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異世界チート魔術師(マジシャン) 作者:内田健

第二章:元高校生は冒険者として生活してます。

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それぞれの敗北

恐ろしいほどの難産でした…
これで、メリラ編は終了です。
 見上げた空は、雲が多かった。アズパイアに来てからはずっと晴れだったので、太陽が雲に隠れるこの空模様は珍しい。
 オーガたちを退治してから一晩明けて。今日も休むことなく北の森を歩いていた。メリラの畑までの道は一つだけではない。似たような景色の森の中を右に回り斜めに進み。案内が無ければ確実に迷ってしまうだろう。後をつけられて場所がバレても、辿り着ける可能性を出来るだけ少なくするための自衛手段だ。
 この巡回は、都合六回目になる。正直そろそろ何かしらの成果が欲しいところだ。
 今日は、初めて太一たちから動く。密漁者に出会う出会わないに関わらず、こちらから一石を投じてみる。頼りは太一の違和感。根拠を示せと言われると辛い。だがこのまま後手に回ったままというのも不毛だ。
 森の中を注意しながら歩く。野獣はもちろん、魔物も姿を見せない。昨日出会ったオーガ、オークは警戒しなければならない。昨日出会ったのが全てとは限らないのだ。
 同時に三つの事に意識を向けながら森を歩く。腰近くまである下生えの草の中に、目をこらさなこれば見えないほどの道が一つ。複数のルートがあるのは、道が出来ないためでもありそうだ。

「タイチ、ストップ」

 殿を歩いていたミューラが、足を止めた。

「どうした?」
「これ」

 ミューラは、腰を折って草を見詰めている。何だろうと思い近付いてみると。

「……血か?」
「ええ。まだ新しい」

 顔を上げて周囲を見渡す。草むらの一部が、不自然な方向に生えていた。そこにあったのは、野生の大猫だったモノ。人を襲う肉食獣だが、食用でもあり、猟師にとってはターゲットだ。
 喉元を貫かれ物言わぬ屍となった大猫を見て、ミューラは眉をひそめる。

「おかしい。猟師がやったのなら、せっかくの戦利品を置いてかないはず」
「……密漁者かな」

 可能性は高い。彼等の目的はメリラなのだから、野獣の死体は邪魔なだけだろう。メリラの畑に行く途中で、この野獣が襲ってきたので殺したというところか。
 やがてその予感は、確信に変わる。

「……いる。向こうに六人」

 奏が指差しながら言う。この先はメリラの木が生えている広場のはずだ。
 マギルの顔つきがみるみる険しくなる。
 やがて視界が開けた。
 縦横一〇〇メートル弱の大きな広場。ここ数日ちょくちょくきていたため見慣れた景色だ。メリラの木が見える。その下にいる、六人の男。

「くぉらてめえら! また来てやがったのか!」

 一瞬で顔を真っ赤にして、マギルが叫んだ。聴覚に優れるエルフのミューラが思わず耳を塞いだ。
 向けられたら思わず竦み上がる程の怒気にあてられ、しかし男たちはこちらを一瞥するだけで気にした様子も無くメリラを採り続けていた。

「止めろって言ってるだろうがこの密漁者ども!」
「おいマギル! ……くそっ!」

 止める間もなく走り出すマギル。諌めようとしたライテに耳も貸さなかった。このままでは暴力沙汰になるかもしれない。

「奏、ミューラ。強化しとけ。殴られたらたまったもんじゃない」

 奏もミューラもそう思っている様子で、特に何を言うでもなく頷いた。
 突っ掛かるマギルを押さえるライテ。嘲笑うかのようにメリラを採り続ける密漁者たち。
 密漁者六人の内二人は腰に大きなナイフを持っている。今は何もしていないが、あれを抜かれては不味い。マギルもライテも丸腰なのだ。

