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異世界チート魔術師(マジシャン) 作者:内田健

第四章:見聞を広めようとしたらやっぱり色々巻き込まれました。

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精霊魔術師と古城探索 二

「おーい、そこのネエちゃんお代わりだ!」
「はっ、はいぃ!」

 ウェイトレスに、空いた皿をヒラヒラさせて追加注文をするケイオス。注文を受けたウェイトレスは口をぱくぱくさせていた。

「また!?」

 奏が驚きの声を上げる。ケイオスの前には既に皿が四枚。そのどれもが二~三人の腹を膨らますのに十分な量の料理が載っていたものだ。ケイオスはそれを一人で抱え、食べるというよりは飲むといったていでどんどんと平らげていったのだ。

「おう。あれ使った後は腹が減るんだよこれが」
「お腹空いたとか、そんな次元の話じゃないわよ……」

 単なる大食いにしか見えない。呆れるミューラのリアクションは正しい。

「ここ割り勘な」
「お断りします」

 刹那の沈黙。
 太一とケイオスの視線がぶつかり合う。

「何でだよ! オレの払う分が増えるだろうが!」
「そんだけ食ってるんだから当たり前だろうが!」

 ぎゃあぎゃあと言い合う太一とケイオス。集まる注目もなんのそのだ。
 良く言えば賑やかな、悪く言えば騒々しい食事が終わる。目の前に置かれた温かいお茶を一口飲んで、ケイオスはぎしりと背もたれに寄りかかった。

「よお。タイチとか言ったな」
「ああ」
「テメエ、何者だ?」

 前触れもなく触れられた太一の秘密。太一はニッと笑い、

「Bランク冒険者だ」

 と、対戦前と同じことを口にした。

「ボケ。オレが聞いてんのはそういうこっちゃねぇんだよ」
「知ってるよ」
「テメエは何者なんだっつーの」
「答える気はない」

 とりつく島もない太一の態度に、ケイオスは呆気にとられてしまう。

「あんだよ。後ろめたいことでもあんのか?」
「いや別に? 何でそんなこと聞くんだ?」
「決まってんだろ。このオレの精霊魔術を簡単に破ってくれやがって。あれがただのBランク冒険者に破れると思ってんのか?」

