挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界チート魔術師(マジシャン) 作者:内田健

第四章:見聞を広めようとしたらやっぱり色々巻き込まれました。

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

94/129

精霊魔術師と古城探索 三

 頭脳明晰。品行方正。容姿端麗。運動神経抜群。
 在り来たりな褒め言葉。吾妻 奏ってどんな女の子? と聞かれて太一が答えるならこうなる。太一の言葉を聞き、そして実際奏に会えば、その称賛が決して大袈裟ではないと分かるだろう。
 そして、奏と出会った人間の約半数は、その容姿に驚く。
 女性の平均よりは高い長身に、すらりと伸びた手足。全体的にほっそりとしていながらも、女性特有の柔らかさを主張するふくらみ。更にトレーニングを積んでいるためにたるみとは無縁だ。しかし決して女性らしさは失われていない。
 染髪に興味が無いという奏自慢の髪は、艶やかな漆黒である。奏はそれを頭の後ろ、高い位置で結う。指通り滑らかで、彼女の動作に合わせてさらさらとなびく。
 更に顔立ちも整っている。一〇人に九人は美少女と口を揃える位には。そこまで行くともう人気女優やモデルといったレベルで、残りの一割も好みの問題である。人気アイドルグループで、好きなメンバーが好みによって分かれる程度の些細な違いだ。
 その外面に加えて、コミュニケーションを取れば彼女の出来た人間性を知る事になる。男女含めて彼女に親い面々は揃って「近年では稀少」と言うほどだ。
 そんな奏を見て、完璧な美少女、と例える人間も少なくはない。
 しかしそれは、太一から言わせれば鼻で笑うような話。
 所詮上っ面しか見ていないのだ。会ったばかりの人間ならばまだしも、ある程度付き合いがある人間がそんな事を言ったりもする。
 その人は、奏という少女に幻想を当てはめているだけのように、太一には見えるのだ。
 彼女にだって、弱点や苦手はもちろんある。
 例えば、彼女は虫は苦手だ。
 例えば、彼女は高いところと暗いところが苦手だ。
 レバーは大の苦手。人参の甘さが嫌い。銀杏の臭いが苦手。
 どちらかといえば不器用だ。
 料理が苦手である。
 辛いのを我慢しすぎる事がある。
 誘惑に弱いのを気にしている。
 苦手を克服しようと頑張りすぎるきらいがある。
 太一が知る限りでもこれだけあるのだ。
 彼女は他人に弱味を見せるのを嫌がる傾向がある。奏がそれを見せるというのは、ある程度信頼関係が築けた証しだろう。
 そして奏は、ホラー系が苦手である。
 日本特有の精神的にダメージが来るものや、脅かしに来るもののどちらもとても苦手だ。彼女一番の弱点と言ってもいい。

(うおおお!)

 時刻は夕方五時。
 太一は余裕を失っていた。
 今は奏と二人きりである。
 現在の居場所は、人に見捨てられて久しい古城のどこか。窓があるのに、まだ日は落ちていないのに、とても薄暗い。これから、本格的な夜になるだろう。
 恐いのが苦手な奏はすっかり怯えてしまっている。
 その証拠に、固く閉じられた目の端にはうっすらと光るものが。
 普段凛としている奏の珍しい姿だ。
 しかし残念というべきか、太一にはそれを堪能する余裕は無い。いや、今太一は別のものを堪能していた。この状況では、とてもではないが残念なんて言葉は出てこないだろう。

(挟まってる挟まってる! 腕の谷間に胸が!)

 訂正しよう。胸の谷間に腕が、と。
 日本語になっていないことを脳内で口走る程、太一は気が動転していた。
 人の目が無くなったからかは分からないが、奏は太一の左腕にぎゅうっとしがみついているのだ。
 自分の胸が太一の腕を挟んでいる事には気付いていない。彼女は太一に掴まるのに必死だった。

(ぬおお! 柔らかいのがあああ!)