「そろそろ止めといたらどうよ?」

 太一は全員の注目を浴びるように間に割って入った。マギルたちと密漁者。小競り合いになったら血を見るのは明らかだ。奏とミューラも横に控えて、逃走を計られた時に備える。

「何だ? 大人の話し合いにガキがしゃしゃり出てくるんじゃねえよ」
「話し合い? お宅らマギルさん達の言葉聞いてねえじゃん。相手の話聞いて初めて話し合いになるんだぜ?」
「仕方ねえだろ! そいつがすげえ剣幕で来るからよお! こっちの言葉なんて聞かなそうじゃねえか!」

 最初の作戦は成功した。マギルを奥に引っ込め、話をする。相手が丸腰ならまだ良かったが、武器を持っているなら話は別だ。依頼である以上、マギルやライテを怪我させる訳にはいかない。

「聞かなそうなだけで、聞かなかった訳じゃないよな? 実際に話を聞いてくれなかったのか?」

 口は回ると方々から言われる太一。正論をふりかざして相手が痛がると思われるところを突いていく。揚げ足を取っているだけとも言う。

「っ、この! ガキはすっこんでろ! 関係ねえだろお前には!」
「関係無いわけ無いだろ。俺は、いや、俺達は雇われた冒険者だ。あんたたち密漁者を捕まえるためにな」
「……!」

 密漁者たちの顔色が変わる。
 農家の本気が伝わっただろうか。

「メリラを採取する許可を持って無い以上、あんたらは密漁者だ。密漁は犯罪。子どもでも分かること。現行犯で逮捕だ」

 現行犯、や逮捕、といった言葉がこの世界にあるかは分からない。言ってみたかっただけである。後で刑事ドラマの見すぎと突っ込まれるだろうか。

「ライテさん。縄ちょうだい。全員縛り上げる」
「あ、ああ」

 ライテから縄が手渡された。

「逃走しようとか思うなよ? こっちだって一般人相手に手荒な捕まえ方はしたくないんだ」

 男たちは何も言わない。いくら人数が多かろうと、一般人と冒険者では力が違う。例え比較対象がEランク冒険者であっても、だ。

「奏、見張り頼む。ミューラ、手伝って」
「うん」
「ええ」

 二人が何か言う前に、話は終わってしまった。太一の追い詰め方は見事だった。
 ギルドマスターから教わったやり方で縛っていく。数分もしないで男たちから武器を取り上げ、動きも封じた。
 恨みのこもった視線で見てくる密漁者たち。その感情の正体は逆恨みである。気にする必要はない。

「くそ! あの魔術師め! 今日に限ってなんでいやがらねえ!」
「そういやいないな、魔術師。おたくらの護衛だろ、何か知らないのか?」
「知らねえよ! あの裏切り者が!」
「裏切り者? 密猟なんて犯罪やってる人間がよく言えたな」

 太一の脳裏に、夕方のニュース番組の特集が思い出される。勝手に採ってはいけない場所で、海ではアサリやハマグリ、山では筍や松茸を採っていく人々。

「皆やっている」
「あんたたちに関係あるのか」
「うるさい!」

 自分の行いが犯罪と分かっていてやる質の悪い人間。大体が太一の倍ではきかない程の人生の先達である。
 言葉だけならまだいい。中にはテレビの人に暴力を振るう不届き者までいた。画面の向こうの事ながら、思わずイラッとしてしまった。家に帰れば、偉そうなツラで子どもや孫を叱っているのだろうか。

「ここはたまたま見付けたんだ! 何が悪い!」

 この期におよんで認めるつもりは無いらしい。

「マギルさんたちに聞いたぞ。最初は注意だけで済ませたってな。あんたらは不貞腐れてメリラを地面に叩き付けて去っていったってな」

 マギルたちにもいいたいことはあるだろう。だが、今は黙っている。どんな心境かは分からないが、この場は太一に任せてくれるらしい。
 実は、太一のような少年に受ける説教の方が、密漁者にとっては辛いだろうとライテが考え、それをマギルに伝えたのが真相だったりする。

