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異世界チート魔術師(マジシャン) 作者:内田健

第二章:元高校生は冒険者として生活してます。

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MOBっぽい。

Eランク最初の依頼に出発です。
 今根城にしているのは、長期滞在で割引が効く宿屋ミスリル。室内にあるのはベッドとクローゼット、そしてテーブルと椅子が二脚と必要最低限なものだけだ。
 トイレ、シャワーの水回りは共同。石鹸代わりの泡が出る薬草とタオルは別料金である。朝食と夕食代は宿泊代に含まれている。三泊刻みで料金が割引かれるため、昨日新たに六泊分のお金を支払った。
 太一は借りた部屋のベッドに身を投げている。一度宿屋にもどってきたのだ。何故かと言えば、休憩がてら武器と防具を装備するためである。飾って眺めるためのものではない。Eランク冒険者として、いかにも駆け出しっぽい格好をするためだ。テーブルに置いてあるのは肩当てと胸当て、そして両腕を保護するガントレット。後は革のブーツ。全て革製のそれは、店主に「動きやすいの」と見繕ってもらったものだ。
 そして壁には、鞘に納められた片手剣。いかにもファンタジーらしい武器である。つい先程まで眺めたり触れたりして、ようやく飽きたのだった。武器屋でもさんざはしゃいだ。やはり太一も男の子である。
 この後の予定は、装備を整えたらロビーで集合。その後屋台を適当に物色して昼食を摂り、その足でゴブリン退治に出発だ。
 ギルドと装備の調達で思ったより時間を使い、気付けば昼の鐘が鳴っていたのだった。
 この世界では、秒刻みどころか分刻みですら時間が分からない。手段は二つ。太陽と月の位置でざっくり把握するか、朝九時を起点に約三時間刻みで、夕方六時まで鳴る鐘を聞くか。時間を知る手段はそれくらいだ。
 太一はソーラー充電出来る○‐ショックを着けているため時間に困った事がない。腕時計を着ける習慣の無かった奏はそれを少し後悔していた。携帯は既に充電が切れて無用の長物と化している。太一達の持ち物はこの世界ではオーバーテクノロジーが過ぎる。液晶でソーラーバッテリーの腕時計も然り。普段は袖の下に隠すか懐に忍ばせている。
 因みに学生鞄には、制服や携帯、財布など全て突っ込んでレミーアに預けてある。壊さない、外に出さないを条件に好きに見ていいとも言った。この世界ではどのみち使い途も無いのだから、特に抵抗も無い。一応携帯はいざ戻れた時に使えないと困るため、厳重に扱うように言ってあるが。
 ミューラとレミーアにはノートと四色ボールペンを一対ずつプレゼントした。羊皮紙と羽ペンとは比べ物にならないだろう。ノートの紙質と、ボールペンの滑らかな書き味に、地球のテクノロジーに対して畏怖に近い感情を抱いていたのが新鮮だった。

「さて。行くか」

 あの真面目な奏の事だから、きっちり休憩してきっちり準備をしていることだろう。太一にはとても出来ない。
 肩当てと胸当て。ベルトで締め付けて固定する感じだ。これらは全て布の服の上に重ねて装着する。ガントレットも同じ。苦労するのは革のブーツだ。馴染んでいないためとても硬い。
 これがゲームなら決定ボタンひとつで終わるのだが。ローファーは素晴らしい履き物だと知った瞬間だった。慣れないため手間取りながらも、何とか装備をし終える。
 最後に腰に新たにベルトを着け、そこに剣をたばさんだ。武器屋で剣固定用に売られているだけあり、かなりしっかり固定出来た。
 自身の姿を確認したいが、この世界では鏡は宝石並みに貴重な一品である。こんな片田舎では持っているのは貴族位だろう。大衆向けの宿屋には期待できない。
 きちんと準備出来たかは感覚で推し測るしかない。少し考え、めんどくさくなって止める辺りは太一らしかった。
 部屋を出てロビーに向かう。
 ソファーに座る紺色のローブを纏った黒髪ポニーテールの後ろ姿。間違いなく奏だ。

