は名前だけしか出てきません。主人公を愛してやまない作者は少し残念な回ですが、読者様は楽しんで読んでください。
馬に乗った討伐隊の隊長格の三人は渋々討伐に出発した。ヒメジの意見に納得いかないようで不満を口ずさんでいた。
「どこの馬の骨ともわからないやつの言うことなんか聞く必要があるのか」
髪の長い隊長格が言うと、
「そうだ、そうだ。ギルド長の頼みだからおとなしく聞いたが、もし誘拐された人がいなかったら、即刻やつを捕まえて首をはねてやる」
髪の短い隊長格も言った。また髪を七三に分けた隊長格も、
「やつの首などいらぬ。切り捨ててオオカミのえさにでもしてやる」
そう言って、他の二人も、
「そうだ、そうだ」
同意した。三人が怒りにまかせてヒメジの処刑方法を話し合っていると、斥候に出ていた先発隊より報告が入った。
「目標の洞窟に多数の人がとらわれています。次々と誘拐された人が洞窟に入っていくところを確認しました」
「なんだと!」
三人の隊長格が同時に叫んだ。髪を七三に分けた隊長格が、
「急ぎ、誘拐された人を解放し、グリーンクロウ団を壊滅させよう」
「そうしよう。もし、誘拐された人が解放できなければ、我々の大恥じゃ」
髪の長い隊長格が言うと、髪の短い隊長格も、
「手柄を立てる良い機会だ、みなの者急ぐぞ」
討伐隊の進行速度を上げた。予定では翌日の昼頃に到着する予定であったが、三百の騎馬だけで編成された討伐隊は、その日の夜に目的地に到着した。隊長格三人は洞窟の少し手前の森林地帯で作戦会議を開いた。
「グリーンクロウ団は約百五十人と聞いている。いっきに洞窟へ突進しよう」
髪の短い隊長格が口火を切った。
「それもいいが、グリーンクロウ団を壊滅させたい。逃げ出さないように洞窟の入り口に三分の一の人員を置いてはどうだろう」
髪を七三分けた隊長格が意見言った。
「それはいい考えではあるが、誰がその役を引き受けるのか?」
髪の長い隊長格が言うと、
「言い出した私の隊が引き受けます」
髪を七三分けた隊長格が言った。
「いいのかよ。手柄をあまり立てられないぜ」
髪の短い隊長格がそう言ったが、
「いいですよ。皆さんの方こそしっかり手柄を立ててください」
髪を七三分けた隊長格が引き受けたので作戦は立てられた。実行は深夜の寝静まった討伐隊二百名が洞窟の中に突進しグリーングロウ団を捕まえながら、誘拐された人を解放する。残り百名は洞窟の入り口を包囲し、逃げ出したグリーングロウ団を捕らえるとともに、第二陣の突撃隊としての役割を果たすことになった。馬は森林地帯に待機させて討伐隊は足音を鳴らさないように気をつけながら洞窟のそば近づいた。髪を七三分けた隊長格が弓で二人の見張り役を射貫くと髪の短い男がかけ声をかけた。
「突撃! 突激!」
第一陣が入った。深夜であったため、グリーングロウ団は半数が寝ていた。残りの半数も油断していたため、討伐隊が洞窟に入った時には酒を飲んで騒いでいた。
「ふう~うまい。この酒は最高だな」
「お前、飲み過ぎるなよ」
「気にするな、何も起こりはしないぜ。今までそうだっただろう」
「大人数の足音が外から聞こえてくるぞ」
「全然聞こえないがな」
そう言った時に、グリーングロウ団員達の視界の中に討伐隊が入ってきた。
「誰だ、お前達は」
「町の討伐隊だ。おとなしくしろ」
「なめるなよ。野郎どもやっちまおうぜ」
威勢のよいことは言うが、多くのグリーングロウ団員は酔っ払って、剣を鞘からうまく抜くことが出来ない。その隙に討伐隊員が剣でグリーングロウ団員の剣を打ち落とすと、
「よし、今だ、捕まえろ」
数人で取り押さえ、縄で縛って捕らえた。
「離せこら。ぶっ殺すぞ」
「覚えて置けよ。後で痛い目に遭わせてやる」
捕まってもグリーングロウ団は気性が荒くて抵抗する。
「うるさい、これでもくらえ」
討伐隊は黙らせるために口に猿ぐつわをした。
「討伐隊だ、起きろ~」
「目を覚ませ、討伐隊がやってきたぞ」
一部のグリーングロウ団員は大声を叫んで討伐隊と戦った。剣を鞘から抜いて討伐隊と対峙した。しかし、多くが酔っ払っている者や寝起きでまだ頭が働いていない者ばかりで、足がふらついている。そんな連中は討伐隊の相手ではなかった。何度か剣を交えると剣を落としたり、折られたり、取り上げられたりしてすぐに討伐隊に捕らえられた。まともに戦闘ができる者は髭を伸ばした団長とスキンヘッドの副団長ぐらいであった。
団長は槍を、副団長は剣に熟練していた。二人は何人かの討伐隊員を倒すとそれぞれ隊長格に出会った。
「やり手のようだな。お前は誰だ。このグリーングロウ団の団長の前に現れたのが不運の始まりだ」
「それはこちらの台詞。討伐隊の隊長格のこの私に勝てるかな」
団長は髪の長い隊長格が槍を持っているのを見て、
「お前も槍遣いか。どちらの技量が上か勝負だ」
「お前ごときに遅れはとらん」
二人は幾度となく槍を交え始めた。
「お主やるの」
団長が少しずつ押され始めた。団長と戦っている髪の長い隊長格は槍の名手であった。
「ええい!」
髪の長い隊長格が気合いを入れると、洞窟の狭さを感じさせない槍さばきで槍を突く手数が増えた。団長も槍を突いて応戦したが、次第に受け身となっていった。やがて、団長が髪の長い隊長格の槍さばきに対応できなくなり左手の甲に切り傷を受けた。
