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いつも読んで頂きありがとうございます。読者の皆様には感謝しかありません。毎日感謝しながら投稿しております。

 ヒメジは宿屋に戻ると食堂で肉料理を注文した。料理を待っている時に、

「おい、近くの村で羊が襲われたそうだ。何でもオオカミがやったという話だぜ」

「オオカミかい、おっかねえな。あいつは五、六匹の集団で人間にも襲ってくるから、旅をするときには注意しなければな」

「お前、旅をするのか?」

「いや、生まれてからこの町を出たことはないが、いずれ出ることもあるだろうよ」

「ないない。俺たちのように一般庶民には旅なんて縁の遠い話さ。冒険者なら別だろうけれどもよ」

二人の中年の労働者風の男が食事をしながら話をしていた。

(ふ~ん、オオカミが出るのか? オ、オオカミ! えらいことだ。隣の町まで手紙を頼まれていた。どうしようか? 食事の後で護衛の依頼と武具の調達をしなくては)

ヒメジが頭の中で困惑していると、反対に座っている別の若い二人連れの男性が食事をしながら別の話をしているのが聞こえてきた。

「四、五人程度の小集団の野盗がいくつかこの町の周りを荒らし回っているそうだ。何人かの商人が荷物を取られたと噂になっている」

「知っている。二、三日前には、一つの荷馬車を二つの野盗が取り合いになったそうだ」

「そうそう、冒険者を雇っていても、それより腕の立つ野盗もいるそうで、Dレベルの冒険者でもやられたっていう話だぜ」

「俺たちも冒険者だが、護衛の依頼はしばらくやめた方がいいな」

(え! ・・・ 護衛も駄目なのかよ)

ヒメジはオオカミと野盗の話を聞いて絶望感で心が満たされた。

(このままでは旅に出かけられない・・・。どうしよう・・・)

大きなため息をつきながら、テーブルにうつぶせになっていた。やがて、料理が目の前に出された。店員が持ってきた肉料理は甘辛いタレがついた鶏肉を焼いた料理であった。匂いを嗅ぐだけでも食欲がそそる。ヒメジは空腹には勝てず、無我夢中で食べ始めた。

(今は悩んでも仕方が無い。先に腹ごしらえを。食べなければどちらにしても死んじゃうから、死ぬのなら食べてから死にたい。飢え死になんてしたくない。さあ、しっかり食べるぞ~)

気持ちの切り替えが早いヒメジである。

「これは鶏肉のもも肉だ。歯ごたえがあってとてもジュウシーだ。とってもうまい」

ヒメジは肉を次々とフォークを使って口に運んだ。料理を持ってきた時は、量が多いと思ったが、お腹が空いていたのでガツガツ食べて、山盛りあった料理がどんどん少なくなっていった。そして十分ほどですべて食べつくしてしまった。

「満足、満足」

そう言いながら、ヒメジはお腹をさすった。しばらくはお腹をさすりながらご満悦であったヒメジであるが、オオカミと野盗の話を思い出すと、急に元気がなくなった。

(はあ~。どうしよう・・・。スターテスで確認したけれど、戦闘能力は無いに等しいから、戦ってもなあ・・・勝てないだろうな。また、弱いからといって見逃してもらえないだろうな・・・。まあ、くよくよ考えても仕方が無い。『へたな考え休むに似たり』と言うからとりあえず武具だけでも買っておこう)

店員に肉料理の代金を払って、武具屋の多いレフト筋に向かった。


 十分ほど歩いてレフト筋に着くと大きい武具屋に入り武器の品定めを始めた。

(ロングソードや斧系は体力が無いから振り回せないし、魔法が使えないのでスタッフはいらないし、ショートソードと盾はうまく扱えないから、軽くて攻撃が楽な弓系かダガー系か投擲用のナイフ系がいいな)

「あのう」

ヒメジは店員に声をかけた。

「いらっしゃいませ。何かお決まりですか?」

店員は笑顔でヒメジに応対した。

「まだどれにしようか決めていないのです。とりあえず、初心者用の弓と弓矢と初心者用のダガーと初心者用の投擲用のナイフをみせて欲しいのですがありますか?」

「ええ、ありますよ。今、お持ちしますね」

二、三分してから店員が品物を持ってきた。

「この弓はクロスボウで初心者でも簡単に操作できるのでおすすめです。洞窟やダンジョンでも使える代物ですよ。またこのダガーは初心者用で軽くて切れ味が鋭いです。軽く刺しただけでも致命傷を負わせることができます。投擲用ナイフは軽くて連続して投げることができるので初心者用として適しています。多少の戦闘には役に立ちますよ」