「ゴメン待たせた」
「ん、だいじょぶ」

 立ち上がりながら振り替える奏。そしてお互いに固まった。
 ファンタジーな物語の、いかにもMOBな出で立ち。雑魚い魔物にやられる端役そのものだ。だが、目の前の相手を笑うことは出来ない。コスプレと揶揄するのも憚られる。自分が思っていることは、相手も思っていること。そして今の格好こそ、冒険者の駆け出しとして、この世界におけるあるべき姿。つまりは正装である。
 郷に入って郷に従った結果なのだから、これを笑えばこの世界の常識を笑うことだ。
 頭では解っている。
 解っているが。
 こらえるのは、もう無理だった。

「か、奏……魔術師デビュー……おめ」
「た、太一こそ……雑魚っぽい……」

 肩を震わせて必死に耐える二人。
 つまり何が言いたいかと言えば。
 「似合わない」
 この一言に尽きる。
 お互いに笑い合う二人。
 この宿は冒険者も多く滞在している。彼ら先輩冒険者たちにとっては通った道だ。「あんな頃が俺にもあったなあ」と懐かしむ顔をしている者もいる。
 大体の冒険者はEランクになってから武器防具を用意する。当然最初から似合うわけはない。
 場数を踏み戦士として熟練していけば同時に貫禄も増し、大層な装備が似合うようになっていくのだ。

「やっと冒険者っぽくなったな」
「そうね。ここからがスタートね」

 コスプレ(?)にもようやく見慣れてくると、俄然気合いが入ってくる。
 太一は軽戦士の格好。
 奏は純魔術師の格好。
 得意な戦闘スタイルが違うため、格好も必然的に異なった。
 例えばエリステイン魔法王国の軍隊は、近接戦闘に秀でた騎士団と、遠距離攻撃に長ける宮廷魔術師部隊がいる。彼らは双方共大きな括りでは『魔術師』である。
 この世界では、戦闘には魔術が必須。それは冒険者になるのに魔術の適性が必ず求められる事からも分かる。
 野獣を相手にするだけなら、多少身体能力に優れた者が戦闘技術を修めるだけでも何とかなる。だが、驚異となるのは当然野獣だけではない。
 太一と奏の標的であるゴブリンも、矮小な見た目に関わらず、その膂力は成人男性を上回る。それは、ゴブリンが魔力を持ち、意識的にか無意識かは分からないが、自身を強化してるからである。
 魔力を持たないか、持っていても扱えない生き物を野獣。魔力を持ち、それを多少でも扱える存在を魔物という。
 魔物に立ち向かう戦闘職が魔術を必須とする理由だ。
 装備をガチガチに固める重戦士、軽戦士にも太一のようにある程度の防御と動きやすさを両立させる者と、防御を捨てて布製の防具を纏い、機動力を武器にする者がいる。他にもラケルタのような弓使いもいたりと、物理攻撃をメインとする者でもその得物やスタイルで分かれる。
 魔術による攻撃を主とする者も大別して二種類ある。奏のようにある程度機動力にも魔力を割く軽魔術師、メヒリャのようにあまり動かない分、火力重視の砲台をメインとする重魔術師。
 物理攻撃職は魔術を補助に、魔術職は魔術を攻撃に。
 それらは基礎魔術レベルでは実現出来ない、実戦に耐えうる魔術を扱えるということ。つまり戦闘職は全員が『魔術師』であり、そこから中分類で重戦士や軽魔術師、小分類で剣士や弓使い、魔術師と分かれるのだ。
 その分類で見ると、近接戦闘メインの太一は剣士、魔術が主の奏は魔術師である。
 因みに二人はそれぞれ片手剣、短いスタッフを持っているが、正直無くても平気である。身も蓋もない言い方をすれば太一は力任せに殴る蹴るの暴行を加えるだけだし、奏は元々媒体等介さずに直接魔術を使うからだ。
 勿論一般的ではない。
 徒手空拳で戦う者もいるが、必ずナックルや鉤爪を着ける。理由は単純に刃物と比べて攻撃力不足。太一のように桁の違う身体強化を使える者はまずいない。それだったら、と太一は剣を選んだ。特に必要な装備では無いが、気持ちの問題だ。気分はRPGである。
 魔術師は、媒体を介すのが普通である。杖や指輪、水晶など形は様々。全てに共通して言えるのは、魔力の増幅と伝導装置を兼ねるということ。ここで重要なのは伝導である。レミーアに教わった奏は魔力を操作して具現化させる事に苦労は無いが、魔術師諸兄にとっては悩みの種だ。奏のように扱えるのは極少数派で、大体は具現化する際に減少してしまう。それを、媒体を中継することで減少を抑えるのが目的だ。
 なので二人にとっては武器はもちろん、圧倒的な防御手段を持つため防具も正直必要無いのだが、バレない為には仕方がない。『冒険者の一組』という扱いが欲しかった。