 太一も必死である。主に理性を保つ方にだ。
 奏はグラマーというほどではないが、それでもその長身に似合う、バランスの取れた起伏を誇っている。レミーアと比べれば分が悪いのは確かだが、それでも奏が自身のプロポーションに不満を持てば、世のスタイルに悩みを持つ女性から見て嫌みになる程度には自己主張している。
 太一はU-14のジュニアテニス大会の応援に行ったことがある。ワンピースタイプの水色のテニスウェアを来た奏は、中学生にしてはかなりセクシーだった。
 ボールを打つ度、コートを駆け回る度にひらりと舞うスカートの裾に目が行ったのは太一だけではあるまい。その下にアンダースコートを履いていると分かっていても、目が言う事を聞かないのは男の業だった。
 当時から奏は早熟だったが、その時から比べると格段に進化している。太一はそれを身をもって思い知っていた。
 今二人に共通しているのは、とてもではないがダンジョン探索の余裕は無いという事。その原因は全くの別物だが。もしこの状況を日本のクラスメイトに見られでもしたら、視線で射殺される羽目になるだろう。無論、太一が。

「か、奏」
「太一……?」

 これ以上は理性が持たない。そう思った太一は思わず声を掛けた。出来れば手を繋ぐくらいにしたい。いやそれも平素なら相当に恥ずかしいのだが、こうして奏の胸に腕を挟まれるよりは大分楽だろう。
 思春期真っ只中の太一にとって、この柔らかい誘惑は劇薬に近かった。だから、せめて、という思いで話し掛けたのだ。

(……うっ!)

 そして、カウンターで追加ダメージを受けた。
 可愛い女の子に抱きつかれ、涙目で上目遣いというコンボがどれだけの破壊力を秘めているのか。ラブコメディを描いた作品で慌てる主人公の気持ちが良く分かった太一であった。

「な、なあ、奏」
「なあに……?」

 ぐすっと鼻をすする奏。その姿に、これから告げようとする内容に対して罪悪感が込み上げる。しかし、己の精神を安定させるためにと、太一は心を鬼にしようとした。

「このままだと、アンデッドに奇襲受けた時に、対応が遅くなるからさ、」

 だから、手を繋ぐだけにしないか?
 その提案は、最後まで言う事が出来なかった。
 アンデッドという単語に奏がびくっと反応した上に、

「……ダメ?」

 と先回りされて抵抗を受けたからだ。
 目に涙を浮かべての可愛らしい抗議が出た瞬間、手札を全て強制的に手離すトラップが発動。選択肢はサレンダー(なすがまま)しか残されていなかった。

「あ、いや、うん。このままでいいです。はい」
「……うん」

 太一から事後承諾と、今後についても承認を受けて、更に強くしがみつく奏。
 むにっと形が変わった感触が、太一の理性にトライデントを突き刺す。

(ふおおお!)

 奇声をギリギリで飲み込んだ事は、褒めてもいい筈である。
 とはいえ、安心した様子の奏を引き剥がすなんて真似が太一に出来る訳もなく。

(あああ! なんでこうなったんだ!)

 もう過去に八つ当たりするしか太一に残された手段は無かった。
 そもそも、何故二人きりになっているのか。
 昼過ぎには古城に辿り着いて、普通に探索を始める筈だったのに。その時点では、こんな事になるなんて夢にも思っていなかった。


 ファムテームから馬車で一日。古城までは大した距離ではなかった。並の馬車での時間だったため、クロに馬車を牽いてもらっている太一たちにとっては本当に大した道のりではなかった。
 そこを進みながら、太一は気になった事をケイオスに聞いた。
 この程度の距離で、何故冒険者が立ち寄らないのか。
 その答えは、ケイオスの呆れと共にもたらされた。