「俺たちも必死なんだ! ここで採れなきゃ、明日の飯だってないんだよ!」

 根深いものがありそうだ。太一たちは素直にそう思った。だが、それとこれとは話が別だ。これを許すと言うことは、「こいつムカつくので殺しました」という言い分を認めるのと同じである。

「それはあんたらの都合だろ。あんたらにどんな事情があろうと、犯罪は犯罪。自警団に突き出すのは変わらないよ」

 窃盗の罪は軽くはない。盗品が街の名産なら尚更だ。

「ま、待ってくれ! 俺達が捕まったら家族が!」
「だから知らんって」

 ついに泣きの入った密漁者たちをバッサリ切り捨てる。

「自分の非は認めない、マギルさんたちの注意も聞き入れない、どこまで自分勝手なんだか」
「もういいよ太一」
「奏」

 奏が太一の肩に手を置いて、穏やかな顔で首を左右に振った。
 正直、聞くに耐えなかった。
 やむを得ない事情があったのだろう。
 それでも、悪いことは悪いことなのだ。世間が『やむを得ない事情』を免罪符にしてくれるのは滅多にない。
 太一は溜め息をついて背中を向ける。許しを乞う視線にイラッと来てしまった。
 自分自身、彼らの言う通りガキである。分かったような事を言っている自覚もあった。あまり、気分は良くなかった。

「もういいよ。うん、もういい」
「……サンキュー」

 もう一度溜め息をついて、鬱々とした気持ちを吐き出す。ストレスが溜まることこの上ない。

「ありがとうよタイチ。おかげで少しスッとしたぜ」
「マギルさん」

 太一の肩を叩いて労ってくるマギル。見た目は強面だが、やはりこの人はいい人だ。

「マギルに任せたら拳で語り合い兼ねないからな。俺にも礼を言わせてくれ」

 次いでライテが手を差し出してきた。後頭部をバリバリとかいて、その手を握り返す太一。

「私からもお礼を言わせてください。見事なお点前でした」

 頭を下げるカシム。
 密漁者は捕まえた。これで全員ならいいのだが。いや、仮にそうだとして、また次の密漁者が出てくる可能性は高い。
 そうならないためにも、厳しい罰が必要だろう。

「さて。次の用事を済ませようか、タイチ、カナデ」
「そうだった。そっちが本命だったな」

 かなり精神的に気疲れしていた太一が、うんざりしたように呻く。その様子を見て奏は苦笑した。

「次の用事だって? こいつら捕まえて終わりだろ?」
「違うんですよ、それが」
「何かあるんですか?」
「誤魔化さないで」

 問い掛けてきたカシムに、ミューラが強い視線を叩きつけた。カシムが怯んだ。

「貴方、オーガとオークを知っていたわね?」
「え、ええ。それが、何か?」
「あれ、どこに棲息してるか知ってる?」
「もちろんです。北端の荒野ですよね?」

 ミューラは頷いた。

「それがどうかしましたか?」
「何で知ってるのかしら」
「それは、有名な魔物ですから」
「マギルさん、ライテさん。あれがオーガとオークだって知ってましたか?」

 奏の問い掛けに否定する二人。

「貴方たちはオーガとオークを知ってる?」

 密漁者たちも否定する。皆、唐突な話の展開に戸惑っているようだった。

「冒険者であるタイチもカナデも、あれがオーガとオークだって知らなかった。それなのに、農家のはずの貴方が何故それを知っていたのかしら?」
「それは、そう。知り合いの冒険者に教わったんですよ。たまたまだったんですが」
「たまたま、ね。教わっただけなら見たこと無いはず。予測はついても断定までは無理。貴方、オーガだって疑いもしなかったわね?」
「……」
「もう一つ。貴方、農家の割には手が綺麗ね。とても土仕事してるとは思えないわ」