「行くか」
「そうね」

 宿を出て街に繰り出す。目指すのは屋台の並ぶ市場だ。宿から歩いて数分。空腹を刺激するいい匂いがそこかしこから漂ってきた。

「うまそー」
「何食べようかな」

 二人で物色して回る。串に刺した肉を豪快に炙っている。滴る肉汁がたまらない。今日の味付けは胡椒と香草のようだ。
 何も考えず食指が伸びたが、引き戻した。昨日も食べたのだ。肉ばかりは奏に禁止されている太一である。

「おう兄ちゃん! 今日は買ってかねえのか?」
「あいにく連れに太ったら仕置きだって言われてな。泣く泣く我慢さ」
「ああ! あの別嬪さんかい? それじゃあ仕方ねえな!」

 はっはっはと豪快に笑う屋台のオヤジ。何度となく訪れたため顔見知りだ。

「尻に敷かれてんなあ、ええおい?」
「円満の秘訣だろ?」
「ちげぇねぇ!」

 一際愉快そうに笑うオヤジに「また来るよ」と伝えてその場を離れる太一。
 奏はそっぽを向いたまま、しばし太一を無視する。何か機嫌を損ねるような事をしたかと考えるも、さっぱり思い付かない。丸きり夫婦の会話だったのに、太一だけが気付いていなかった。周囲の視線がやや暖かかったのにも、当然気付いていないのだった。
 他にも小麦の麺を甘辛ソースで炒めたものや甘味など盛りだくさんだ。散々歩き回って、結局最初に見かけたパンにハムと野菜を挟んだサンドイッチとフルーツを購入する二人。フルーツはこの街特産のメリラというもの。見た目はまんまピンクグレープフルーツだが、味はパインというと不思議なフルーツだ。とても美味しいのだが、見た目の先入観があり、太一と奏は違和感も同時に味わえる一品だった。
 歩きながら食べるのも、どうやらこの街では普通のようで、太一も奏もすっかり慣れてしまった。

「おお、サンドイッチうめえ」
「うん。パンが柔らかい」

 驚いたのは、このパンが柔らかいこと。さすがに日本の食卓に並ぶようなふかふかさではないが、我慢できないレベルではない。
 固いパンも確かにあるから、作り手によってレシピが違うのだろう。
 メリラも食べ終え、途中で水を買って、街の外へと続く門に向かう。冒険者になってから一ヶ月と強。冒険者らしい討伐の依頼のために街の外に出た太一と奏だった。



◇◇◇◇◇



 森までの道は、あえて描写しない。延々と続く草原をひたすら歩き続けただけだからだ。途中での出来事と言えば、薬草を拾ったり、角の生えた兎を見かけた位だ。
 もそもそと草を食む兎に奏が癒されたりしつつ歩くこと二時間。目の前に広がるのは広大な森だった。

「木が多いな」
「そうね……」

 レミーアの家周りの森は、まあ歩くのに苦労は無い程度だったと記憶している。だがこの森は、まるで密林を思わせる程の密集具合だ。
 下生えの草も腰くらいまであり、相当歩きにくそうだ。
 この中を歩くのかとうんざりする太一の横で、奏が顔を巡らせ、ある一点で止めた。