 ごもっともだ。奏やミューラなら防げるだろうが、二人より弱い人間があれをどうにか出来るとは太一も思わない。

「なるほど確かにな」
「だろ。お前が何者か気になるのも当然ってこった」

 確かにケイオスの言う通りである。しかし。

「まあ、何と言われようと答える気はないけどな。勝ったの俺だし」

 再び突っぱねる。ケイオスはがしがしと頭を掻いた。

「ったく、しゃーねー……。敗けってなあ面倒だわ……」

 ぶつぶつとごちるケイオス。やはり勝敗を盾にしたのは有効だったのか、渋々ではあるがこれ以上は問うて来なかった。

「まあ、諦めてもらうしかないな。ところで」
「あ?」
「俺たちに喧嘩仕掛けてきたのは、力比べがしたかっただけか?」

 太一の問い掛けに、ニヤリと笑うケイオス。あまりいい予感のしない笑い方に、厄介事がスキップしてきた気がした。

「オレに近い強さを持つ冒険者を探してたんだよ」

 背もたれに預けていた身体をずい、と前のめりにしてそう告げる金髪の青年。

「その心は?」

 と奏。

「古城探索のパーティ募集中だったんだ」
「だった?」

 何ゆえ過去形なのか。いや、ケイオスの人となりを考えれば。

「そして今パーティが決まったとこだぜ!」
「……」

 ため息をつく三人。
 事前交渉も何もあったものではなかった。

「俺たちがケイオスのお眼鏡にかなった、と?」
「おうとも! 明日から早速出発だ!」
「出発だ! って勝手に決めないでくれよ……」

 ケイオスが不思議そうな顔をする。断られるとは思っていなかった顔だ。その自信は何処からやってくるのか謎である。

「なんだ、何か不満か?」
「いや、不満っつーか」
「私たちの都合は完全に無視だしね」
「あー? いいじゃねえか。急いでんのか?」
「ああ、急いでる」

 と、言ってみただけだ。実際は急いでいないのだが、相手の反応を見てみることにしたのだ。

「移動日含めて精々五日程度だぜ? そんくらい、ちっと時間貸してくれよ」

 正攻法で口説き落としに来られた。
 話していての正直な印象だが、彼は頭は悪くはない。乱雑な口調に騙されないように意識すると、結構深く考えていることが分かる。今の説得方法も、単純でいて断りにくいものだったのだ。
 この世界で長距離移動ともなれば、五日間程度の遅れは誤差の範囲内だ。道中何があるか分からない。大雨で鉄砲水が発生して橋が落ちてしまえば、それだけで何日もロスしてしまう。日本のように一〇分の遅れで咎められるような事はまずない。この世界の移動手段では到着予定時刻からのずれがあるのが普通だ。そもそもの技術レベルから考えれば言うまでもない事。
 故に、五日程度の拘束は、それだけなら引き受けても問題ない。

「分かった分かった。仕方ないな」
「そう言うと思ってたぜ」

 笑うケイオス。
 となれば、必要なのは対価である。

「私たちが付き合う事で、どんなメリットがあるの?」
「ああ。それについても考えてるぜ」

 淀みなく応じるケイオス。そこについての考えも万全らしい。

「目的の古城は殆ど探索が手付かずでな。お宝は結構眠ってるはずだ」
「へえ?」
「見つけたお宝はお前たちにくれてやんよ」
「……」

 随分と気前がいいではないか。ケイオスの言葉を聞いて、太一はむしろ警戒心を強める。財宝があったとして、その全てをこちらに寄越すとは。自分の取り分は無くていいと言っているのだ。
 甘い蜜を採るには蜂の大群をどうにかせねばならない。簡単に採れるようなら、むしろそこに罠があると考えるのが当然だ。