「普通は黒曜馬に馬車牽かせねえよ」

 と。
 そもそもこの行軍ペースが異常である。それについては十分に自覚があった太一は苦笑して応じた。
 そして、並の実力者が並の馬車で目指しても、まず辿り着けないとケイオスは言った。
 その理由を、言葉より雄弁に語るものがあった。
 古城は森を切り開いた場所に建てられている。それ自体は不思議な事ではない。
 違和感は森に立ち入った瞬間に一行を包み込んだ。
 パッと見た限り普通の森だ。草や木が何か特別な訳でもない。
 だが自分達を包む空気が変わったのをはっきりと感じ取る事が出来た。
 それはレミーアの結界に足を踏み入れた時のよう。注意しなければ気付けないほど些細でいて、しかしはっきりとした違いだった。矛盾している言葉だが、太一たち三人には、そうとしか表現出来なかった。
 その森が、古城までの道のりを困難にしていると、大して歩かない内に知る事になった。
 ギィン!
 金属同士を鋭くぶつければこんな音がするだろう。背後からの斬撃に、太一は腰の剣を素早く抜き払い対応した。
 しっかりと受け止めたのを感触で判断し、押し返す。それと同時に振り返って、斬りかかってきた犯人を見据えた。
 人の三倍はありそうな巨大蜘蛛が、宙にゆらゆらと浮いていた。背中はどどめ色で、日本の色に富んだ蜘蛛に比べれば不気味さが際立っている。
 上方の枝から音もなく降りてきたのか、蜘蛛の臀部からは揺れに合わせてチカチカと光る細い糸。どうやら殺気と気配を隠すのも上手いらしい。太一が気付いたのはかなり近付かれてからだった。
 普通の蜘蛛にはない武器である、前足のトゲ。いやこれはもうノコギリと呼ぶべきだろう。あれで掴んで逃がさないようにし、口に生えた鋭い牙で獲物を喰らうのだ。
 かの魔物の名前は多刃蜘蛛。前足のノコギリのような刃が名前の由来だ。太一が知る限り、Cランク冒険者のパーティでは出会っただけで全滅を覚悟しなければならない強敵だ。
 Bランクが最低条件というケイオスの言葉が、全く大袈裟でないと太一は思った。
 まあ、太一一行からすれば有象無象だ。冒険者ランクで分類できるような魔物に、太一が負ける理由が無いからだ。

「よっと」

 太一が地を蹴り、振り下ろされた前足を足場に飛び上がり、蜘蛛を支えていた糸を切る。鋼鉄の剣でも中々切れぬ糸だが、太一がミスリルで出来た剣を振るのだから、抵抗もなく切れるのは必定だった。
 糸を切られた事などもちろんなく、今まで一方的に獲物を蹂躙し続けてきた化け蜘蛛は、生まれて初めて大地に叩き落とされた。そこに容赦無く襲う二本の太い石の杭。一本は口から喉を、もう一本は臀部を。
 奏とミューラがそれぞれ腕を伸ばして、標的を見据えていた。
 地面に縫い付けられて、喉を石の杭に喰い破られて、多刃蜘蛛はその場でひとしきり痙攣し、その命の灯を消した。
 決して容易くはない魔物を瞬殺せしめた三人を見て、ケイオスが口笛を吹く。