「太一、あそこ」
「んあ? お」

 切り開かれたところがある。
 この森には、狩人もやってくると聞いている。恐らくは彼らが作った獣道だろう。

「助かるな。草切り分けなくて済む」
「試し切り出来なくて残念じゃない」

 剣の柄に手を置いていた意味がバレていた。図星を突かれたので、とりあえず黙っておく。その行為が認めると分かっていても、だ。奏には隠し事は出来ないのだ。
 太一が先頭になって進んでいく。途中でちらほらと野獣を見掛けるが、こちらには掛かってこない。太一も奏も、敵対してこない限りは仕掛ける気はない。
 野獣たちは仕掛けないのではなく、仕掛けられなかった。普通この森にやってくる人間は、みな警戒心を顕にしている。武器を抜き、周囲をひっきりなしに観察しながら。彼らを見て、狩れそうだと思えば、野獣たちは躊躇しないで襲いかかる。
 だが、太一と奏は違った。野獣が人間の臭いを感じて気配を潜めて近づいてみれば、二人は既にこちらを見ているのだ。まさか見つかっているとは思わない獣は足を止める。太一も奏も、特に殺気を放っているのではなければ、武器すら抜いていない。得体の知れない相手に警戒していると、向こうはこちらから視線を外して歩いて行く。慌てる様子すら見せない獲物にただ者ではない気配を感じ、野生の勘が襲うのを止めさせるのだった。
 もちろんその選択は獣たちにとって大正解であるが、そんな事とは露知らない太一と奏は、のんびりと森の中を歩いていく。
 小鳥の鳴き声が耳に届く森の小道。肉食らしい獣もいるが、襲ってこないところを見ると大人しいのだろう。太一はのどかさを満喫していた。
 ピクニック気分は、ふと終わりを告げる。
 背後で奏が足を止めたのだ。

「どうした?」

 振り返ると、奏が首を右に向け、鬱蒼とした茂みを見詰めていた。

「太一」
「ん?」
「この先に人がいる」
「……」

 そう言われて神経を研ぎ澄ませてみるも、気配は感じない。半径一〇〇メートル程度なら、遮蔽物があろうとも気付ける位には鍛えた感覚なのだが。
 だが、奏の言葉は無条件で信頼に足ると思っている太一は、特に疑うことなく頷いた。

「良く分かったな。俺はなんも感じないぞ?」

 奏は視線を太一に戻した。

「音を読んでたの。多分二〇〇メートル位離れてると思う」
「音を読むう? ソナーみたいな?」
「うん。ホラ、音って空気の振動でしょ? だから風魔術で何とか出来ないかなーって……何そのうんざりした顔」
「いや……異世界来てまで理科やるとは……」
「こんなの一般常識でしょうが」

 地球では常識でも、この世界に音が何なのかを説明出来る者はいない。

「えっと、獣みたいな大きさじゃないから、多分人だと思う。ホントはレーダーみたいなのを再現出来ればいいんだけど……」

 奏曰く、レーダーに使われる電磁波の仕組みが思い出せないらしい。つまり思い出せたらレーダーを再現する気満々たったのだ。電磁波が分からないからと音を持ち出すとか、何でも有りかこいつは……と呆れてしまう。
 自分の力の強さを棚に上げてそんな事を思う太一だった。

「ん……と。一人じゃない……一、二……九人? 多い」
「結構な団体さんだな。こんなとこで何してんだ?」

 冒険者パーティなら多くても六人前後。Eランク冒険者でも、それだけいればこの森で脅威になる相手は殆どいない。脅威になるとすれば、極稀にいるらしい、冒険者を狙った快楽殺人者位だろう。どの世界にも、そういう人間はいるらしい。