「聞きたいことがいくつかあるのだけど」

 じっと話を聞いていたミューラが、久々に口を開いた。

「おう。何だよエルフ」
「ミューラ。名前で呼びなさいよ」
「オレは物覚えが悪くてよお」

 嘘をつけ、と思ったのはミューラだけではあるまい。

「で、何だよ?」

 ミューラは頭の中の項目を整理、最優先事項だけをピックアップした。

「一つ。財宝が無かったら、きちんと報酬は貰えるのかしら?」
「当然だろうが。そんときゃ、わりぃがBランク冒険者を五日間拘束したって相場の報酬になるだろうがな」

 なんだったら、冒険者ギルドで契約書面でも作るか? と言うケイオス。その言葉に、彼の本気度が垣間見えた。

「それならいいわ。じゃあ二つ目。お宝があるかもしれない、って噂にはなってないの?」
「なってるだろ、そりゃあな」

 噂が広がる速度は想像を遥かに越える。二、三日で劇的な広まりを見せることさえある。

「それだけ噂になっていて、何で探索されてないの?」

 それはもっともな疑問だった。それも予想の範囲内だったのか、ケイオスはスラスラと理由を述べる。

「ああ。あそこな、厄介な魔物の溜まり場なんだよ」
「すくつか」
「巣窟ね」

 読み方を知らない太一が変換不可な言葉を口走り、奏が即座に訂正した。日本でも雰囲気をふいんきと間違えて覚えて「何故か変換出来ない」と言っていた太一である。

「そうだ。まあ、ヒヨッコにゃあ厳しい奴ばっかでな」
「何がいるんだ?」
「アンデッドだ」

 びくりと身体を震わせる奏。彼女はそういった類いがすこぶる苦手なのだ。心霊もの、心臓に悪い系統の映画はまず避けていた。

「アンデッド……確かに、並の魔術師だと厳しいわね」
「だろぉ? Bランクは最低ラインだな」
「確かにね」

 アンデッド。命持たざる魔物を指す。ゾンビやスケルトン、ゴースト等は地球の創作物やゲームでもお馴染み。武器は効きにくく、総じて炎や光属性の魔術が弱点。弱点となる属性を持っていなくても、魔術でないとダメージが通らない魔物も多い。魔術が一定の強さになっておらず、武器をメインにせざるを得ないレベルの冒険者だと、天敵と言ってもいい魔物たちの総称である。スケルトンやゾンビは物理攻撃も通るだろう。だが彼らは単体で襲ってくる事はない。物理攻撃が効かないスピリット系統の魔物が徒党には必ず居る。
 実際にはCランクでもやってやれないことはないが、安全マージンを取るならケイオスの言う通りBランクが望ましい。そんなアンデッドは戦うだけでも厄介だが、もう一つ懸案事項がある。彼らが纏うのは濁り負の力が満ちた魔力。それは、人知を越えた不可解な現象を起こして侵入者を手厚く歓迎する。
 逆に魔術剣を持っていたり、火属性を持っていれば手強い相手はぐんと減る。特に火の魔術剣を繰るミューラにとっては与し易い相手だ。

「アンデッド……オバケ……」

 とはいえ、火属性を持っていようと、メンタル的な相性から苦手意識を持つ者も確かにいるのだが。
 奏の呟きは、幸か不幸か同席する三人には届かなかった。

「じゃあ、最後に一つ」
「おうよ」
「そこまでの条件を提示するほど、あんたを突き動かすものは何?」
「……」

 先程まで喋りまくっていたケイオスがはたと黙る。
 一瞬細められた目には、これまで何となく感じさせた軽薄さが一切無かった。そこに宿るのは確固たる意志。
 しかし、それは本当に一瞬で消える。

「まあいいじゃねえか! 古城探索なんてロマン溢れるだろ! オレの夢だったんだからよ!」

 今度は目を輝かせる。その姿に、彼の事を計りかねる三人。本音がどこにあるのか分からない。実力といい腹芸といい、只者ではない。
 現時点では彼が口を割る事は無いだろうとみたミューラは、ため息一つついて太一と奏に向き直る。自分の考えを伝えるために。

「あたしは古城探索、いいと思う」
「ん」
「もう少しダンジョンに慣れておきたいと思ってたところだから。これに乗ってもいいと思ってるわ」
「そっか」

 ケイオスどうこうを抜きにすれば、アンデッドが蔓延る古城探索というのは中々の難易度があって実践練習にはもってこいだ。狭いところで実力を発揮する能力というのも、持っておいて損はない。現時点でも問題ない能力を持っているが試したことがあるのとないのとでは当然違ってくる。
 古城。つまり人が造った建物。壁等を破壊しようと思えば、特に問題なく実行可能だ。
 では、これが天然のダンジョン、例えば地下洞窟ならどうだろうか。闇雲に壁を破壊すれば天井が崩落する危険もある。
 自分達だけなら大した危機とはならないだろうが、この先非戦闘員を連れてそういうところに行かないと断言はできない。周囲に影響を与える事なく標的に痛打を与える能力はやはり必要だろう。

「そうだなあ。探索依頼も受ける事あるだろうしな」
「ええ」
「……」
「と、言うわけだから。古城探索、一緒に行くわ」
「話が分かるなエルフ!」
「ミューラだっつってるでしょ」

 ファムテームで休む予定を変更、三人はダンジョンの探索に挑む事になった。
 三人は……いや、太一と奏は知らない。
 何故この世界に来たのか。その理由の一端が、明かされる事を。
 余談だが、アンデッドを相手にすると聞いて奏が内心怯えていた事は、結局誰からも触れられなかった。





◇◇◇◇◇





「召喚。エレメンタル・シルフィード」

 自室に戻って一人になった太一は、シルフィを召喚した。
 淡い緑色の光が微かに瞬き、まるで芸術品のような美貌を誇る少女が目の前に現れる。
 いつものマスコットサイズではない。彼女の本来の姿だ。