「やるじゃねえか」
「お前だって楽勝だろ?」

 ミスリルの剣を器用に使って蜘蛛の目玉をくり貫く太一。この化け蜘蛛の目玉は魔法薬の原材料となる。市場では中々手に入りにくいとあって、バカにならない値で取引される。他の箇所もそれなりの値段となるのだが、全てを取っていたら保管場所が無くなる。ゲームのように魔法のバッグが簡単に手に入る訳ではない。
 何を今更、と言わんばかりの太一に、ケイオスは笑うだけで何も言わなかった。
 太一がいるだけでも反則の上、奏とミューラというAランクと同等の魔術師と魔術剣士を擁するパーティである。この森の魔物は強かったが、困るには程遠い。
 そしてもちろんだが、ケイオスもAランクの強さを持っていた。総合力では奏とミューラに一歩譲るだろうが、それでもやりようによっては二人を凌駕する事も可能だと太一は感じる。
 それほどの人物ならば有名なのではないか、と太一は考える。
 上から鈍い銅色の刃が迫ってきたので、それを身体を少し傾けてかわす。
 マーウォルトの会戦で奏とタメを張ったスソラ。太一は知らなかったが、その名前は通な冒険者の間では通っている。
 背後から飛んできた二本の針を振り返りざまに指で挟んで受け止め、投げ返した。
 その二人と同等の強さを誇るエリステインの宮廷魔術師長ベラと騎士団長パソスは、民草でも良く知る名前だ。
 枝から風を纏う猿が牙を剥いて飛び掛かってきたので、ボレーシュートの要領で蹴り飛ばす。
 むしろこの場合、軍を統べるベラ、パソスの両名と張り合える奏とスソラが異常と言う事も出来る。
 もう一度、今度は下から迫ってきた銅の刃に鬱陶しさを感じ、切り飛ばした。
 スソラ、パソス、ベラ。三人の実力に、ケイオスはそこまで劣っていない。
 先程蹴った猿が風の刃を飛ばしてきたので、風の刃を紡いで迎撃。相殺どころかむしろ貫き、カウンターで沈めた。
 そしてケイオスは精霊魔術師、つまりユニークマジシャン。名が通っていないのが不思議な位だ。
 もう片方の銅の刃を必死に振り回すカマキリの首を一刀で両断した。
 この古城探索が終わったら、冒険者ギルドに行ってみるのもいいだろう。
 最後に残った、ずっと針を飛ばしてきていた蜂が踵を返して逃げていく。エアカッターで羽の付け根を切り裂き、墜落させた。
 ファムテームのギルドでは情報を得られなくても、その後に向かうのは大都市ガルゲニア。ケイオスの知名度くらいならすぐに分かるだろう。

「お、もういないか」

 ふと周囲を見渡して、魔物が全滅しているのを太一は確認した。簡単に気配を探っても近くには何もいない。
 考え事をしながら、身体の反応に任せて適当に戦っていたら勝っていた。太一からすればその程度の認識である。
 しかし、そんな戦いを見せられた方は堪ったものではない。

「なあ……」
「ん?」
「なに?」

 ケイオスが太一をぼんやりと眺めながら呟く。

「オレよお、良くあいつとあそこまで互角にやれたなって、自分を褒めてんだけどよ……」
「ああ……」
「なるほど、うん……」

 先程の魔物の集団だが、決して弱くはない。太一が相手だから弱く見えただけであり、実際は相当の集団だった。
 銅カマキリは、どれだけ下に見積もっても、平原で出会うそれよりも一、二段は上の強さだった。そして、それは風を纏った猿も、毒針で太一を狙撃していた蜂も同じだ。奏とミューラが見たところ、魔物個々の強さはエリステインの騎士や宮廷魔術師よりも強かった。
 とはいえこの三人でやれば楽勝と断言出来る。しかし太一のように一人で全てを倒すとなると、それなりに真面目にやる必要がある。
 太一はそれを、何か考え事をしながら戦闘に望み、そして魔物の群れを圧倒した。
 太一の強さには慣れている奏とミューラが呆然としてしまうほどなのだから、ケイオスが口をあんぐりとさせてしまうのも納得がいく。
 太一の強さは、武力だけでは語れない。もちろん攻撃力、速度、正確性全てが超がつく一級品だが、彼の凄さはそんなところではない。
 今の闘いを観戦していて目立ったのは、太一の視野の広さだ。前だけではなく、後ろ、左右にも目があると言わんばかりの対応能力である。
 魔物たちもバカではないようで、小賢しくも数の利を生かして死角からの攻撃を多用していた。近距離攻撃はもちろん、遠距離攻撃に奇襲も織り交ぜられたオールレンジ全方位攻撃。太一はそれを見事に捌いて見せたのだ。
 もちろん、こんな事がいきなり出来るようになったわけではない。
 馬車で移動中にも散発的に魔物との戦闘は発生していた。
 街道沿いに現れる程度の魔物が一行の妨げになどなるはずがなく。憐れ魔物たちは太一たちの戦闘訓練の相手となり、剣のさびにさせられていた。
 奏は無詠唱魔術と詠唱有りの魔術でどれだけ差が出るか等の実験を行い。
 ミューラは太一の魔力強化を真似しようと強化魔術の切り換えの練習をしながら戦闘し。
 太一はシルフィのアクティブソナーによる探知能力をパッシブで発動出来るよう訓練した。
 それだけではない。移動時間中も、雑談だけではなくどのようにすれば己を高められるかを三人で情報交換しながら進んでいた。今まで何故それをしていなかったのかと思う程に有意義な時間を過ごしてきた三人は、修行時間らしい修行時間を取っていないにも関わらず、実力の底上げが出来た。
 レミーアすら称賛する魔力強化を出来るまでになった太一は、強化部位切り換えのコツを。
 魔術の技量では突出した奏が、威力を減衰させずに魔術の詠唱を省略、かつ高速で発動させるコツを。
 剣術と魔術を駆使して距離を選ばないミューラは、戦闘技術をどのように活かすか、戦いそのもののコツを。
 それぞれがAランクに匹敵する三人の実戦に即したノウハウは、話を聞くだけで実力向上が望めるほどに内容の濃い講義だったのだ。
 ウェネーフィクスに戻ってレミーアに会えば、見違えた成長を遂げた三人に目を丸くすること請け合いだ。
 その三人に精霊魔術師が合わされば、この森に出てくる魔物では障害どころか時間稼ぎにすらなり得ない。
 結局、一行の足をもっとも遅延させるのに成功したのは歩きにくい草木という何とも言えない結果の中、四人は邪魔な草や枝を払いながら進み、ついに古城まで辿り着いた。