「さあ。大掛かりな依頼でもあったのかな?」
「かもしれないな」

 冒険者ギルドに来ている全ての依頼に目を通せた訳じゃない。そんな依頼があったのかも知れない。

「まあ、俺達は俺達でやることあるんだ。向こうは向こうの用があるんだろ?」
「そうだね」

 太一はこの時、大して意識せずにそう言った。この森が、街にとってどういう位置付けなのかをきちんと知らないが故の判断だった。だがそれは間違っていた。太一と奏が、この出来事の中身を知るのは、もう少し先である。



◇◇◇◇◇



 ミューラはクーフェを持って二階のとある部屋の前に来ていた。この部屋は特別であり、ある波長の魔力を手に込めてノックしない限り、中に音が届かない。
 これが出来るのは、太一とミューラだけである。魔力操作だけに時間を費やした太一と、長年レミーアの元で修行していたミューラだからだ。奏も時間を掛ければ出来ただろうが、彼女は魔力操作と魔術の修行を両立していたため、波長の制御までは至らなかった。

「ミューラか? 入っていいぞ」

 レミーアの声を確認して扉を開ける。
 部屋の主はいつものように研究をしていたようで、室内は乱雑になっていた。

「またこんなに散らかして……整理しましょうよ」
「下手に触るな。私はどこに何があるか分かっているのだ。動かされると分からなくなる」

 片付けられない人間の言い訳である。

「タイチとカナデには見せられませんね……」
「何故あの二人が出てくるのだ……」

 とはいえ、散らかしている自覚はあるのか、強くは出れないレミーア。いっそ地震でも起きればいいのにと師匠不孝な事を思うミューラだった。

「タイチとカナデが街に行ってもうすぐ一〇日ですね」
「そんなになるか」
「今頃、何してますかね、あの二人」
「ふむ。流石にもうEランクになっているだろう。何か依頼をこなしているんじゃないか?」

 確かにあの二人のポテンシャルなら、求められるのがせいぜい力仕事のFランクの依頼に困ることは無いだろう。
 戦闘でも、あれだけの事が出来るのだからパスして当然だ。

「討伐の依頼受けても、街の周りなら敵はいないですね」
「うむ。角兎と針トカゲしかおらんからな」

 街の周囲で闘う事になる魔物はこの二種類のみ。角兎は、襲わなければ側に近づいても敵対してこない大人しい魔物だし、針トカゲは尻尾の鋭い針が驚異だが、尻尾を切ってしまえばただの大きいトカゲである。どちらもEランクになって戦いに慣れれば負ける方が難しい。
 因みに黒曜馬に出会うには、馬車のスピードで一時間程の距離を街から離れなければ出会うことはない。徒歩では数倍の時間歩かなければならないだろう。

「後は北の森ですか?」
「ああ……あそこにはゴブリンとフェンウルフがいるな」
「ゴブリンとフェンウルフ……タイチとカナデが負けるところが全く想像出来ません」
「私もだよ」

 ゴブリンはEランクでチームを組んでいれば討伐依頼を受けられるし、フェンウルフはゴブリンより多少厄介な程度である。どう見積もっても、太一と奏の相手ではない。

「もっと色々な経験をさせてやらねばならんな」

 レミーアは実践での修行を考える。太一たちは強い。敵を探すのが大変な程度には強い。しかしその強さだけで生きていけるかとなると、そうも言えないだろう。
 もちろん強いに越したことはない。しかし、生きていれば単純な腕っぷし以外の要素を求められる事も往々にしてある。全てを力で解決しようとすれば、様々な手段で立ち向かってくる者有無も言わせず片っ端から叩き伏せることになる。太一と奏の性格上、それは望まないだろう。
 なればこそ常識だけではなく、この世界で生きていくための様々な要素を知らねばならない。
 レミーアは妙案を思い付いた。
 一度思い付けば、これ以外にいい案は無いだろう、と思わせる類いのものだ。
 早速準備を始める事にする。
 急にこちらを見詰めてくる偏屈魔術師にまた何かをする気だな、と心構えをするエルフの少女だった。
読んで頂いてありがとうございます。
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