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ミシハセ  作者: 金子よしふみ
第四章

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ゲーム

「て、感じで始まるんですわ」

 立ったままの作屋守を見上げながら、道井は自席で手を休めて早口に教えた。

 今は就業中である。昼休み五分前ではある。パソコンをいじくっていた作業の手を止めてまで先輩に語ったのは他でもない。道井の趣味の琴線に触れたからである。

「先輩、ゲームしましたっけ?」

 飲みの席でも作屋守はプライベートをあまり語らない。というよりも積極的に話題を切り出さない。それに引き換え、この後輩・道井は良くしゃべる。特に自分の趣味について。相手が聞いているかどうか確認もせずにとうとうと語る。特にゲームやアニメや漫画について。話を聞いていないという点で言うならば、作屋守を他人事にしないくらいに、この後輩とて他人の言うことを一から十まで聞いているわけではない。だけれども、作屋守がゲームのタイトルに興味を示したこと自体が、

「いやー、映像化不可能なライトノベルが新作アニメ化決定くらいにびっくりですわ」

 道井のみに理解できる比喩になる。

「ああ、まあ、そうだな。昼飯おごるから、詳しく教えてくれ」

 生返事は置いておくことにしても、趣味に介入したばかりでなく、これまで一度もなかった先輩らしい振る舞いに道井は、

「俺、異世界転生でもしたのかな」

 覚えなくマウスをクリックしてしまった。その保存し忘れたファイルは削除と消え、昼食後最初からやり直す羽目になった。


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