「うーむ。それっぽい雰囲気バリバリだな」

 城を見上げて、太一はそう呟く。
 太陽の光に照らされているのに、何となく淀んで見える。
 それを端で見ていた奏が小さくぶるりと震え、すすっと太一に近付いた。

「この中はこんなもんじゃねえぞ」
「来た事あるのね」
「ああ。下見しにな。元々ちっと様子見て帰るつもりだったんだけどよ……」

 腕を組んで忌々しげに城を見つめるケイオス。どうやら何かあったらしい。

「けど、何よ?」
「ああ。オレが城の中にいたのは五分くらいだ」
「え? 幾ら下見っつったって短すぎだろ」

 太一の言葉にケイオスが眉を上げた。

「仕方ねえだろ。何かの罠作動させちまったみたいでな。城の廊下歩いてたはずが、次の瞬間には森の中を歩いてたんだよ」
「は……?」

 思いもよらない返答に目が丸くなる太一。

「他にどんな罠があるか分かったもんじゃねえ。お前らも十分注意しろよ」

 これはかなりアレでナニな城だ。
 締めてかからんと、と気合いを入れ直していざ入城する。
 そして、最初の一歩目。罠を踏み抜いたのは奏だった。
 ばくんと開く床。ちょうど穴が二つ。

「うおっ!?」
「マジかいきなり!?」
「きゃああ!」

 流石に入った瞬間は意識していなかった。たった五分とはいえ、ケイオスは入城は出来たとはっきり言ったのだから。……そんな先入観に囚われた四人の警戒の穴を、見事に突かれる形になった。
 向かって右の穴には太一と奏が。左の穴にはミューラとケイオスが。抵抗する間もなく重力に引かれて落ちていく。

「タイチっ! カナデ!」
「ミューラ! ケイオス!気を付けろよ!」

 太一はとっさに叫び、隣で足がすくんでいる奏を抱き寄せる。
 どれだけ穴が続くか分からない。二人ならば別に一〇〇メートル程度の垂直落下位は普通に凌げる手段を持つが、万が一がある。
 ミューラとケイオスの無事も気になる。とはいえまずは自分達だ。

「奏! 掴まってろ!」
「うんっ!」

 気付いたら震えが止まっていた奏を疑問に感じる間もなく、二人は闇に呑まれていった。
この更新もギリギリでした…

先に謝っておきます。今後締め切り飛ばしたらすみません。
というか、高確率で締め切り飛ばす予感がひしひしと。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