「お待たせシルフィ」
「もー。幾らなんでも久し振りすぎるよー」

 ぷんぷん、と言わんばかりにふくれてみせるシルフィに苦笑を返す太一。まあ、彼女が本気で怒っていないのは聞くまでもなく分かる。今は非戦闘体勢。魔力など殆ど込めずにただ喚び出しただけだ。それだけで生きとし生けるもの全てがこうべを垂れたくなるというのだから、おいそれと召喚など出来る筈がない。
 太一本人は全くそんな事は無いのだが、シルフィ曰く「契約を交わして対等だから」との事。
 レミーアや奏、ミューラはもちろんの事、ジルマールやスミェーラさえも跪くというのは尋常ではない。
 下手に喚び出したらパニックになってしまう。シルフィもそれは分かっているため、こうしたやり取りはもはや定型文、お約束と呼べるものである。
 太一は部屋に置いてあった椅子に腰掛ける。太一に対面するように、シルフィはベッドに座った。椅子に座るようにではなく、ベッドの上にぺたんと女の子座りとは、狙っているのだろうか。

「なあ、シルフィ」
「んー?」
「シルフィは精霊魔術師に出会った事あるか?」

 ケイオス。精霊魔術を使うと明言し、直後強力な魔術を放ってきた男。
 存在そのものはレミーアから話を聞いて知っていたが、実際に会ったのは初めてだ。
 ケイオスの精霊魔術はもちろんユニーク属性。ユニークとは言葉通りの意味で、場合によっては一人も存在しない時代すらある程の稀少性を誇るのだ。
 話を戻すと、精霊魔術についてはとりあえずざっくりとした知識はある。しかしそれはレミーアから聞いた知識でしかない。太一たちに精霊魔術について教授したレミーアとて本から知識を得たのだが、その本がもし間違っていればレミーアの知識も間違っている事になる。
 彼女がいつぞやか「全ての情報は、自分で取捨選択をする癖をつけろ」と言っていた事を思い出す。レミーアが持つ知識に対しても、頭から疑いもせずに信じ込む事はするなと釘を刺されたくらいだ。
 それはそれとして。シルフィを喚び出したのは、彼女なら精霊魔術師について何か知っているのではないか、と考えた末だ。

「あるよ。厳密には、見たことがある、程度だけどね」
「そうか」

 シルフィはこくりと頷いた。その動きに合わせて淡い緑を含んだプラチナブロンドがふわっと動く。

「ってことは、あいつは精霊魔術師で間違いないんだ?」
「そうだよ。術を使うとき、水の精霊と土の精霊がちらっと見えたから」

 そうだったのか。
 シルフィと契約している身でありながら、それには全く気付かなかった。そう告げると、シルフィは「仕方ないよ」と笑う。召喚術師と精霊魔術師は似て非なるもの。太一とて全ての精霊が見えるわけではない。契約外、つまりシルフィ以外の精霊は、その精霊が太一に姿を見せようとしなければ見ることは出来ないという。因みに、太一以外の人間が精霊の姿を見るには、精霊が太一に姿を見せようとするのが最低条件。その上で太一が側にいなければ見ることはかなわないとの事だ。逆に側にいれば見せることが出来るのは、召喚術師だけの特権だという。

「じゃあ、俺とケイオスの術の使い方はどう違うんだ?」
「えっとねえ……」

 レミーアから教授された自身の知識は果たして正しいのか。太一はそれが気になっていたのだ。

「たいちは、アタシに魔力を渡すよね?」
「うん」
「それで、その魔力にたいちが起こしたい現象のイメージを込める。そのイメージに従ってアタシが術を使う。ここまではいいよね?」

 首肯。

「で、精霊魔術師は、基本的にはかなでとかと変わらないの」
「うん、それで?」
「普通の魔術師は、使いたい魔術を詠唱して対価に魔力を込めると、近くにいた精霊がその魔力を使って魔術を発動させる。
 でね? 
 精霊魔術師は、召喚術師と同じように特定の精霊と契約を結ぶ。同じように魔力を対価に支払うと、契約した精霊が術を起こす。
 二つの違いは?」
「契約の有無か」
「そう。一番の違いはそれなの。
 契約っていう絆が、より強い魔術を実現させるの」