 カシムは俯いて黙りこんだ。

「答えてくれるかしら。貴方、何者なの?」

 一陣の風が、広場を吹き抜ける。
 沈黙が場を支配する。
 どれだけの時間が経っただろうか。
 カシムが、拍手を始めた。

「ふふふ……」
「……何がおかしいの?」
「いえ……まあ、ギリギリ及第点といったところでしょうか」

 カシムが顔をあげた。
 慇懃無礼な笑みを浮かべて。
 思わぬ展開に固まるマギルたちと密漁者たち。
 ミューラが怪訝そうな顔をした。

「及第点、ですって?」
「ええ。あれだけヒントをあげたんですよ? いつまで経っても気付かないから失望しかけてたんです。そろそろ私から明かそうかと思っていたんですが……まあ、その前に誰何を問う事が出来た。なので、及第点です」
「……どういう事よ」
「まあ慌てないで下さいよ。今から説明しますから」

 カシムは悠然と広場を歩く。二二の視線を浴びて、愉快そうに。

「私の正体を明かすとですね。表の顔は、彼等密漁者の護衛魔術師」
「なっ!?」
「裏切りやがったのか!」

 喚く密漁者には一瞥すらくれないカシム。眼中にすらないようだ。

「タイチさんたちからすれば、私は刺客、と言えるでしょう。斥候でも合っています」
「……っ!」

 奏が魔術を発動させた。無詠唱で、火の玉を五つ。彼女を見て、カシムは一層愉快そうに微笑んだ。
 一方驚いたのはマギルやライテ、密漁者たちだ。マギルとライテは、奏がどれほどの力を持つのか分からなかったし、密漁者たちから見て、奏は可愛い女の子だ。
 こんな真似が出来るとは、毛の先程も思っていなかったのだ。

「素晴らしい……『フレイムランス』程の魔術を無詠唱とは。先に言っておきましょう。貴方たち三人の方が、私より遥かに強いです。一対一でも、誰にも勝てないでしょう。そこのエルフの美人さん相手なら、多少は粘れそうですが」

 信用していいのだろうか。感情の読めない笑みが、疑いを深くする。

「撃ちたければいつでもどうぞ。避けられる自信はありませんがね」
「カ、カナデちゃん待ってくれ! そんなもんここで撃ったら……!」
「大丈夫ですよ、マギルさん」
「……何?」
「彼女程の腕があれば、森林火災なんて間抜けなミスは犯さないでしょう。私だけを捉えるはずです」
「お前……何なんだ」
「だからそれを説明しているんです」

 話は最後まで聞きなさい、とカシムは笑う。
 奏は魔術を撃てない。撃てば、カシムから話を聞けなくなる。この場を支配しているのは、間違いなく彼だ。

「私は、貴方たちの実力がどれほどのものかを調査しに来たのです。戦闘能力、冒険者としての腕、もちろん人としての出来も」
「……」
「戦闘能力は文句なし。三人とも、人類では上位です。特にタイチさん。オーガを一撃で倒せるくらいですからね」
「オーガとオークはやっぱりあんたの差し金だったのね」

 ミューラがカシムを睨む。彼は表情を変えぬまま頷いた。

「そうです。あれも試験の一環です。ああ、安心して下さい。あそこに連れてきたオーガたちはあれだけですから」

 連れてきた?
 この男は、何を言っているのだろう。

「冒険者としての腕も、まだまだこれからですが、資質は悪くない。問題は、人間の出来ですね」

 諭すように、言葉を失う太一、奏、ミューラを順繰りに見る。

「私から見て、貴方たちは力だけ持った未熟者。現にほら、私を信じるか否かを迷っている」
「……!」
「私のような者は、大抵嘘と真実を半分ずつの割合で明かすのです。まともに聞いては混乱するだけ。腕の立つ者が取るのは二択。役に立てば幸運、という心持ちで聞き流すか、ヘタに混乱させられる前に私を殺すかです」