「どれも、使いやすそうな武器ばかりですね。手触りを確かめたいのですが、品物に触れても大丈夫ですか?」

「いいですよ。どうぞ」

ヒメジは始めにクロスボウを手に取って弦をはじいてみた。

(思ったより軽いや。弦は軽く引っ張ることができるし、これは使いやすい)

「いかがですか。操作しやすいでしょう。クロスボウの中で人気の商品です」

「本当にそうですね。とても使いやすいです」

クロスボウを店員に返すと、続いてヒメジはダガーを手にとって二、三回振ってみた。

(これも軽くて持ちやすい。簡単に振り回せるので、使い勝手が良さそうだ)

「これは、軽いのが売りです。しかし、軽いといって侮ってはいけません。刃は特殊加工で刃こぼれしにくくなっている代物です。うちのお買い得商品ですよ」

「軽くて使い勝手がいい代物ですね」

ダガーを店員に返すと、最後にヒメジは投擲用ナイフを手に取って投げるふりをした。

(この投擲用ナイフは投げるのに丁度よい大きさだ)

「投擲用ナイフは、的に当てるためには多少投げる練習を必要としていますが、この投擲用ナイフは、手にぴったりと馴染み、最初から的に当てることが出来ますよ。値段もお手頃でおすすめ商品です」

「確かに投げやすそうな形をしている投擲用ナイフですね」

投擲用ナイフを店員に返すと、ヒメジはその場で考え込んだ。

(クロスボウ、ダガー、投擲用ナイフ。どれも使い勝手が良さそうなので一つに絞れないな。迷ってしまう。どれにしよう・・・)

ヒメジの悩んでいる様子を見た店員が救いの手を差し伸べてきた。

「いかがですか? 冒険者の方は、クロスボウ、ダガー、投擲用ナイフをいずれかを予備の武器として購入される方が多いですが、たまにメインの武器として購入される方がいます。その中でも、クロスボウは遠距離用、投擲用ナイフは近距離用、ダガーは接近戦用として使い分ける方がいますよ。もしお困りでしたら三つともご購入されてはいかがですか?」

(なるほど。全部購入すればいいのか)

「それではクロスボウ、ダガー、投擲用ナイフをいただきます。クロスボウとクロスボウの矢を百本、ダガー、投擲用ナイフを百本でおいくらですか?」

「ありがとうございます。・・・全部で銅貨四枚と大鉄貨五枚です」

「では、それを買います」

ヒメジは代金を払うと、クロスボウ、矢、ダガー、投擲用ナイフの順番でカバンの中に入れた。カバンの中ではアイテムボックスが口を広げているためいくらでも入る。全ての武器をカバンに放り込んだ。店員は武器がカバンの中に全部入ったことを驚いていたが、ヒメジは気にしないでその場を立ち去った。

(次に防具を見に行こうか。でも、アーマーやメイルなどを着ても重たくてうまく動けないから買っても無駄になるな。そういえば、プロテクトリングつけていたよな。よし、鑑定)

【プロテクトリング あらゆる物理・魔法・精神・状態異常などすべての攻撃から身を防御する。 値段はつけられない程、高価な物である】

(え! こんなすごい物を神父様からもらったのか。ありがとう神父様。これがあったら防具はいらないや)


 ヒメジは、次にライト筋に行った。防具がなくても大丈夫であることがわかったので、旅の食料を買いに行った。パン屋でフランスパンを二本と干し肉屋で干し肉を四枚、果物屋でバナナのような果物を六本買った。これだけ買って大鉄貨一枚ですんだ。後は水を入れる皮袋を道具屋で買うだけである。センター筋に行き、昨日寸胴を買った雑貨屋に入った。三リットル入る革袋を大鉄貨一枚で買うと、冒険者ギルドへ向かった。


読んで頂きありがとうございました。なんとか武器を手に入れて旅支度をしました。しかし、最近、あまのじゃくになった作者はヒメジをすぐに旅立たせようかどうしようか悩んでいます。

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