 だからより強い魔術を使うことが出来る、とシルフィは結んだ。ただ、精霊魔術師といえど、精霊の姿を見る事は出来ないらしい。精霊の姿を見る事が出来るのは太一のみの特権である。

「やっぱり俺の覚えてたことは合ってたんだな」
「あれ? 知ってたの?」

 きょと、と太一を見つめるシルフィ。なんとまあ、何でもない仕草を可愛く見せる娘か。

「うん、知ってた」
「じゃあ、アタシに聞いた意味は?」
「そりゃお前、餅は餅屋っていうだろ?」
「?」

 日本の慣用句は伝わらなかった。シルフィは小首を傾げている。
 太一は補足として「精霊の事だからシルフィ(専門家)に訊いて正しいか確かめたんだよ」と答えた。
 どうやらシルフィと書いて専門家と読んだ太一の言葉が気に入ったらしく、シルフィはご機嫌である。
 太一はそんなシルフィを眺めて癒される。このまま、うやむやにしてしまえばいい。そう思った。のだが。

「……ねえ、何か気になることでもあるの?」
「……」

 ふと、シルフィは太一を見て問い掛ける。
 実に鋭い。今の話にヒントとなるようなものは混ぜていなかった筈だ。つまりシルフィは太一の顔色から判断したのだ。
 頭をがしがしと掻いて苦笑い。彼女には隠し事は出来ない。

「……あるよ。よく気付いたな?」
「まあ、アタシはたいちの契約精霊だから」

 むん、と慎ましくも主張する胸を張るシルフィ。

「気になる事ってのは、今の俺の……いや、俺たちの現状だよ」
「現状?」

 シルフィの反芻に頷きを返す。

「俺は召喚術師……つまり、ユニークマジシャンだよな?」
「うん」
「ユニークマジシャンってのは、稀有な存在のはず」
「うん」
「俺はこの世界に来てまだ一年経ってない。
 なのに、時空魔術師のお姫様に出会って、精霊魔術師のケイオスとも知り合って、自分も召喚術師になった。
 自分を含めれば既に三人もユニークマジシャンに出会った事になる」
「……そうだね」

 どうやらピンと来たようだ。何となくほんわかとした雰囲気を纏うシルフィだが、実に聡い少女だ。見た目はともかく実年齢を考えれば少女という表現が正しいかは疑問なのだが。

「ユニークマジシャンってもんはさ、そんなホイホイと会えるもんかな? って思うわけよ、俺は」

 レミーアの話では、ユニークマジシャンは相当に稀少な存在であるし、発覚すれば特権階級入りが即決するほどのものだ。太一も、エリステインでの扱いからそれは良く分かっていた。

「うん。確かに、そうかも」

 シルフィは腕を組んで考え込む。現状を正しく認識した結果、不可解だと考える太一の気持ちが伝わったのだ。

「何かここまで来ると、作為的な物が働いてるとか、陰謀の結果って言われた方がむしろしっくりくるんだよなー、俺的に」

 太一はそれほど深刻に見えないように言った。
 不安はある。それは偽りない事実。
 しかし、幸運な要素、つまり力もある。はねのけるだけの力が。
 エリステインですら打ち負かすことが可能な力に太刀打ち出来るような存在はいないだろう。
 太一は良くても、太一の周囲に影響があるかもしれないが、言い出したらキリがない。第一これは太一自身の憶測なのだ。自分の憶測で怯えるのは、建設的とは思えなかった。
 不安をすべて払拭する事は不可能だが、自分が強いという現実が、彼の心の支えとなっているのは否定出来ない。

「たいちの思い過ごしじゃないかな?」

 彼の心境を察したシルフィが、あえて呑気にそう呟く。
 仲間、そしてパートナーに恵まれた事を改めて感謝しつつ、太一は明日に控えた古城探索に思いを馳せた。
次は奏さんヒロインの回です。
序盤二五〇〇文字ほど奏のターン。

それでは、また来週。
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