「畜生、これでも食らえ」
団長は右手一本で力強く髪の長い隊長格に槍を突いたが、隊長に躱された。隊長はすかさず槍で団長の右手を叩くと、団長は槍を地面に落とした。
「ま、まいった」
「口ほどにも、ないやつめ。おい、連れて行け」
他の討伐隊員が団長を縛って連れて行った。
副団長は髪の短い隊長格と戦った。数回剣を交えたところで副団長が髪の短い隊長格に話しかけた。
「おぬしやるな。討伐隊などやめて、グリーングロウ団に入らないか。その腕ならすぐに幹部になれるし、そうなれば豪華な食い物や酒、それに使い切れないほどのお金も得られるであろう。どうだ盗賊はいいぞ」
「私は根っからの冒険者だ。どこかに入って群れるのはあまり好きではない。まして、人々を困らせることなど、絶対にしたくないのでお断りだ」
「そうかい。せっかくのスカウトなのに残念だ。お前には豪華な食い物や酒、使えきれないお金の代わりにこれでもくらえ」
副団長は髪の短い隊長格に剣を打ち込んだ。髪の短い隊長格はそれを剣で受け止めて、押し返すと副団長に何度か剣を打ち込んだ。副団長はそれを全て剣で防ぎきると、下段の構えから剣を振り上げた。髪の短い隊長格はそれを剣で防いだが、危うく剣から手が離れそうになったため、両手に力を入れて剣を握り直した。
「危なかった」
「よくぞわしの技を防いだな。大概の奴はそれで剣を離しているはずだか、おぬしかなりの手練れだな」
「お褒めにいただいてありがとうございます。それでは次は私の番ですぞ」
髪の短い団長格は剣を上段に構えると、ジャンプして副団長の上に跳び剣を打ち下ろした。
副団長は剣で防いだがその時、
「カキ~ン」
音がして、副団長の剣が折られた。
「しまった。剣を折られたか」
副団長が剣を折られて落ち込んでいる瞬間を逃さず、髪の短い隊長格は副団長ののど元に剣を突き出すと、
「動くな。動けば首を落とすぞ。さあ、剣を捨てて、その場にしゃがめ」
命令した。
「やむを得まい。言うことを聞く」
副団長は折れた剣を手放すと、素直にその場にしゃがみ込んだ。討伐隊員は副団長を縄で縛ると外に連れ出した。このように討伐隊は突入してから三十分後、グリーングロウ団全員を捕らえた。
一方、奥に入った数人の討伐隊員はうずくまって固まっている村人達を発見した。
「皆さん大丈夫ですか?」
「あなたたちはどなたですか?」
「グリーングロウ団の討伐に参加した冒険者です。村の方々ですね?」
「はい、そうです。私がこの村の村長です」
「村長さん、私たちは皆さんを助けに参りました。ご安心ください」
討伐隊員の話を聞いていた村人達が、
「やった~」
「助かった~」
「これで家に戻れる」
喜びの声を上げた。
「それでは皆さん、私たちの後についてきてください」
こうして討伐隊は誘拐された人々をグリーングロウ団から解放した。
村人達が洞窟から出た時に、外で待っていた討伐隊が数人の村人に声をかけた。
「すみませんが、こちらまで来て貰えますか?」
「どうしたのですか? 私に何のようですか?」
「手荒なことはいたしません。ただ静かに私たちに捕まって貰いたいのです」
「なんで捕まらなくてはいけないのだ。私は助けて貰った村人だぞ。早く村に返して欲しい」
「まあ、興奮しないで、おとなしくしてください」
髪を七三に分けた隊長格は討伐隊員に目配せをして、その村人に縄をかけた。それを見た、一部の村人が列から離れて森の中に逃げ込もうと走りだした。しかし、討伐隊が村人の周りをとり囲んでいるため、逃げ出した村人はすぐに捕まえられ縄をかけられた。
「私は村長ですが、あの者達はどうしましたか?」
「村長さん、あのものは村人ではなくグリーングロウ団の一味です。村人に紛れて逃げようとしていたのです。胸に刺したカラスの羽が目印ですよ」
村長が捕まった男達の胸元を見るとカラスの羽が刺さっていた。
「本当に胸にカラスの羽があるますね」
「村長さん、月明かりが出てき来ましたのでこの者達の顔を確認してください」
捕まった数人の男達が村長の所に連れてこられた。村長はそれを見て、
「この者達は村人ではありません。皆、知らない者ばかりです」
答えた。
「これで決まりですね。よし、捕まえた者を連れて行け」
それから十分後に洞窟の中に入った討伐隊が全員外に出てきた。
「これで終了だな」
髪の長い隊長格が言うと、
「ああ、終わった。しかし、あの男の言う場所に捕らわれていたとは、しゃくに障るが、能力は認めるしかない」
髪の短い隊長格がそう言った。
「帰ったら、いやだが感謝を言わなくてはいけないな」
髪を七三分けた隊長格が言うと、他の二人の隊長格は頷いた。その後、討伐隊は誘拐された村人と捕らえたグリーングロウ団をつれて町に戻り始めた。町にその知らせが届いたのは昼頃であった。
読んで頂きありがとうございました。いかがでしたでしょうか。これでグリーングロウ団事件については解決しました。「あれ? 主人公は全然活躍していない」と思われた方がいるでしょう。本物語では、体力の無い五十代の気弱な主人公ですので敵をばったばったなぎ倒して事件を解決することは少ないです。しかし、事件解決に渋い活躍をしていきますので、これからの物語を楽しみにしてください。