 反論の言葉が浮かばない。

「どうしても私から真実を聞きたいのなら、即刻拘束して拷問を加えるか、自白剤や自白魔術を行使するかですね。やれやれ、この程度で驚くから甘いんですよ」

 この男は強い。力ではない、頭の出来が違う。経験を積めば埋められるのか。とてもではないが、頷ける自信は出なかった。

「貴方たちの情報は、もう一人の仲間がきちんと上に伝えます」
「ッ!?」

 太一、奏、ミューラ。三人が同時に視線を外した。奏のソナーには何もかかっていないし、太一が気配を探っても、何も感じない。
 二〇〇メートル以上離れていても分かると言うのか。

「すみません。嘘です」

 カシムが申し訳なさそうに、しかし堪えられないようで笑っている。

「貴方たちの反応があまりにも面白いので、ついつい、からかってしまいました」
「……! あんたねえ!」

 ミューラが思わず抜剣して斬りかかった。だが、それでは通用しない。頭に血が昇っているのだろう、普段のミューラのキレはない。

「だめですよ。それは」

 ぼうん、と音がして、一瞬にして辺りを霧が覆った。

「っ! しまった!?」

 ミューラが悲鳴のような声をあげる。

「貴方たちの優しさに感謝しますよ」
「この!」

 痛烈な皮肉。これで逃げられては、完全に言われっぱなしだ。
 これだけの霧を作れる相手だ、ダメージは望まない。せめて多少でもカシムが慌ててくれれば、溜飲も下がるというもの。
 イメージは風の弾丸。途中で弾けさせ、風の刃を無数に放つもの。上下左右一二〇度に展開されるショットガンだ。

「行けっ!」

 即席魔術のため、名前など無い。
 パァン! 
 弾丸が弾け、霧が強烈な突風で吹き飛んだ。続けて何かが切り裂かれる音が断続して鼓膜を揺らす。
 やがて視界が回復する。予想していたことだったが、カシムの姿は無かった。

「……ダメだった」

 奏が肩を落とす。

「まあまあ」

 太一に慰められて、力なく笑う奏。
 あれだけの事をやってのけたのだから、十分だと思っているのは、太一だけでは無かった。




◇◇◇◇◇




 ぽたりぽたりと、血が垂れる。

「くっ……あれほどとは」

 ここまで来れたのは、幸運だった。
 正直、余裕はなかった。なんせ、自分より強い者が三人もいたのだ。まともに来られれば、まず逃げられなかっただろう。あの話術も、頭をフル回転させ、死に物狂いで発揮したものだ。
 心の逼迫をどうにか悟られないように圧し殺し、逃走用の霧の魔術をスタンバイさせ、隙を突いて発動。自分でも笑えるほどに上手くいった。
 だが、どうやら甘く見ていたらしい。
 戦闘能力では敵わないとは思っていたが、ここまで凄まじいとは思っていなかった。
 カシムは苦笑した。
 あれだけ偉そうに説教しておきながら、人のことを言えた義理ではない。
 右腕が骨まで抉られている。風の刃なんて生易しいものではない。最早風の鉈だ。
 今後の人生、右腕は無いものと考えた方がいいだろう。

「おっと。置き土産は必要ですね」

 カシムが詠唱を始める。
 淡い黄色の光を放つ魔法陣が生み出される。それが完成したのを確認して、カシムは右腕を引き千切った。ぶら下がるだけのそれに、未練はない。左手を振り子のように動かし、魔法陣に投げ込んだ。
 黄色の光が、やがて赤色に変わる。

「ふふふ。これはプレゼントですよ、お三方」

 満足げに微笑み、カシムは森の奥へ消えていった。
 魔法陣は、静かに光を湛えている。


次は久々にあの人が出てきます。

読んでくださってありがとうございます。
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